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024:ヘーメルンの笛

こちらの世界にもありました。リ〇ーダー‼ 習っててよかった。茶色の小〇とか、線路は〇くよとか、それは色々吹きながら歩き回りました。今の所、誰もいないみたいでよかった。



「他はないかな?シン、どこか怪しい場所とか知らない?」



しばらく考えるそぶりを見せた後、迷わぬ足取りで細い路地へと入っていった。入り組んでいて、地元の人間でも、もしかしたらあまり足を踏み入れない場所ではないだろうか…?



付いて行きながら、私はこの場に似合わない明るい曲を吹き始めた。そしたらまぁなんとビックリ、出てくる出てくる老人から子供までざっと20人といったところか。



「シン、この人たちは?」


「スラムの住人だ。行く当てもない。もしかしたら犯罪に手を染めているそんな人間たちだ。」



シンは、目もくれず吐き捨てるようにそう言った。



「ここは危険です。安全な場所に避難しましょう。」


私がそう言うと、薄汚れてはいたがまだ若者らしき男性が言った。



「逃げたところで働く場所も、住む場所さえもない。俺たちはここで町と一緒に朽ちた方がいい。」


皆、瞳に生気がない。希望がないと人間生きていけないものね。それなら、私が希望をあげるよ。



「誰がタダで助けるなんて言いました? あなたたちには、これからキツイ労働が待っています。週休二日、朝から夕方まで働いて、三食付き。寮も完備します。逃げられませんよ。」



話しているうちに、揺れがさらにひどくなってきた。ここは細い通路なので、建物が崩れたらひとたまりもない。全員を立たせて、馬車の待機している場所まで誘導し、押し込め出発させた。その時見たシンの表情が少し安堵していたことは黙っておこう。






私達は今、町が一望できる丘の上に来ている。馬車はさっきスラムの人たちを乗せたのが最後だ。


「ウル、どうするつもりだ?それに揺れが収まってしばらくたつが、不気味なくらい静かだぞ…。」


「ほら、嵐の前の静けさとか言うじゃない。そろそろ来るんじゃないかな?」


「それなら、なおの事急がないといけないだろう。」


「大丈夫だよシン‼ こんな時のために、ジャーン、〝空飛ぶ絨毯〟第二弾。今度こそ着陸も大丈夫。」


何故だかシンの顔が青ざめている。大丈夫だよ。今度こそ、たぶん! 実証? 今からだよ。



絨毯に乗った私とシンの体を、危なげなく空へと浮かせてくれた二号。今度は絨毯の四隅にそれぞれ陣をしきホバリングできる仕組みを採用してみた。



「この前のやつより安定感がいいな。」


「そうでしょう。このままちょっと待機するね。太陽が近いから暑かったらこのポンチョでも羽織っててね。」


「用意がよくないか?」


「だって、この町がどうなるのか確認してから帰るつもりだったから、今後の計画にもかかわって来るしね。軽食もあるから、よかったらどうぞ。」


「それなら、初めからちゃんと伝えとけ!」


「危な過ぎたら止めるじゃ~ん… 」


「それでも、ちゃんと言え。ギリギリまで譲歩してやるから。」


「……うん、わかった。ごめんなさい。」


しょぼくれていると、また頭を撫でられた。そのうちイヤじゃなくなりそうで、困る。




そんなジャレ合いをしているうちに、変化があった。これまでにないぐらい地面が揺れているみたいだ。結界も張った、酸素も確保してる。危なくないようにコードも高い位置まで取ったし、太陽対策もしてる。さあ来い‼



上から見ているのでアングル的には圧巻だった。モリーア山から吹きあがったマグマ―― そのまま山肌を伝っていくのかと思いきや、さすが異世界。吹きあがったマグマはイメロデ山に向かってきれいに落下していった。



ほら、もののけ〇の、でいだ〇ぼっちに首をお返しするときみたいな……

そして、採掘のために掘った穴という穴にマグマが流れ込んでいき、一か所水が溜まっていた採掘場の水が熱湯になり中から押し出されて鉢型になっている町に流れ込んできた。




その後すぐに、ユリカの木から作られた雨雲により雨期に入った。あぁ、雨の事考えてなかった‼

こうして二人して濡れ鼠のようになりながら、あらかたの町の様子を見納めた後、中央領の屋敷に向かって絨毯を移動させた。




「シン~、やっぱり育った町があんなふうになったら悲しい?」


私がそう尋ねると、少し遠くを眺めながらシンがポツリと


「いい思い出ばかりじゃないから、何とも言えん。」



スラムの人たちを嫌悪したのも、自分もあそこに居た事があったからこその感情だったのかな。



「私があの町変えるから。忙しくて、忙しくて、貧しい人たちにも手伝ってもらわないと、回らないぐらいの町にするから。シン、つき合ってもらうから覚悟してよ。」



指を突き刺しながら宣言すると、苦いものと甘いのもを同時に口に入れたような、そんな笑い方をしながら、人差し指をめきょッとされた。イタい



城に直接は、結界が張ってあるから大騒ぎになっちゃうので、近くの人目に付きにくい自然公園に不時着した。



中央領の移民受け入れ指揮はバスターが、ルラリアの方はロベルトに行ってもらっているので、屋敷には父様が待機していた。



「ただいま帰りました。」


いつもより屋敷がガランとしていたため、シンをともなって直接、執務室に行くとすぐに父様が椅子から立ち上がり、私の元へ駆け寄ってきた。


「おぉ、無事戻ったかい。どこもケガはしていないね?」


「シンが一緒だからケガなんてしないよ父様。それより、まずは父様に今後の話をしてもいい?」



そう言うと私は父様の手を引いて、私にあてがわれている部屋へと連れて行った。



部屋の中には洗い立ての、真っ白なシーツが壁にピンと張られている。そう、スクリーンだ‼ 


「父様には、今から私達が見てきた街の上空の映像を、見てもらうね。」


カーテンを引き、部屋を暗くして私の首にしていたチョーカーを外して事前に作っておいた装置にセットする。そうして先ほどの映像を部屋に流した。


今回は急ぎだったので音声はなし。カットも編集している訳ではないので、ブレブレだったが、だからこそ伝わる臨場感――… 



「絶望だな…… 」


「父様、私はこれを被災した町民に見せようと思います。」


「そんな酷な事、追い打ちをかけるようではないか!」


「それでも、これが現実です。戻れない日常に涙するでしょう。どうにもならない自然の驚異に愕然とするでしょう。それでも、人間は前を向かないといけないんです。この災害が、今度は自分たちの子や孫に牙を向かない様に考えるんです。」


私だってこんな現実出来れば見せたくない。あの町で仲良くなった人たちが悲しむのはイヤだ…。それでも、絶望だけじゃなく希望だって一緒に提案するつもりだ。時間はかかっても、私も最後まで一緒に歩くつもりだもの。



「父様、最後まで話を聞いてください。これが私の考えたあの町の再生プランです。」



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