婚約破棄をする馬鹿王子を育てた王妃の話
「ゲルドフをしっかり教育するのよ!」
「「「はい、王妃様!」」」
私はヴィクトリーヌ、側妃に男子が生まれた。ゲルドフが王につくために厳しく躾けるわ。
「悪いことをしたらムチを使いなさい!」
「「「はい、王妃様!」」」
「学友も選抜よ!」
「「「はい、王妃様」」」
「婚約者はもう決めるわ。家門、教養、マナー、選抜試験を行いなさい」
「「「はい、王妃様!」」」
「ゲルドフ、私の言う事を聞けば幸せになれるのよ」
「はい、母上」
そして、婚約者は侯爵令嬢のアリシアに決まった。
「王国に輝く太陽に寄り添う月である王妃殿下にご挨拶申し上げます」
「まあ、侯爵令嬢・・ね。及第点だわ」
そう、最高の教師、最高の学友、最高の婚約者を用意したのに・・・・
「ウホホホーイ!追いかけっこしようぜ!」
「「「キャアアア—――――!」」」
「殿下!女学生を追いかけ回すのは止めて下さい!」
学園に入学してから馬鹿になった。
「どうしてよ!学園長を更迭しなさい!」
「王妃殿下、それは無理です。学園は自治となっております。王権でも介入はできません」
「それをするのが貴方たちの仕事でしょう!」
厳しく育てたら、自由になった途端、ハメを外しやがった!
「キィィイイイイイ!」
「王妃殿下、臣下の前でハンカチを噛むのはお止め下さい!」
しかも、なまじ成績が良いからタチが悪いと評判・・・
婚約者を呼びつけて叱ったわ。
「貴方がしっかりしてないからゲルドフはおかしくなったのよ。しっかりしなさい」
「はい、王妃殿下・・」
側妃派は、第二王子のヴォルティスは・・・
「普通とカゲからの報告です」
なら構う必要はない。
そうだ。陛下を動かして学園に行こう。ゲルドフに意見をしてもらおう。
陛下と学園に行ったら・・・・
「アリシアとの婚約を破棄する!・・・」
とんでもないことになっていたわ。
隣にいる娘は誰よ!
平民、それとも、男爵令嬢?
許さないわ。伯爵家が許容範囲よ・・・
しかし、ゲルドフよりも頭二つ高い。
「アリシアどん。すまねえだ。真実の愛に目覚めただ!」
え、田舎者・・・よく見ると二の腕がパンパンね。身長は2メートルかしら。太っているというよりも腰が太い。
キリッと目を見開いて・・・怖いわ。
これは何と言って良いか分からない。
陛下はヒゲをイジっているわ。
「陛下、王妃殿下の登場である!」
先触れをしても、ドンと構えているわ。腕を組んでいる。
「ゲルのご両親に挨拶するだ。お初に、お目にかかるだ!。騎士ルドの娘、ミーシャだぁ!」
騎士の娘・・微妙だわ。騎士は貴族の範囲外だわ・・・でも、軍功があれば名誉は貴族と変わらないわ。平時でも前線に立つ騎士は尊重されるわ。
側近に近衛騎士団のウェーバーがいたわね。
彼はミーシャを見て目を輝かせているわ。
「あの英雄騎士ルド殿の娘、ミーシャ様も強い・・殿下はいいな」
えっ?!
側近候補たちは目を輝かせているわ。何故?はっきり言って醜女・・だわ。
「ゲルドフ、何故その娘なの?せめて伯爵令嬢にしなさい。男爵令嬢でも養子で伯爵家令嬢にするから、ほら、あそこのフワフワして可愛いだけの男爵令嬢にしなさい。ねえ?」
すると、キリッとして言い放ったわ。
「母上・・・ミーシャは私を叱ってくれました・・・運命の出会いの日を話します」
☆☆☆回想
ある日、面白い趣向を思い付きました。令嬢の群れに目隠しをして飛び込むのです。誰に抱きつくのか分かりません。ワクワク感が半端ないですね。
・・・我が息子ながら最低だわ。
『待て~!』
『キャアアアーーーーー』
ええ、どの娘に抱きつくか分かりません。
その時、山のような感触にぶちあたったのです。
『お、大女か。それもいいな』
と目隠しを取ったら、ミーシャでした。
『おめ様何やっているだ。令嬢さ、怖がっているだ』
『はん?何だ。ブスか。私は王子だぞ』
『関係ねえだ。お尻ペンペンしてやるだ!』
『おい、殿下を救え!』
側近達は投げ飛ばされて、私は皆の前でお尻ペンペンされました。
叩かれているうちに・・・幼少時の教育を思い出しました。
『殿下、間違えましたね。ムチ三回です。お尻を出しなさい』
『はい、マダム』
何か、安心感、抱擁感に包まれたのです。僕は守れている。悪い子を叱ってくれる・・・
お尻ペンペンが終わった後、ミーシャは・・・
『おめ様のお母様の代わりにしかっただ!悪いことをしてはいけないだ』
そうです。悪い子である私を叱ってくれたのです。母上の代わりに・・・
・・・・・・・・
「その言葉で・・・好きになりました」
ヒィ、側近候補達もムチを打たれる教育を施されていたわね・・・何、これ?性癖が歪んだ?
「ヒィ、ゲルドフ、陛下も何とか言いなさい。アリシア、あなた、婚約者をとられてもいいの?」
「うむ・・・うむ」
陛下は悩むだけだわ。
アリシアは。
「はい、婚約破棄を承りましたわ。王家とお父様の話会いになりますわね」
とのたまう。
どうして良いか分からない。廃嫡は免れたけども・・・
まあ、どうせ。社交界でボロを出すわ。
ミーシャをお茶会に招待させた。ドレスの縫い目すらも見るマダムたちだわ。あの体格で可愛いドレスを着て行ったわ。
「あら、ミーシャ様、面白い状態になっていますわね。クス」
「「「クスクスクス」」」
「もお、どこを褒めていいかわかりませんわ」
「うんだ。もっと面白く出来るだ。宙返りが出来るだ!」
二メートルの身長で宙返りを披露しやがった。
ガキ・・・いえ、マダムの子息子女達の人気者になったそうよ。
「「「スゲー!」」」
「やり方、教えて」
「すごいわ」
「ええだ」
「ルードック!リーシャ!やめなさい!」
また、物理的な嫌みに対しては。
「あ~ら、ごめんあそばせ・・キャ!」
足を引っかけたマダムが転倒したそうよ。
「大丈夫だが?」
「ヒィ!」
真剣な目で見ると怖い。
また、使用人にお茶をかけさせたら。
「申訳ございませんわ」
「何の。誰にでも失敗はあるだ。火傷しなかっただか?」
「まあ、怒られても、私は伯爵家出身のメイドで・・・えっ?」
使用人達の心を掌握したそうだわ。
全て素で躱しているのね・・・
一体、どんな生活をして来たのよ!
「調査の結果、山で魔物狩りをしていたそうで・・・初討伐は5歳の時、村を襲った大ザルを棍棒でボコったそうです・・・冒険者たちを率いてそこで人心掌握の術を学んだそうです・・いえ、身についたが適切な判断でしょう」
「ヒィ!どうしたらよいのよ!」
もう、第二王子は・・・そのままだ。何の動きもない。
アリシアも幼なじみと婚約を結んだ・・・・
「王妃殿下、心は抑圧したら必ず爆発します。殿下が学園で馬、いえ、はっちゃけたのはそれが原因では?もう、これで良いのではないでしょうか?」
・・・一理あるわね。王位は継げるし良しとするわ。
フウ、孫は沢山生まれそうね。女の子ばっかりだったら側妃も検討しなければならないわね・・・
少し安心したわ。
でも・・
「王妃殿下、ミーシャ様の王妃教育の日程を組みました。ご確認下さい」
「えっ・・・何、このギュウギュウのスケジュールは?私の担当多すぎでなくて?」
「はい、ミーシャ様は野育ち、いささか王宮のマナーに疎いです。是非、義母になる王妃殿下から学びたいと言っております」
【イヤーーーー、今度は私が抑圧されるじゃないの!】
叫ぶことしか出来なかった。
最後までお読み頂き有難うございました。




