10.neto & mekke
巨漢のゴツが情報屋のネトを連れ、川下にいるカシラの所へ。
振り向いたカシラはすぐに遥か上空を旋回する一羽のカラスに気づいた。
ネトはニタリと白い歯を見せ、頷きながら報告した。
『あのメッケが見たって言ってますぜ』
ネトのネットワークは確かだ。
その手柄をペロがペロッとネトの顔を舐め、讃えた。
カシラが訊く。
『ネトよ。何故ヤツは降りてこない?』
『ええ……』と、ネトはメッケに降りてこいと合図した。
しかしメッケはただカァカァ喚いている。
『どうやらカシラにびびってるみたいっす』
ネトが言うとカシラは突如走り出し、近くに高く聳える杉の木を駆け上った。
黒豹の如く猛スピードで木の天辺まで上り、空を回るメッケめがけて飛びかかる!
メッケは頭上から動きを封じられた。
『ガ! グァアアアーーッ!』
悲鳴を上げてそのまま落ち、メッケは地上に叩きつけられた。
バッサバッサともがくメッケの翼を、カシラはその太い腕で押さえつけた。
『言え! 娘をどこで見た?!』
『グァア、か、勘弁、やめてくだせぇ、……い、言いまスからァアーーっ!』
カシラの眼光が迫る。
『マナはどこだあ?! 』
『ま、街で……商店街の南……花壇の近く』
『いつ? 何をしていた?』
『時計塔の鐘が五つ鳴る頃……で、車にはねられて死んだと思って見に行ったんスよ〜』
『はあ? キサマまさか、狙ったな?!』
カシラはメッケの嘴をブッ叩いた。
『いいや、ち、違ってぇ、それから連れて行かれたんでス! 人間に!』
『何ぃ〜?!』
鬼の形相のカシラにメッケは喘ぎながら答えた。
『あれは確かパン屋のオヤジ……犬と、猫も一緒だった……』