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第一章、第二章 あらすじ

作者: 冠 三湯切

 この話は『平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ』の第1章と第2章が予想以上に長くなりすぎたので簡単に纏めてみました。 

 元々、ノートに書いてあったプロット的なやつを少し改良して書いたというのと、本編の展開が細かすぎる所はすこし端折って書いてあるので、一部展開が微妙に違いますが、この先の展開には特に支障がない程度ですのでご了承ください。

 第一章、三上 礼 予言の勇者編


 とある町工場で働くごく普通の青年、三上 礼は通勤の途中謎の衝撃を受け気が付くと見知らぬ草原にいた。礼はアダムスと呼ばれる異世界へと飛ばされた。


 礼はその衝撃の影響で全身から血を流し彷徨っていると、見たこともないバケモノに襲われる。するとそこへバイクに乗る西洋甲冑姿の男、ビーン・ムゥという男が現れ、礼は九死に一生を得た。


 礼はビーンと共にボーダーと呼ばれる町に向かった。そこで礼はこの世界の予言による世界を救う勇者かもしれないと言われるが、礼は争いを好む性格ではない。三上は何もかも分からないながらも、この世界で住む覚悟を決めたのだった。


 だが、運命は礼を勇者の道に進ませた。礼はこのボーダーの嫌われ者、口の聞くことのできないダストと呼ばれる少女に礼は遭遇した。


 礼は彼女の中にかつての自分を見た、全てに諦めた目つき、彼女はきっと自殺してしまう。いてもたってもいられなくなった礼は彼女を追った。そして彼女と再び出会い、反抗するダストにより腕を負傷しながらも礼はダストを死の淵から救い出した。


 だが、そんな時間も束の間、突如この町に火災が起こった。発生した場所は礼が住むはずだったアパートの裏、礼は僅かに口を開く事の出来るようになったダストの助言を元に火災の元凶を突き止めた。


 それはこの町の区長、アンドリューだった。アンドリューはこの町の危険因子であるダストと、もう一人の要注意人物の礼を同時に屠る為に火災を起こしたのだ。


 だが、ダストの凄まじい氷の魔法と、ビーンの活躍もあり、礼は逆にアンドリューを追い詰めた。


 そしてこの町で働くスチュワートという人物の介入もあり、礼はこの町を救った英雄となった。


 礼はスチュワートの提案で首都の中央へと向かう事にし、ダスト、ビーンと共に中央を目指した。


 そして中央でこの国の王、アレックス アダムスと出会った。今度こそ安息を得られる、そう思った矢先の出来事だ。


 中央に突如巨大なバケモノが現れたのだ。差し向けたのはゼロと呼ばれるこの世界の脅威そのものと言える存在、礼は再び安息の地を奪われた。


 逃走する中、礼は傷つく者たちを見た。悲しみ、苦しむ人たちを見た。


 そして礼は覚悟を決めた。礼はアレックスより託された流血光刃と呼ばれる剣を持ち、バケモノに立ち向かった。


 ビーンとダストと共に巨大なバケモノと戦った。ビーンの協力の元、礼はダストと一緒にバケモノを氷漬けにし、勝利した。そしてその中で礼は、ダストに本当の名を与えた。あだ名ではない本当の名前、グレイシア ダスト、グレイシアはそこで初めて名を授かった。


 そして礼は覚悟を決めた。これ以上の被害を出さない為にもゼロと戦うと決意した。




 異世界の英雄編。


 礼はビーンとグレイシアと共に旅立った。


 道中、礼たちは人間の話す謎の狐、自らをフォックスと名乗る存在に出会った。礼はフォックスに食べ物を上げるとお礼にと、ゼロのいる場所への近道を教えてくれることになった。


 フォックスの案内の元、礼はゼロのいる場所へと辿り着いた。

 

 だが、周囲にはあのバケモノたちがいる。礼はビーン、グレイシア、フォックスを陽動に使い、自らがゼロに挑む事にした。周りの反対はあったが、全ての魔法を操る事の出来、この異世界に来て異常に発達した聴力を扱える礼程、奇襲に適した人物はいなかった。


 礼はゼロの住まう建物の屋上から奇襲する作戦に出た。作戦は見事に成功、ゼロを貫いた。だが礼は止めを刺さなかった。


 礼がこの場所に来た真の理由は、ゼロから情報を聞き出す事だった。礼は巨大なバケモノとの戦いの中、バケモノは礼のように異世界に飛ばされた人間の成れの果てだと気が付いたのだ。そしてそれを操る存在のゼロならば知っていると思い、この場所までやって来た。


 だがゼロは礼の質問には答えなかった。礼とゼロとの決戦が始まった。


 バケモノを支配する力を持ち、世界を乗っ取ろうとするゼロの実力は圧倒的だった。そんな中ビーンがこの決戦の舞台へ乱入した。


 ビーンたちは周囲のバケモノを倒すことに成功した。


 実はスチュワートが裏で中央での巨大なバケモノとの戦いを参考に部隊を用意し、礼たちの後を追っていたのだ。


 そしてその後にフォックスとグレイシアも駆けつけた。ゼロとの戦いは第二局面を迎えた。


 ゼロとの戦いは善戦するもそれでもゼロの実力は上だった。


 ビーンの扱う渾身の電撃魔法を逆に返されてしまい、ビーンは命を落とした。


 その時だった、三上はその後悔と怒りの中である状態に目覚めた。


 そして今までの不利だった形勢を一気に返した。三上は覚醒と呼ばれる状態に至った。これはゼロと同じ状態、礼は自ら答えにたどり着くことが出来たのだ。


 覚醒した礼の実力は同じ覚醒者のゼロをも凌ぐ凄まじいものだった。扱う魔法の威力は並外れた威力になり、その中で目覚めた新たな力で三上はゼロを追い詰めた。


 追い詰められたゼロはその恐怖の中、自らがバケモノとなった。礼はグレイシア、フォックスと共にゼロとの最終決戦に挑んだ。


 そして激しい戦いの末、覚醒者を殺す事の出来る唯一の弱点を突き、ゼロとの戦いに終止符を打った。


 ようやく安息を手に入れる事の出来た礼。礼はグレイシアとフォックスと共に幸せに暮らした。


 


 ある日のこと、礼はいつもどおりの朝を迎えようとしていた時の事、突然グレイシアから愛の告白を受けてしまった。


 慌てた礼はとりあえず図書館に向かうことにした。だがそこで一冊の本を見つけ出してしまった。


 『この異世界より真実を込めて』礼はこの本の妙な違和感に誘われて目を通した。


 そこから全てが動き出した。礼はグレイシアとフォックスを連れ、この異世界をその圧倒的な力で支配してしまった。


 礼は一人玉座に座り、不気味に笑みを浮かべた。


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 第二章 坂神 桜蘭 新たな勇者たち編。


 都内の大学に通う坂神 桜蘭、フルネーム、坂神 レイノルド 桜蘭は大学内の芝生で休憩中に不思議な衝撃波を受け、気が付くと高架下の道路に倒れていた。


 そこはアダムス連合王国と呼ばれる見知らぬ世界、桜蘭はここが異世界であることを知らされた。


 異世界というものに少し興奮していた桜蘭だったが、自らの名を桜蘭を救ってくれた救急隊員のシィズ・ナナに伝えた途端、空気が一変した。


 桜蘭はシィズと共にとある食堂に連れて行かれた。そこの食堂にあったテレビで桜蘭はあるものを見せられた。


 そこには、この世界を救ったかつての英雄、三上 礼の姿があった。三上はこの国の王となり、自身へ反逆の意志を示す者を老若男女問わず捕えては次々と処刑する、圧政を行っていた。


 そんな桜蘭の前に謎の女性が現れる。女性は桜蘭に礼の使う武器の一つである拳銃「セブンスイーグル」を渡し姿を消した。


 その後、この国の警官でありながらこの王へ抵抗する組織「反逆者たち」のリーダー サム・ヨゥも現れ、桜蘭は否応なしにこの世界に巻き込まれていった。


 現状を呑み込めない桜蘭、桜蘭は思いがけず外へと飛び出した。


 道も分からず走り続けた桜蘭の前に礼が突然現れた。そこへ駆けつけてきたサムとシィズ。この状況が更に桜蘭を苦難の道に進ませてしまった。


 桜蘭を救う為に礼に盾突いたサムとシィズ。絶体絶命になった彼らの前に再び謎の女性が姿を現した。


 女性は凄まじい氷の魔法を使い、礼を退けた。


 女性の正体は礼の実の妻、グレイシア ダストだった。グレイシアは変わってしまった礼を倒す為に反逆者たちに協力を申し入れてきたのだった。


 反逆者たちはグレイシアを迎え入れ、しばしの休息をとった桜蘭だったが、そんな彼の耳に桜蘭と同じ異世界から来た者が他にもいるとの情報を聞く。


 桜蘭はそのうちの一人の元に向かった。そこには桜蘭のかつての後輩、麗沢 弾がいた。知り合いと出会う事が出来、少し安心した桜蘭の耳に、もう一人やって来た人物が礼の手下に遭遇してしまったと情報を聞きつけ、急ぎ向かった。


 そこには、サムと礼の部下の一人ワンコ・ヒィが対峙していた。


 そしてもう一人の桜蘭たちの世界からやって来た人物 争いを好まない優しき少女、神和住 零羅がいたのだった。


 桜蘭と麗沢はサムと共に戦う事を決めた。そしてなんとかワンコを退けた桜蘭たちだったがそこに再び礼が現れた。しかし礼は何故か部下であるワンコの心臓を貫いた。


 自分の勝手気ままな感情で部下であろうと殺してしまう礼に桜蘭は怒り、戦ったが桜蘭は礼に手も足も出ずに敗北してしまった。だが礼は止めを刺すこともなく桜蘭たちを見逃した。


 不気味に思いながらも反逆者たちの元に戻った桜蘭たちの元に、礼からあるゲームを提案される。それは三週間以内に世界各地に存在するリーダーと呼ばれる者たちを倒す事。


 クリアできなければ、この世界の人類を滅亡させると宣言した礼。桜蘭たちは世界の命運を賭けた最悪のゲームの参加を余儀なくされた。


 桜蘭は、サム、シィズ、グレイシア、麗沢、零羅と共に旅に出ることになった。



 

 バッドエンドゲーム編。


 桜蘭たちは苦戦しつつも、順調に礼の差し向けるリーダーを倒していった。そんな旅の途中、リーダーがいるとされていた村が既に壊滅していた。

 

 その中に辛うじて生きていた青年、天神 睡蓮。睡蓮も桜蘭同様に飛ばされてきた人物だった。睡蓮はここでのリーダーに命を拾われていたのだが、突如夜盗の急襲を受け村は壊滅したと言う。


 全ての原因は礼である事を知った睡蓮は桜蘭たちと共に旅に出ることになった。


 更に旅を進める桜蘭たちの前に、突如襲い掛かった女性に遭遇する。彼女はこの異世界の前の国王、礼に全てを奪われたアレックス アダムスの娘、エルメス アダムスだった。


 礼と同じ境遇である桜蘭を目の敵にするエルメスであったが、そこにアレックスが仲介に入り事態を収める。


 アレックスは礼に選ばれたリーダーの一人だが、敵であるはずの桜蘭たちを丁重にもてなした。そこで桜蘭は自分の祖母にそっくりな女性と出会った。


 エリザベート アダムス。彼女はアレックスの妻にして、この異世界の初代国王であるニヒル アダムスの直系の子孫だった。桜蘭はその事を知り驚愕する。


 ニヒル アダムスとは桜蘭の祖母の姉の名前だったのだ。


 桜蘭たちは再び旅を再開するが、その中にエルメスの姿もあった。エルメスは自分自身の正義に従い、共に礼を倒そうと決意した。


 旅は順調に進むかに思われた。だが、そう上手くはいかない。戦いの途中、零羅が敵のリーダーに掴まってしまった。


 人質を取られ、窮地に陥った桜蘭たちだが、事態を打開したのは、零羅自身だった。


 零羅が戦いを嫌う理由、それは自分自身の血のせいだった。零羅は自分の血を見てしまうと見境なく攻撃をしてしまう。血を見てしまった零羅はリーダーを殺害寸前まで追い詰めてしまった。


 この状態の零羅は誰にも止められなかった。そんな中、偶然通りかかったという礼に遭遇する。


 礼は零羅を止める為に戦った、そして礼が零羅を気絶させ勝利した。桜蘭たちは最大の敵に救われてしまう。


 意識を取り戻した零羅は桜蘭たちに自身の事を全て打ち明けた。旅を断念しようとする零羅だが、グレイシアをはじめ、桜蘭たちの強力もあり、零羅は恐れる自分を克服するために再び立ち上がった。


 桜蘭たちの旅はまだまだ続く、リゾート地であるアオシラに辿り着いた桜蘭たちはそこで少し休息をとる。そんな中、桜蘭は人魚であるシレンとワダツミという者たちに出会った。


 ワダツミは桜蘭に意味深な言葉を残し、姿を消す。


 そして桜蘭たちがここで休息をとった理由は別にあった。それは桜蘭たちの武器を用意する事、サムはこの先の戦いを見越してここに住む武器職人のチュニアと呼ばれる人物のところに立ち寄った。


 そこで桜蘭たちは新たな武器を持ち、旅を再開した。


 ここからの戦いは更に激しいものとなっていった。みんな傷つきながらも次々とリーダーを退ける。


 そんな中桜蘭たちは殺し屋、青薔薇に遭遇する。桜蘭たちを標的とする青薔薇、桜蘭たちは青薔薇とも戦わなければいけなくなってしまった。


 旅はようやく中盤に差し掛かったところ、リーダーの一人ジョニー・ヨゥと戦ったサムが戦線を離脱せざるを得なくなってしまった。


 桜蘭たちを統率する人物がいなくなった、それでも桜蘭たちはこの世界の為に旅をつづけた。


 しかし、幸運は長くは続かない。桜蘭は睡蓮の真の正体を偶然にも知ってしまった。


 睡蓮の正体は連続殺人鬼、村を壊滅に追いやった真の人物は睡蓮の仕業だったのだ。


 共に戦い、睡蓮を慕っていた桜蘭は絶望の淵に叩き落とされた。そしてその中睡蓮の策略により零羅が再び暴走してしまう。


 桜蘭は零羅を救う為、みんなを救う為に睡蓮と戦う事を決意した。桜蘭は暴走する零羅の行動を逆手に取り、睡蓮と激闘を繰り広げる。だが突然、睡蓮は苦しみだした。


 そして人間だった姿がみるみるうちに巨大なバケモノと変わっていった。その姿に驚愕する桜蘭だったが、それでも桜蘭たちは戦い、睡蓮に止めを刺した。


 戦いの後、桜蘭はグレイシアからバケモノの正体を聞かされた。この旅はただ勝てばいいというものではない。戦い、その中で礼と同じく覚醒に至らなければいけない。そうしなければ桜蘭たちもバケモノとなってしまう。


 最悪の事実も受け入れるしかない。桜蘭たちは旅を続ける。そんな桜蘭たちの前に再び青薔薇が姿を現した。


 そこで桜蘭は青薔薇が何故自分たちを狙うのかの理由を知る。青薔薇の正体は、死んだはずのグレイシアの父親、だった。


 青薔薇は娘のグレイシアから幸せを奪った礼を憎み、礼と同じ境遇の桜蘭たちを恨んでいた。青薔薇の真の目的はグレイシアを取り戻す事。だがグレイシアはそれを拒んだ。


 憎しみで礼を殺そうとする青薔薇、愛ゆえに礼を殺そうとするグレイシア。二人は戦う運命を辿った。


 桜蘭たちは総力を上げて青薔薇に挑む。青薔薇との戦いは苦戦を強いられた。それでも桜蘭たちは粉骨砕身で戦い、辛くも勝利を収めたのだった。


 疲弊する桜蘭たち、だが旅はまだ続けなければいけない。そしてそんな桜蘭たちを更なる絶望が襲う。


 巨大な橋の中で、次に待ち構えていたリーダー、それは礼自身だった。


 しかし桜蘭たちもただ旅をしてきたわけではない、桜蘭たちは奮起し礼に勝負を挑む。


 成長した桜蘭たちは善戦するも、それでも礼の実力は圧倒的だった。戦いのさなか再度暴走した零羅ですら、礼にはまだ遠く及ばない。追い詰められた桜蘭。その時だった零羅は戦いの中、ようやく自身の答えを見出し、遂に自我を取り戻す。


 零羅はほんの一瞬の礼の隙を突き、礼と共に橋の上から奈落の底に飛び降りた。


 零羅を犠牲にし、ようやく礼を倒した。だが、ゲームはまだ終わってはいない。


 桜蘭たちは旅をつづけた。そして残すリーダーはあと二人となった。中央にいるとされるまだ不明のリーダー。


 そして世界最強と言われる男、ディエゴ アンダーソンが最後の砦として桜蘭たちの前に立ちはだかった。


 ディエゴの実力は凄まじいものだった。桜蘭、麗沢、エルメス、グレイシア、シィズ、全員で立ち向かうが、魔法を持たないただの男、ディエゴに一撃すら与えられない。


 その圧倒的な力を前に、遂に桜蘭は倒れ、負けを痛感した。


 だが、まだ勝負は終わらない。


 目の前に死んだと思われていたの零羅が現れた。そして零羅の口から負ける訳にはいかない理由をきかされる。


 それは礼はまだ生きているという事、そしてこのゲームの結末の人類滅亡の方法を聞かされた。


 礼の人類滅亡の手段は全世界の核攻撃、礼は核で世界を滅ぼそうとしていたのだ。


 再び現れた零羅の実力はこれまでとは一味も二味も違っていた。零羅は自我を取り戻したと同時に遂に覚醒に至ったのだ。そしてその覚醒はもう一人の暴走する零羅を乗り越えた。


 ディエゴと零羅は互いに一歩も譲らない戦いを繰り広げた。しかし最後は、零羅が導いたほんの一瞬を桜蘭が突き、ディエゴとの勝負に見事打ち勝った。


 残るは最後のリーダーと、礼一人になった。





 中央決着編。

 

 ディエゴを倒し安堵する桜蘭たちであったが、ゲーム終了の期日がもう寸前のところまで来ていた。


 桜蘭たちは、異世界を走る高速鉄道の試験車両に乗り込み、中央を目指した。


 そして遂に中央に辿り着いた。残された時間は数時間、桜蘭たちは不思議と誰もいなくなった摩天楼を突っ切った。


 そして摩天楼の奥に礼の待つ一際大きなビルに辿り着いた。そこには礼の残した千人もの兵士が待ち構えていた。


 この状況を打破する為にシィズは自らが囮となり桜蘭たちを先に進ませた。


 桜蘭たちは礼とリーダーの待つビルに突入し、そしてそのビルの最上階へと辿り着いた。


 最上階の玉座の間、誰もいないと周囲を捜索する桜蘭の頭の上に何かが落ちてきた。それは一匹の喋る狐だった。自らをフォックスと名乗った狐こそが最後のリーダーだった。そして礼に到達するための真の砦であった。


 フォックスを倒さねば礼のいる場所へは進めない。しかし、フォックスは礼からある指示を受けていた。


 賽を振り、出た目のその一人だけが礼の元へ行ける。時間が迫っていた桜蘭たちはその条件を飲まざるを得なかった。


 そして出た目は桜蘭だった。桜蘭は一人先に進み礼のいる屋上へと駆け上った。


 こうしてそれぞれの最終決戦が始まる。まずはフォックス対零羅、麗沢、エルメス、グレイシア。四対一と有利な戦況ではあったが、フォックスのパワーはその呑気な性格と見た目とは裏腹に今までの他のリーダーを軽く超えていた。フォックス自身も桜蘭同様にこの世界に飛ばされた存在。この世界に飛ばされた者はおのずと全ての魔法が使えるようになる。しかし、フォックスの魔法は桜蘭や零羅たちはおろか、礼すらも凌駕する威力の青く燃え盛る炎を操り四人を苦しめた。

  

 青い炎はグレイシアの氷すら軽く溶かし、掠っただけで炭へとなり果てる。そして零羅の強烈な一撃も軽やかな身のこなしでかわされる。完全にフォックスが優勢であった。


 しかし、フォックスの放った何気ない一言が、麗沢の心に火を点けてしまった。麗沢は普段から訳の分からない性格をしているオタク気質な太った男だ。そし麗沢にとって食事とは崇高なるもの、それを冗談半分でも傷つけられた麗沢は、その凄まじいい熱意に呼応し、何故かそれで覚醒へと至ってしまった。


 しばらく状況を掴めないフォックスだったが、フォックス自身も負ける訳にはいかない。遂にフォックスは本気を出し、四人に襲い掛かる。


 互いに全てを出しあった。麗沢の身を呈した攻撃すら、フォックスはそれを受け流した。実力だけなら四人を完全に上回っていた。しかし、フォックスの性格が勝利をもたらさなかった。


 フォックスは自身の背負っていたリーダーの証である装置を自らの熱すぎる炎のせいで壊してしまっていた。フォックスは自滅という形で四人は偶然にも勝利を手にした。


 しかし、ゲーム終了の時間は既にあと数分となっていた。




 一方屋上へと向かう桜蘭、その屋上で三上は桜蘭を待っていた。


 いよいよ最終決戦、桜蘭は今持てる最大の力を持って礼に挑んだ。ここまで戦い抜いた桜蘭の実力は、礼の攻撃を見切れるほどにまでなっていた。それでもやはり、礼に一人で挑むには力の差がありすぎた。


 桜蘭はまだ覚醒至っていない上に礼の実力はその覚醒者すら上回るほどの腕前だ。そして何より桜蘭自身がまだ心のうちに迷いを秘めていた。人を殺す覚悟、桜蘭にはまだそれが足りなかった。


 故に桜蘭は礼に勝てない。その事実を礼自身の口から突き付けられる桜蘭。桜蘭は悔やんだ。至極単純な事だった。桜蘭は自分の情けなさに絶望した。


 絶望に沈んだ桜蘭の前に礼が止めを刺そうとした瞬間、桜蘭の絶望は己への怒りへと変わった。桜蘭は己への怒りを力に変え、再び立ち上がった。


 そして異常に膨れ上がった桜蘭の怒りは、桜蘭自身に覚醒を促し、そして更なる力を与えた。


 それは礼も持つ、魔法とは違った不思議な力。桜蘭はその力を使い、礼の不思議な力の正体を暴いた。


 桜蘭の目覚めた不思議な力、それは動物たちと会話し、そして支配する事だった。


 覚醒した桜蘭は、動物たちの協力を得て礼を追い詰め出した。


 しかし、礼もまだ本気を出していたわけではなかった。遂に礼も本気をだした。


 礼との勝負はほぼ互角、消耗戦となり、互いに大量に血を流しながらも二人は立ち続けどちらかが倒れるまでその攻撃の手を緩めなかった。


 そして互いに残されたのはあと一撃を与えられるかどうかの体力だけだった。桜蘭と礼は互いに最後の力を振り絞り、最後の一撃を放った。


 だが、勝っていたのは礼の方だった。力だけでは勝てない。桜蘭は最後の手段に出た。


 桜蘭は攻撃の手を止め、残った僅かな力で礼の武器を弾く事に成功した。


 本当の最後の一撃、勝負はどちらかが剣を先に取るか・・・勝利の旗の柄を掴んだのは、桜蘭だった。桜蘭は全ての力を出し切り、礼に止めの一撃を与えた。


 桜蘭は遂に、礼に勝利を収めた。


 桜蘭が礼を倒した直後に、グレイシアが現れた。そしてフォックスを倒した麗沢たちも続々と桜蘭の元に駆け付けた。全てが終わったんだ、そう思った矢先の出来事だった。


 「私も知らない、全ての真実を知りに行く」


 グレイシアが突然そう呟き、桜蘭たちをある場所へと連れて行った。


 猛スピードでグレイシアはある場所を目指した。途中警察に追われようがお構いなしだ。


 そしてとある森の中にある一軒家に辿り着いた。


 そこで桜蘭はゲームの真実、この異世界の真実を知る事になる。


 その家にはスチュワートと呼ばれる老人がいた。そして老人から桜蘭はある本を託された。


 タイトルは『この異世界より真実を込めて』桜蘭は恐る恐るページをめくった。


 「この世界は常に監視されている」


 この異世界、アダムス連合王国というのは、桜蘭たちの世界の人間、彼らと呼ばれる者たちの実験場だった。


 彼らの実験の目的は、この異世界の不思議な力を用い、不老不死を手に入れ、そして魔法を利用した新たな軍事技術の開発をする事にあった。


 桜蘭たちはそんな彼らの試験体としてこの異世界に飛ばされ、経過観察されていたのだ。その事実に行き着いた礼は、彼らから桜蘭たちを守る為と、彼らを欺くため、そしてこの世界のみんなを救う為に自らが敵となったのだ。


 しかし、礼の命はあともう少しで尽きようとしていた。この異世界に飛ばされ覚醒に至っても、二十年という限界は超えられない。それを超えるとどう足掻こうがバケモノとなってしまう。


 その為礼は、ここの世界に後にやって来る物たちに全てを賭ける事にした。


 礼の行ったゲームの真の目的は桜蘭たちを強くし、覚醒に至らせ、彼らに対抗する手段を見つける。そして全員を救う方法を探す事だった。


 桜蘭たちはその真実を受け入れた。昨日の敵は今日の友。この異世界を守る為に世界の敵となった礼の意志を継ぐと決めた。


 全ての真実を知った桜蘭たち。だが、その事に勘づいた彼らが桜蘭を追って現れる。スチュワートは囮となり桜蘭たちを逃がした。


 逃走する桜蘭たちの前に、中央に置いてきたはずのシィズが現れた。しかし桜蘭たちはそのシィズに違和感を感じていた。


 シィズ・ナナの正体は静也丸 峰子、桜蘭たちが彼らと呼ぶ人物の一員だった。


 シィズは、桜蘭たちに仲間になるよう提案するが桜蘭たちはこの異世界の為に戦う事を決意した。


 礼の残した核を電磁パルス攻撃として利用し、桜蘭たちは新たな戦いの火蓋を切った。


 桜蘭たちは、スチュワートの残していた電磁パルスに対応した自動車で逃走し、礼の残した彼らに対抗する手段の手掛かりを追ってある場所に飛び込んだ。


 それは海の中、桜蘭は再び人魚のワダツミとシレンに再会した。


 人魚はまだ彼らに知られていない。礼はあらかじめそんな人魚とコンタクトを取り、桜蘭たちがここに辿り着く事を計算していたのだった。


 事情を知る人魚たちは快く桜蘭たちを迎え入れた。


 そこで桜蘭たちは新たな旅の準備に差し掛かった。


 一つは彼らを追い、一つは真実を伝えに、そして一つは新たな仲間を探しに。

 

 平和への願いを胸に、それぞれは再び闘いの旅を始めたのだった。



 第三章へ続く・・・


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