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06:作戦開始

魔法とは――、エネルギーである魔力を使い、自分の中にある【想像】を呪文や魔法陣などを使い具現化させるものである。人により魔力量が異なるため、魔力量の消費を抑えるためには、発動させる事象の深い理解が必要になる。   ~魔法基礎第1章より~





魔法に関しては、彼が勉強していた所で知識が止まっているのでこの問題が片付いたら思う存分書庫に閉じこもろう。



しかし、ありがたいことに科学文明が発達した世界からやってきているし、向こうの世界では知りたい欲が旺盛(おうせい)だったから幼少期、生物図鑑から始まりありとあらゆる生き物の図鑑を熟読し、飛行機、蒸気機関、新幹線できることなら解体してみたかったな~。



妹のオルゴールを分解したときには1週間口をきいてもらえなかった。

ハイターがどうして色が抜けるのか気になった時には、母のお気に入りのブランドワンピースがドット柄になっていたね……あの時は鬼という生物を初めて見た気がした。



そんなこんなで、私は幼少期から物を渡すと、すぐ壊すことから【クラッシャー】って呼ばれてました。

さぁ、今回も盛大にぶち壊しますかね。






あの話し合いから2週間後―――



「あぁ、(わたくし)の可愛いアスクウェル。目が覚めたのね。本当によかったわ。」



大げさなジェスチャーをしながら私のいるベッドに駆け寄る女性、キャネット=プリモール。

目に痛い、ピンクの髪色にブルーの瞳。ゴテゴテした(よそお)いに羽根の扇、何よりきついのが、これでもかと振りかけている香水。



窓を今すぐに全開にしたい。いや、ガマンだ。チェックメイトまでもうすぐ堪えろ私‼




「それで? 学園から今回の事に関しての賠償金のお手紙が届いてるんですって? 親のサインが必要と……」



「はい、母様。私は書類上成人を迎えておりますが、特例で中等部からの復学を認めていただけるそうです。それに伴って、今まで10年間、勉学できなかったことへの賠償と復学に必要な費用を、国から学園を通して援助していただけるそうです。そのために書類に親のサインが必要なのですが、父様はここ数日領地視察のため屋敷を開けています。早めに書類はお送りした方がいいと思い、母様に連絡いたしました。」




「そうね~、早めにしないと先方にもご迷惑だわ。よく(わたくし)に連絡してくれたわ、アスクウェル。」



猫なで声で褒めたあと、私の髪を優しい手つきで上から下に撫でる。顔には笑顔を張り付けて、息を止め冷や汗と鳥肌がバレない様に必死だった。




「では、母様。あちらに書類と必要なものを用意させましたので、よろしくお願いします。」



あらかじめ用意していたテーブルへ、部屋の隅で控えていたロベルトにエスコートさせる。この女はお姫様扱いが大好きなのでそれは上機嫌でロベルトの手を取っていた。



元は伯爵の令嬢。所作は美しいのに…… そんなことを思っている間に何の疑いもなくサインを書きあげ、その用紙をしっかり確認したロベルトの手により魔封書に入れられていた。


魔封書とは、その封筒に魔力を乗せた人間にしか開けられない封書の事だ。




しっかり封書に入れられたことを確認した女は、用事は済ませたとばかりに扉に向かった。



「では、アスクウェル。(わたくし)は帰りますから、しっかり養生するのですよ。」



こちらを振り返ることもなく、扉はしずかに閉まった……。

すかさずベッドから飛び降りて、すぐに窓を開ける。窓のヘリに身を預けながら、



「ロベルト、がんばれ~」



彼を心から応援した。





その日の夜、屋敷とは別の場所で朝から業務をしてもらっていた、父様とルシアスが屋敷に帰ってきた。

集合場所はもちろん私の部屋。


「守備は?」



「こちらの封筒に入っております。」




父様の問いかけにロベルトが答えた。そのあとすかさずルシアスが心配そうに、




「だが、本当に大丈夫なのか?もし、この文章が消えなければ王家の紋章偽造で処刑だぞ。」



「このインクの実験は実行する前に何度も試したじゃないですか。魔封筒でもやりましたよ。そんなに心配なら、最後の仕上げを今やっちゃいましょうか。」



テーブルの上に鉄製のうすい板をロベルトにのせてもらう。


「温風40℃」



口で言わなくてもいいのだが、わかりやすいように唱えたあと鉄板を軽く触ってみる。触れられない温度ではないが触りすぎると熱い。



「封筒を乗せてください。このまましばらく置くと文字が消えます。」



「何度見ても信じられん。どういった原理で文字が消えているのか……」



父様が不思議そうにつぶやく。かわいい



「神の国の企業秘密です。」




という事にしてみた。眠っていた10年私は神の国で精神体だげで生活していたことにした。

説明できないじゃん‼



私がやったのは消えるインクを作ったこと。熱により消える特性を活かして、あの女が読んだ文章は、開封時には、きれいさっぱりなくなっている。




そして次にしたことは、父様にお願いして教会から〝女神の審判〟に必要な用紙を二枚もらってきてもらい、感圧紙を作ること。ほら、下に転写される紙ですよ。失敗したら困るので、お金はかかったけど予備は必要だよね。




試行錯誤しながら、情報収集しに来る刺客からも逃げながらなんとか完成した。そして本日決行! うまくいって本当に良かった。



「では、父様。手筈(てはず)通り明日、朝一で王様に謁見の申し出をして、召集令状を母様とゼニーロ子爵に出してもらいましょう。あとは、王様に魔封を開けてもらい父様が署名すれば、言い逃れできない証拠の出来上がりです。」



私がそう言うと、父様は私を見つめながら



「そうしたら、おまえは、、、アスクはどうするんだ?」



「プリラモール子爵家の血を引いていない私がここに残るのは、父様が許しても貴族界が許しません。そして、ゼニーロ子爵のところに行くくらいなら、私は野に放たれた方がマシです。」




分かりきっていた答えだったろうに、父様は本当に情の深い人だな~。

でも、王命でゼニーロのところに行けって言われたら困るな……。




「父様、この領地に経営コンサルタントとか雇いません?」



「経営は分かるがコンサル何とか? とはなんだ?」



「領地の経営を再生させるお手伝いをする人の事ですよ。私にはちょっと人に言えない知識があるので、それを活用して仕事ができたらと思っています。ですが、こんな子供がそんな商売をしていたらすごく目立ちます。なので、父様に雇っていただければ、今後のプランが変わるんですけど、どうですか…?」




「もちろん、おまえがそれでいいのなら構わないが、今は払える状況ではないぞ?」



「成功報酬で構いません。今は帰れる場所があるだけでいいんです。それなら、父様もう一つお願いがあります。」



私が出て行かないとわかり安心気に微笑みながら、お願いとは何かなと頷いた父様に、




「私の葬儀の手配をお願いします。」




微笑みのまま父様が固まった。



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