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03:探検だ

地球の神様と別れてすぐ、今度は異世界の神様とご対面。


「こんにちは、待っていたよ。」



そういって出迎えてくれたのは身体にぴったりな衣装を着こなす中世的な神様だった。



「スーツじゃないんですね。」


私がそう言うと、


「この衣装があなたの元居た世界で言うところのスーツです。そんな事よりさっそく本題に入りましょう。こちらも業務がおしているんです。あなたが入る肉体情報の最終確認です。」



どこからともなく書類を取り出し項目を読み上げていった。


「エンプレ国プリラモール子爵家嫡男、アスクウェル=プリラモールの肉体に入る予定。10年こちらの自然魔法により凍結状態。現状肉体年齢は14歳からスタートです。特典付与についてはあちらの神の管轄です。話は聞いていますか?」



「凍結ってどういうことですか? 私の身体大丈夫なの?」



「細胞凍結の事ですね。肉体の時間を止めています。そうしなければ1年と持たずに肉体が滅びます。あなたの魂が定着すれば自然と解けます。御心配なく。」



「安心しました。得点の件は大丈夫です。」


「それでは、こちらでは以上です。早速行きましょうか。」



引継ぎみたいだな~ あぁ、みたいじゃなくて引き継ぎか。内心おかしく思いながら次に向かうのはどこだろうときょろきょろしてみる。



「場所はここで大丈夫ですので、そのままで。それでは良いセカンドライフを」




神様の言葉が終わると足元にぽっかり穴が開いた……。



ギィゃぁ―――――・・・・・・








ガバッと布団から飛び起きた。まだ心臓がバクバクいっている…



見たことのない部屋、窓の外が暗いことから夜だという事は分かるがいったい何時なのだろう。



ベッド脇に水差しとコップが置いてあったので遠慮なくいただく、水ってこんなにおいしかったんだ。



水のおいしさに感動しながらも、部屋をぐるりと見渡した。ベッド以外特に何もない殺風景な部屋。

手当たり次第に扉を開けてみると、バスルームとトイレがあった。目につくと(もよお)してしまう生理現象…。



性別が変わったことにちょっとの恐怖と好奇心…男性だって座ってできます。




無事ミッションクリア‼ 水洗トイレだった。そこが一番うれしい。

人が来る気配もなし、ここはもういざ新世界へ




外へとつながるであろう扉はすんなりと開いた。少し顔を出し様子をうかがってみるが人影ナシ、所どころ点いている電気? により思いのほか廊下は暗くなかった。




探検のようでワクワクしながら廊下に身を滑り込ませて扉をゆっくり閉める。実は裸足なのだが足元は毛足の長い絨毯が敷き詰められているため気持ちがいい。



体を弾ませながら進むと一緒にふわふわの髪の毛も跳ねる。



通~りゃんせ~通りゃんせ♪~

ここは~どこの細道じゃ~

天神~様の 細道じゃ~♪

ちーっと通してくだしゃんせ~



ついつい楽しくなり歌まで歌ってしまった。



その時、煌々と明かりの漏れる部屋があった。扉が閉まりきらず少しすき間が開いていたのでそばに寄ってみると、中では三人の男性が中央のテーブルを囲みながら話し合いを行っていた。



「父上、これ以上は領民も黙ってはいないでしょう。もう限界です。僕たちは神ではないのです。すべてを救うことなどできません。そんなこと父上だってわかっているでしょう?」




問いかけている青年は、後ろ姿だが体格の良さがうかがえる。薄茶の髪を結わえて後ろに垂らしている。



「わかってはいるが、あの子に罪はない。」



向かい側にいるのは、それなりに年齢を重ねたナイスミドル。

青年と同じ薄茶だが、所どころ白髪交じりの髪を後ろに撫でつけており、ヒゲもよく似合う。



遠めなのと顔を伏せっているので瞳の色は分からないが、肉食系女子INオジサマキラーがいたら、すかさず側に寄り添って慰めたくなる位には、くたびれている。  



しかし、その悲壮感さがまたよし!



そして、少し離れたところに控えている黒髪の青年。




「ですが、このまま行けば利権を手放す羽目になります。それだけは避けなければならない。そのためにあの毒婦を切るしかないのです。わかってください父上。」



畳みかけようとする息子、渋る父親。あっちを立てれば、こっちが立たず…あるあるだね。



「こんなこと言いたくはありませんでしたが、アスクウェル=プリラモールは父上の子供ではありません。僕の影たちに調べさせました。あの毒婦とゼニーロ現当主との子供です。証拠は揃えました。あとは王に謁見を(たまわ)ったのち、結婚自体を白紙に戻してもらえばいいではありませんか。」




そうか、やっぱりあそこにいたナイスミドルが父様か…

これは、私の気持ちではなくこの身体に刻み付けられている感情のような気がする。父様の子供ではないと言われた時、心臓がキューっと痛くなった。息をうまく吸い込むことができず苦しい。




私は体を自分の腕で抱きしめながら、大丈夫と言い聞かせるように繰り返し心の中でつぶやいた。




重い沈黙のあと、父様が小さく 「知っていたよ。はじめから……」 

この言葉を聞いた瞬間、涙があふれて止まらなくなった。これは浄化の儀式かな? もう私は体が満足するまで泣かすことにした。



うっ、ッうっ…ひぃッく…ひぃッく…すんッ、すんッ、ズズッ…すんッ……




あまりの音に中にいる人間も気づいたらしい。

最初に黒髪の青年が、扉を開けて確認した後すぐ父様が私のところに来てくれた。




「アスク、あぁッ、目覚めたのだね。覚えているかい? 君の父様だ。よく顔を見せてごらん。」



涙と鼻水で、ぐちゃぐちゃの顔なのにもかかわらず、あの頃と同じ大きな手で包み込みように顔を上げさせられた後、服が汚れるのも(かま)わずに父様は私の体を抱きしめた。



そしたらまた涙があふれてきて、私も父様の背に手を回してしがみ付きながらわんわん泣いた。



良かったね。血のつながりではなく、キミのお父さんはちゃんとお父さんになろうと、してくれていたみたいだよ。


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