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023:大移動

住まいも無いと言うニニには、先にハティアの町に行ってもらい、メニラさん、山じぃ、ロロ先生、と一緒に町民の説得にあたってもらう事にした。



まずは屋敷に帰って、父様に町長に向けての紹介状を書いてもらおう。

今は何と言っても人手が欲しい。



「シン、メニラさんに手紙を送っておいて。ニニの特徴も書いて、協力して町民の説得よろしくって。」


「了解。」


「ニニ、いきなり大役だけどお願いできるかな?」


「緊張しますが、任せてください。必ずお役に立って見せます。」


「向こうでは、メニラさんの実家が宿屋さんをしているからそこにお世話になる様に、料金はあとでこちらから支払うから気にしないでね。」


「ありがとうございます。それでは行ってきます。」


片手にトランク、片手に手紙鳥を携えてニニは先にハティアの町に向かった。

よし、あちらは任せて、その他の準備に取り掛かろう。まずは、中央領と貿易マーラルの窓口【ルラリア】への避難民受け入れ要請。これは父様たちが請け負ってくれている。



私は、荷を運びやすくするためのアイテムを作るべく、まずは商業組合に赴いた。



「すみません。こういったものを1000個ほど作ってほしいのですけど、どこに頼めばいいですか?」



「はい、ご依頼ですね。納期はいつまででしょうか?」



「できれば、2週間で。」




受付のお姉さんが固まってしまった。わかってる、ミシンとかそんな便利なものがある世界じゃないんだよね。手縫いなの。それを1000って普通に考えたら鬼だよね。



「もちろん、1か所じゃなくていいです。本当に急ぎなので、よろしくお願いします。仕様書はこれです。」



あとで全部に転写魔法で重症軽減、亜空間内蔵、質量度外視、魔力登録3名までを付けるつもりなので、簡単にナップサック使用にしました。



「そっ、それでは、こちらにサインを、はい確かに確認しました。では、ライラ様で2週間後に…」



「出来た物から引き取りって可能ですか?」



「こちらにお越しいただければ可能です。」



「では、1週間後にまた来ます。」



「かしこまりました。ありがとうございました。」



これでひとまずはOK。

それから、1週間して出来た分から転写で陣を刻み量産していった。ここで役に立ったのが、あの時作った透明インクいたずら防止もかねて、見えないインクで転写した。それから、半年で効果が切れるようにも細工している。便利なものは、犯罪にも活用できてしまうのが悲しい。





そしていよいよ、ルシアス一家が王都に向かうのと同時に私とシンはハティアの町に向かった。


「定期連絡の進捗(しんちょく)はどんな感じ?」



「半々らしい。」



「そうだよね~。でも、災害は待ってはくれないから、最終手段は、これが目に入らぬか‼ ってするしかないね。」



そう言って私が掲げたのは、父様から頂いた領主代理の権限書。これに逆らうと言う事は、貴族に逆らうという事。本当に切り札だね。



「でも、そうも言ってられ無くなる予感がするんだ。」



「お前の予感って怖いわ。」







町につくと、町長宅の前に人だかり。何かと思い近くの人に話を聞くと、



「災害が来るって言ってるけど、何にも変わらないからね~ 信じてない人の方が多くて、こうやって出ていきたくない人間が集まって抗議してるんだよ。」



「でも、山じぃや専門の人が来て説明しましたよね?」



「それでもね…。」



「これで来なかったら、その間に働けたぶんどう保証してくれんだ?」



私は、みんなから見えるように少し高い位置に登った。



「ここのお集りの皆さん、少しだけお時間頂けますか? 今までもご説明はあったと思いますが、近々この町は災害により人が住めなくなることが予測されます。信じる信じないはお任せします。しかし、領主様もこの事態に、動いていると言う事だけは、ご理解ください。」



領主も絡んでいるとなると、人々の反応も変わった。



「今から一人一人にこの袋をお配りします。この袋は見た目に反してたくさんの物が入ります。逃げる際に家財道具を持ち運びするのにお使いください。魔力登録が3人まで出来ますので盗難の心配もありません。明日より被災のための移動を開始します。移動先は、中央領か【ルラリア】になります。どちらに行くかはご家族で話し合ってください。では、配りますね。」



そうして袋を配りだすと、文句を言っていた人たちも1枚づつ持ち帰っていった。


「あれで納得はしないだろう?」



「今はこれでいいんだよ。どうせ、一度にたくさん運べないからね。それに予感がするって言ったでしょ。」






次の日から、ロロ先生の所の患者さん、避難を受け入れた人たちから移動が始まった。

中央領へ行く人たちが多かったが、親せき身内を頼って皆それぞれ避難していった。様子をうかがっていた人々も、1週間ほどたつと、私の作った袋を背中に背負って徐々に移動を開始した。



タイムリミットまで残り3週間を切ったころぐらいだろうか、この頃から頻繁に、地面が揺れることが増えてきた。はじめは本当に些細(ささい)な揺れだったのだが、日増しに大きくなっている。




今では、震度3ぐらいか… 私にとってはそうでもないのだが、この世界の住人にとっては、天変地異の前触れだと、あんなに反対していた人たちが我先にと馬車で押し問答していた。



悲しいかなこれが人間のサガだ。



それから、ハティアの町から人々がいなくなった。

町に残っていたのは、私、シン、ニニ、メニラさん、山じぃだけとなった。


「そろそろ俺たちも避難するか。中央領でいいんだよな?」


「メニラさん、ニニと山じぃを連れて先に避難していてもらえますか?私たちは最後の仕上げをしてあとから追いかけます。」



「わかった。待ってるからな。必ず来いよ。」


「もちろんです。おいしいお店紹介しますよ。」



中央領へ向かう馬車を私とシンは見送った。


「そんで、これからどうするんだ?」


「これから、残っている人がいないかの確認のため、笛を吹きながら街を歩き回ります。」



ふざけてんのか? みたいな顔をしているが、大まじめだ。ハーメルンの笛吹の話、知ってる?

本当は怖い話だけれど、それを応用して陣を組んでみました。生き物がこの笛の音を聞くと、引き寄せられると言うか、付いて行きたくなるみたいな?まぁ、とにかくやってみよう。


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