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029:身の上話

「えーとッ… どちら様?」


顔に全く見覚えがない、そんな私の困惑が見て取れたのだろう。相手から名乗りを上げてくれた。



「申し遅れました。俺… いや私は、ブラン=マクラムと申します。6年前、ハティアのスラム民としてあなたに助けていただきました。希望もなかった私たちに、仕事と衣食住を与えてくださり、今では何とか自分たちで生活していけるようになりました。本当にありがとうございました。」



あぁ~、ハーメルンの笛で出てきた人だ‼ あの頃の薄汚れた感じと、死人の様な目が無くなり印象が変わったからわからなかった。


「それは良かった。あまりに印象が変わりすぎて、誰だかわからなかったよ。私はウル。ここにいるって事は、あそこから出て、別の所で働くつもりなの?」



「実は私、恥ずかしながら昔、商売をしていたのですがうまくいかず、スラムに身を落とした口でして… しかし、生まれ変わったつもりで、一から商売を立て直そうかと思っているところです。」



「ブランさん、場所を変えて、その話もう少し詳しく聞かせてもらってもいい?」



それから私はブランさんを伴って、食事処に入った。



「それで? 何の事業で失敗したの?」



私の質問にブランさんは、恥ずかしい話なのだが聞いてくださいとスラムに身を落とすことになった原因を話してくれた。



ブランさんのお家は、代々王都で文官を輩出するお家だったらしい。その長男として生まれたにもかかわらず、昔から商売をすることに傾倒していたブランさんは、早い段階で自分の父親に跡継ぎは別で探してくれと、廃嫡を宣言。



文官になるための学校は卒業したのだが、その時の伝手を頼りに卒業後、商会を立ち上げ王都でもそれなりの勢いある新興商会に名を連ねていた。何もかも順調だった。いや、順調すぎた…。



ある時、付き合いの薄い男爵からパーティーの招待状が届いた。おかしいとは思ったが、貴族の誘いを無下に断ることはできないので出席。気が付くと朝、知らないベットで目が覚め隣には女性の姿――。



男爵の娘であった。その後の圧力により結婚したのだが、商会の利権を取られお払い箱の様に離縁された。後から分かったことなのだが、男爵とその娘、そして信頼していた副会頭がグルでしていたことだった。



商会を取られ、信頼していた人間に裏切られ、実家にも帰ることなど叶わない… どうしようもなくどん底だった時、行きついたのがハティアの町だったそうだ。



「あの時は、もうこれが自分の運命だと諦めていたのですが、人生どうなるかわかりませんね。」



ブランさんは、基本人がいいのだろう。おぼちゃま育ちだし、人を信用し過ぎる傾向がある。もしかしたら、あの二人にはいい人材かもしれないね。



「ブランさん、ちなみにどんな商売をするか考えてたりします?」



「私はこの土地にお世話になりましたから、ここの特産を王都に降ろす仕事から始めようかと計画しているところです。」



「ちなみに、なんですが、前していた商売の時、王城と縁があったりなんてしたことあります?」



「あの頃、私のしていた商会は、布を多く取り扱っていました。その関係で、侯爵様や名だたる貴族の方々とお会いしましたが、今ではしがない一市民です。」



いいや、そんな事ない。その時の礼儀作法、挨拶の仕方など、学べるところはたくさんあるはずだ。まだ商会自体を立ち上げてもいない。スカウトするなら今だ‼



「ブランさん、ものは相談なんだけど、私実は、さっき商会を立ち上げたの。でも、素人の寄せ集めで指導できる人がいなくて困っていた所なの。よければブランさん、共同経営者として名を連ねていただけませんか?」



ニッコリ提案すると、きょろきょろアワアワしながら混乱の極みだった。



「私の話聞いてました。そんな、さっき知り合ったような私なんかに、頼むことではありませんよ。」



「裏切られた辛さを知っているブランさんだからこそ、誘ってるんだよ。それに私の勘が言ってる。ここで捕まえろって! 私の商会は大きくなるよ。絶対に金貨のなる苗木をあげるよ。さぁ、どうする?」



さすが商売の人、考えたのは一瞬。



「よろしくお願いします。敬語はいりません。ブランと呼んでください。オーナー」



「それ言ったら、ブランもオーナーだよ。それに私は、会頭じゃないから、今から行こうか。皆に紹介するよ。」




そうしてお店を出て、中央の城に帰ると、ブランはなぜか(おのの)かれ、シンには元あった場所に返してくるように言われた。











「それでは紹介します。むかし王都で商会をしていたことのある、ブランです。共同経営で会頭を二人置こうと思います。貴族対応や商人として必要な考えはブランから学んでね。」



「ブラン=マクラムといいます。よろしくお願いします。」



「それから、今度はブラン、こっちに座っている子がファーブラ商会、会頭マオ。副会頭エア。この2人はブランと同じ地位だから、遠慮せず話をしてね。」



「マオです。数字には強いのですが、わからない事の方が多いのでよろしくお願いします。」



「エアだ。あたしは頭使うの苦手だから、その辺は任せるよ。それ以外はまかせろ。」



「マオ、エア、ブランは商売に関してはぴか一だけど対人に関しては割とポンコツだからよろしくね。」



「うッ、ウル君、なんてこと言うの。」



「さっきも道端で弱ったフリしてる人、ほっとけなかったじゃん。見た目はいかついクマさんみたいなのにね~。」



大きな体を丸めてしょんぼりしてしまった。でも、この双子には相性がいいかもしれない。実はこの2人

すごい人見知りな上、警戒心がすごく強い。子どもの頃の癖が抜けないんだとか……



そんな3人で始める、商会最初のお仕事は、



「資金はこれ渡しとくね。中央領に倉庫と、本店構えといてね。どういった品物を扱うかは、二人に説明聞いといて。教会に行って魔法契約結ぶなら、領収もらっといてね。経費で落ちるから。それじゃ、私達は、またいったんモルデラの町に戻るから。」



ちなみに資金は全部、プリモール家から出ている。利益が出だしたら返す仕組みになっていて、私のお給料も成功報酬なので必至だ。



今の所ハティアの街で利益が出てきだしているみたいなので、父様の心のゆとりも出てきている。あとは、ルシアス一家を王都から引き上げさせることを目標に動いている。



がんばるぞー


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