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04:下ごしらえ

カーテンのすき間から差し込む光で目が覚めた。泣き疲れて眠ってしまっていたらしい。まぶたは見事に腫れているみたいだが、心はすごくスッキリしているようだ。



最初に目覚めた部屋のベッドに戻されているようだが、手の届く範囲にテーブルが用意されていて、水差しとベルが置いてあった。



ベルに手を伸ばそうとした瞬間、控えめなノックの音が聞こえた。


「……お目覚めになられたのですね。旦那様と若様をお呼びしてまいります。」



目が合った黒髪の執事がそのまま踵を返そうとしたので、慌てて呼び止める。




「ひつじさん、ちょっと待って‼」


「……もう一度、お呼びいただけますか?」


「ひつじさん…? ちょっと待って」


「わたくし、プリラモール家執事(しつじ)のロベルトと申します。以後お見知りおきを、アスク様。」




黒かと思っていて髪色は濃紺だったらしい。瞳の色は黒。まったく目元が笑っていない。



「失礼しました。執事のロベルトさん。」


「いえ、ロベルトでお願いします。あなたも仕えるべきプリラモール家方です。」




【まだ】って副音声が入ってそうだな~なんておくびにも出さずに、



「聞きたいことがあります。私が目覚めたことを知っているのは誰ですか?」



「昨日、居合わせたわたくし達3人だけでございます。お眠りになったアスク様をこちらに運んだのは、旦那様でしたからメイドも知りません。」



「私が目覚めたことを、今知っている3人以外に広めないようにこの部屋に関係者以外立ち寄れないようにしていただけませんか?」



「理由をお聞きしても?」



「私は、昨日の話を立ち聞きしていました。もちろん褒められたことではないのは分かっています。しかし、知ってしまったからには対策を立てなければいけません。そこで私が目覚めたことを秘匿してください。絶対にややこしい事になるのは、火を見るより明らかですよね?」



ロベルトは一度、瞳をとじ再び目を開けると静かにうなずき、パチンと指を鳴らした。


すると、不思議な膜のようなものが部屋全体を(おお)った。



「結界を張りましたので、これで中の様子は外に漏れないでしょう。わたくしが認証した人間以外は、中の人間の招きがないと入れません。決してノックがしても入室の許可をしないようにお願いします。」



真面目に話してくれているのだろうが、私はそれどころではなかった。うわーこれどうなってるの?

私にも使えるの?指パチンってしただけで出来るの?どういう原理?知りたい知りたい‼




「アスク様、聞いておりますか? とにかくまずは旦那様たちを呼びに行ってまいりますので、大人しくしていてくださいね。」




聞きたいことがあったのに、ロベルトは早々(はやばや)と部屋を出て行った。電話とかテレパシーみたいなのないのかな? 科学文明で育った私には不可解だった。




そんなことを考えていた時に、ノックもなしに扉が開けられそうになった。開かずに外の人物が思い切り扉に当たったみたいだ。



「いッたーい、もう何なのよ。昨日は普通に入れたじゃない。カギなんかかけて、腹立つ。デズモンド様にガキの状態を報告しないといけないのに、なんで私がこんな仕事しないといけないのよ……。」



メイドの一人だろう。何度か鍵を開ける呪文? を唱えていたが効果がないと知ると扉の前で文句を言い始めた。その時、タイミングよくロベルトが父様と、ルシアスを連れて帰ってきた。



「お前、そこで何をしている。」


「ロベルト様、いえッ、あのッ― 配属されたばかりで迷ってしまって…」


扉の向こうで、しばしやり取りがあり、


「今メイド長に連絡を入れたので、指示をもらいに食堂に降りなさい。」


「あッ、はっ、はい、ありがとうございました。」



そういってメイドは去っていった。メイドの姿が見えなくなってから扉を開けたのだろう。扉の前に張り付いている私を見て、ロベルトはぎょっとしていた。


静かにするようジェスチャーをしながら部屋へと招き入れる。しっかり扉を閉めてから、まずは父様が口を開いた。




「夢じゃなかったのだね。私自身が見せた幻だったらどうしようかと思った。」



そういって私に覆いかぶさるように抱きしめてくる父様。ツキノワグマに襲われる人の心境を味わった。



「父様、苦しいです。」



ギブギブと二の腕あたりをタップして、ようやく解放してもらった。時間がないのでさっそく本題に入ろうとしたのだが、この部屋殺風景すぎて椅子すらない。どうしようか考えあぐねていると、私だけベッドに腰かけ、残りの3人はその周りで立ちながら話を聞くことになった。圧迫感がすごい。



「ロベルト、さっきのメイドの顔ちゃんと覚えてる?」


「もちろんです。当家に入れるメイドの最終審査はわたくしが請け負っております。あのメイドもしっかりとした家からの紹介で雇い入れました。」



「さっき扉の前で、私の様子をデズモンド様に知らせないといけないってブチブチ言ってたよ。」



3人が顔を見合わせため息をこぼしていた。


「結界を張ったのは正解でしたね。」


「首の皮1枚つながったな。」


「でも何かあると、向こうはすぐ勘付くでしょうね…。」



上から、ロベルト、父様、ルシアスの順で話していた。



「そこで、今から作戦会議をしたいと思います。」


すかさず私から提案する。題して【第1回:ベッドばた会議‼ 】



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