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Ⅰ 勇者の一族

魔王幹部と魔王討伐する事になったんですが!?


Ⅰ 勇者の一族


ここは大都市アルマンヘルクではなくそこから約36000㎞離れた村。アーサ村。

アーサ村とは先代の魔王マモンを討伐したアーサー・ファロンが育った村。因みにそれまではまた別の名前だったらしいけど俺はその時を知らない。魔王マモンを討伐したアーサー・ファロンは俺の実祖父だった。祖父が病に倒れ亡くなり、もう13年が経過していた。マモンが討伐されて世界は平和の道筋へと足を進めていってるはずだった。しかしその平和への道筋は新魔王サタンによってふたたび地獄への道筋へと歩き始めた。

昨年に忽然と現れた魔王サタン。彼の手によりいくつもの大都市が火の海と化し水の底へと沈み闇の中に葬られた。

見かねたこの世界の王、ダガン・アルベルトは魔王を討伐した祖父の村である、ここアーサー村へと勇者の血族である者を魔王討伐へと向かわせよ、との指令を発布したのだった。


『との事なんじゃがユウ、ユラ頼めるかの?』


長い髭が特徴的なおじいさんが言う。


『頼むって事は例のあの剣の事?』


そう切り出したのは俺の妹、ユラ・ファロン。歳が三つ離れた15歳だ。


『そうじゃ、アーサー様の剣。聖剣デュランダルを操れし者を和が後継者とする。それがアーサー様の遺言じゃ』


聖剣デュランダル。魔王マモンを滅ぼした祖父の聖剣。ありとあらゆる魔を討ち滅ぼせし最強の剣とされている。なお、使い手はデュランダル自信が決めるとされているらしい


『わかりました。ユラはどーする?』


俺はユウに聞いた。


『兄さまがするのでしたら私も』


ユラもやるようだ。



聖剣の祠


聖剣を奉り生前の祖父が魔王を倒したのちにこの祠に剣を刺し込んだ。いつかもし魔王が復活した場合デュランダルを抜くものを勇者とするために

 

『あれがデュランダル』


ユラが驚いたように呟く。それもそのはず。血族である俺やユラですら生で見るのははじめてだ。


『ではまずユウよ。試すがいい。』


長老に言われるがままに俺は祠の中心にあるデュランダルの元へと向かった。


『デュランダルよ。我を後継者としまた、いかなる時も我を守りて時には矛に時には盾となりて我が聖剣としてここに我との契約を示せ』


これはデュランダルとの契約に必要な言霊だそうだ。俺も祖父から聞いただけで実際に口にするのは初めてだ。しかし


バチッ


弾けるような音とともに俺の手はデュランダルから弾かれた。


『どうやらユウは選ばれなかったみたいじゃの』


長老が冷たい声で俺に呟いた


『嘘、だろ。』


自分が抜けなかった事にも驚いたが何よりユラに全てを背負わせる可能性が出てきた事にも絶望した


『兄さま。』


ユラは遠目から見守る事しかできなかった。


『ではユラよ。試しなさい』


ユラが祠の中心にたちデュランダルの元へと向かった。


『デュランダルよ。我を後継者としまた、いかなる時も我を守りて時には矛に時には盾となりて我が聖剣としてここに我との契約を示せ』


ユラが言霊を言った瞬間にデュランダルから光が放たれそして抜けた。一番恐れていた事態になってしまった。


『う、そ』


一番驚いてるのはユラ自信だ。ユラはユウの事をずっと慕ってきてくれた。自信が慕う兄よりデュランダルに選ばれたことに同様を隠せなかった。


『ユラ・ファロン適正じゃの。』


長老はそう呟いた。



村の集会所


ザワザワ


『皆のもの注目せい』


長老が大声でそう切り出す。


『現国王から魔王討伐の為にアーサー様の血族である者を魔王討伐に向かわせよとの通達があり今、適性検査が終わった。デュランダルに選ばれしものはユラ・ファロン。皆のもの大いに祝福し送り出すのじゃ』


長老がそう切り出しているときには俺とユラは家にいた。


『ユラ。本当にいくのか?』


俺は弱々しい声でユラに聞いた。


『はい。兄さま。私はデュランダルに選ばれました。その使命を全うする所存であります』


ユラの決意は硬い。それになにより俺がどうこう言える立場でもない。


『そうか』


俺はその一言だけを呟いた


『見送りは結構です。別れが辛くなります。今、ここで私は勇者として旅立ちます。では兄さま』


ユラは力強くもどこか悲しい声でそう俺に告げた


『ああ。頑張れよ』


『はい。ではサヨウナラ』


ユラは俺とユラの家から旅立った。振り替えることもなく。俺は虚しさと情けなさでどーすることもできずただその場に立ち尽くした。


『ユラ頑張れよ』


『頼むわよ』


『この世界の命運はユラにかかっている!』


村人たちからの期待の声を聞いてユラは笑顔でありがとうとだけ告げアーサ村を後にした。


『サヨウナラ兄さま』  


ユラの頬に一滴の涙がこぼれ落ちた。

勇者ユラ・ファロンは魔王討伐へと旅立った。


ユラが旅立ってからもう一月が立とうとしていた。俺事ユウ・ファロンはというと妹であるユラに勇者の座を取られたことと血族なのに何もできない事により村からは白い目で見られていた。


『聞いた?ユラちゃんもう仲間を見つけたらしいわよ』


『聞いた聞いた。何しろあの聖剣に選ばれた子だものね』


村の農婦たちが立ち話をしている。そう。ユラはさっそく仲間を見つけたらしい。


『おいおい。出来損ないが歩いてるぞ~、』


『まったく。勘弁してほしいわね』


一月前のあの日から俺の扱いはこうだ。それもそのはず。妹が魔王討伐するのに俺はというと村でただぼーっと過ごす毎日だからな。


『これ。あまりユウをいたぶるでない!』


長老がそう一言活をいれる。


『しかし』


『運命はデュランダルが選んだのじゃ。抗えん!』


長老が強い口調で言う。しかし俺に問題があるのも事実。ユラが選ばれた事で負けじと修行などをすればいいのに俺はそれをしなかった。理由は簡単。ユラがいなくなった事により無気力になってしまったんだ。


『しかし、ユウよ。そなたも少しだらけすぎではないかの。』


ごもっともの意見に俺は何も言えずペコリと頭だけを下げて歩きだした。


『まったく。困ったものじゃ』


俺はこの何もない村で勇者の血族であることを否定され妹も旅立ちずっとこのままで死んでいくんだろうなと思っていた。しかし地獄への歩みはまた再び忽然と歩み出す。


『おい。なんだあれ』


『魔族。なの?』


『ヤバイぞ。みんな家に逃げろ、早くしろ』


村人たちが口々にざわめき慌て出す。なんの騒ぎかとユウ自信も外に出る。すると


『空に、空に魔族がいるぞおおおおお。』


空から魔族が見下ろしていた。


『嘘だろ。』


ユウは信じられないように呟いた。  


『この村なのね。勇者の血族がいるのは』


空に浮かぶ魔族がそう呟く


『まあ、いいわ、魔力弾』


ドガーーーーーーーン


凄まじい爆音と共に村が壊滅した。


『ゲホゲホうそ』


ユウは信じられないように呟いた


『あら、まだ生きている子がいるわね』


ペルセポネがこちらを見つめながらそう言う


『ハアハアもう死ぬのか』


ユウは絶望した。

 

『まだ諦めるのは早いですよ』


心の中に声が響く


『君は』


そう告げると目の前に同い年位の女の子が表れた


『私はヘル。』


女の子がそう告げる


『へるですって?』


魔族も驚きの表情を見せる


『まさか女で唯一の元魔王となり行方を眩ましたあの元女神?』


『そうです。とりあえず私の話を聞いてもらいましょう』


へるがそう話す。



『我が主と魔軍総括官。何から話そうか。まずは私の存在からですね。私の名前はヘル。さっきペルセポネが言った通り私は死を司る女神。そして女性で唯一の魔王になった伝説の神様なの。』


ヘルが半分冗談のようにほのめかしながら言う


『そして、総括官さんは知らないだろうけど、そこのユウ・ファロンは、祖父が勇者のアーサーで母は悪魔リリスです。』


『リリス様、ですって?』


ペルセポネは今だかつて無いほどの驚きに満ちた表情でヘルに尋ねた。


『へえ。知ってたのですね、悪魔の母と呼ばれるリリス。それが我が主の母親です』


悪魔リリス。俺ですら聞いた事がある。魔界の母とも言われその美貌は女神にも匹敵するほどだと言う。


『ちょっと待ってくれ。話についていけない。俺があの魔族の息子?って事はユラもか?』


俺は戸惑いながらもそう聞き出した


『我が主よ。知らなかったのですか?主と妹君は血は繋がっているが母親は違うのですよ?』


衝撃の事実。このヘルの話をまともにとらえるなら俺とユラは腹違いの兄弟ってことになる。正直信じられないが嘘とと思えない。


『じゃあ、俺は勇者の血族で有りながら悪魔の血族でもあるって事か?』


『そうですね。それに女神の主でもあるから人間かどうかも怪しいところですね』


ヘルが冗談混じりにサラッとえげつないことを言った。


『それでヘル様、貴方が加護としてついていると言うことは何かそれなりの力があると思っていいの?』


ペルセポネは当たり前のように質問するが俺には加護とか一切わからなかった。


『ええ。勿論あるんですが、、、まあ、物は試しですね』


ヘルはよくわからないことを言いながらニッコリと微笑んだ


『ではキスしてください』


その場が固まった。


『は?え?キス?』


俺は戸惑いながらそう聞いた。ペルセポネも動揺しているのがみてわかった。


『そうです。キス。すなわち接吻です』


またヘルが微笑んだあ


『ちょ、待ってって。俺キスなんてしたことないし、それにペルセポネさんも嫌ですよね?』


俺は焦りながらそう呟くと


『それは、私にとってメリットはあるのかしら?』


ペルセポネが冷たい瞳で訊ねる。


『まあ、やってみればわかるよ。さあさあ、キスして』


ヘルがやけにノリノリだった。こいつもしかしたらただキスが見たいだけなんじゃ。と思ってしまう


『なら、仕方ないわね。さあ、そこの子私にキスしなさい』


え、あ、うそおおおお。ってか魔族とキス?俺のファーストキスが魔族?嘘だろ。普通に人間とするかどうかも怪しかった俺の唇を魔族が奪うのか?いや。俺が魔族の唇を奪うのか?もう何が何だかわからない。


『は、早くしてちょうだい。私も、は、初めてなんだから。』


うそおおおお。しかも魔族の幹部?のファーストキスを奪うって、マジかよ嘘だろ。嫌ダメだろ流石にこれは、


『じ、じゃあ』


うわあああ。気持ちと体の動きが合ってくれない。このままじゃ本当にキスしちゃう


『おお、おお』


ヘルがにやけながらも手で顔を隠している。


チュッ


合わさってしまった。魔王軍幹部の美人のお姉さんと俺の唇が、その唇は柔らかくそしてどこか冷たかった。


『    』


ペルセポネは無言で固まったまま。しかし顔はほんのりと赤くなっていた。


『おお~、あれがキスとやらですか。それよりも魔軍総括官さんそろそろ発動しますよ』


その台詞と同時に固まっていたペルセポネが異変に気づく


『な、こ、これは』


驚くペルセポネにヘルが言う


『そうですね。我が主の能力は魔力の完全回復と限界突破。我が主とキスした者は魔力や状態以上、体力までもを全回復できるのです!』


な、すげーー。って魔族の幹部にそれを使ってどーするんだよ。と思いつつも


『じゃあ、俺とキスしたら何度でも回復可能って事じゃ!』


結構凄い能力だ!と思った瞬間に


『同じ人には一日一回までですよ』


使えねー。なんだよ。ま、まあでも限界まで絶えてからキスすればもう一度戦えるって事だよな。これでユラの役に立てるかもしれない


『我が主。恐らく妹の役に立てるって考えてると思うんですけどこの能力で回復するのは魔族だけですよ?』


魔族だけですよ?という台詞だけが頭の中で永遠とリピートされた


『ちょっと待ってーー。じゃあ俺は魔族の回復しか出来ないってことか?』


『はい!そもそも元魔王であるヘルに人間を癒す力など期待しないでください』


ヘルが誇らしげにフフンと胸を張る


『つまり、俺は魔族の回復元って事か?ヤバイじゃん』


そう。つまりユラを助けるどころかこれからは魔族全員から狙われる事になる。しかも目の前には魔軍総括官。終わったと思った。


『それで?これからどーするのです?我が主。』


ヘルが空気を読めない事を質問してくる。


『出来ればユラの手助けとして魔王を討伐したいんだけど』


チラッとペルセポネをみる。ペルセポネもまだキョトンとしていた、


『あはははは。魔族しか癒せないのに魔王を倒すのですか?』


ヘルは小バカにしつつも目が真面目に質問してくる


『ヘルは面白い人に憑かせていただきました。』


どうやらヘルには気に入ってもらえたみたいだが

 

『それは目の前に私がいるのをわかってて行ってるのかしら?』


ペルセポネは冷血な瞳でユウの方を睨んだ。


『で、ですよね』


ああ。俺はここで殺されるんだと思ったその時


『では、私も魔王様を討伐するのに協力しましょう。』


言葉がでなかった。魔王軍の総括官であるペルセポネの口から協力するって言う台詞を聞いたのだから


『え?』

 

『へ~、』


俺は戸惑いながら聞き返す。ヘルは感心を持つように聞き返していた。


『魔王様。いえ魔王討伐に私も手を貸します。』


ペルセポネは落ち着いて答えた


『で、デモなんで』


俺は疑問しかなかった


『そうですね。恐らく我が主のキスに魅了されたのでは?』


ヘルがふざけながらそう切り返す


『確かにそれもありますが、魔王軍総括官としての使命より貴方に興味が出てきたのよ。ユウ・ファロンくん』


そう。ペルセポネは魔族しか癒せないとわかってて尚、魔王を討伐すると言うユウに興味があった。彼女の好奇心からすれば彼を気にかけるのは当然の事だった


『それに。ファーストキスの相手にそんなに簡単に死なれてもつまらないですし』


ペルセポネは初めてニッコリと微笑んだ。こうしてユウ・ファロンの魔王討伐の旅は可笑しな女神と魔王軍総括官と共にスタートした







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