表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/38

022:新たな仲間

自動人形こと、くるみんに聞いたことをまとめてみると、ここは本と言うより電子書籍を取り扱ってるみたいな感覚だった。媒体はルビー。板に書籍と作者が彫られており、名前順で並べてあるらしい。



そして、一つの机に自動人形が一体ずついるらしく、それらが用件を承り、読みたいものを持ってきてくれる。情報はすべての人形で共有しており、次来るときどの席に座っても問題はないらしい。



「それなら全部の人形が、くるみんになっちゃうじゃん。」


私が不満の声を上げている隣でシンが、


「調べ物があったから、ここに来たんじゃなかったのか? 土産も買うって言ってたが、このままじゃ到底間に合わないぞ。」



時間を見て見ると、入館してからゆうに二時間は経っていた。このままいくと、お昼も間に合いそうにない。



「くるみん、モリーア山についての資料あるもの片っ端から持ってきて!」


それから一通り、目を通してみたが、今回以前に移動した記録はどこにも載っていなかった。それから、イメロデ山を採掘しだしたのも、ここ150年の間みたいなので、それ以前であろうと予測する以外 術がなかった。



「空振りか~。本当はもっと読みたいものたくさんあるんだけど、時間が出来てからまた来るしかないね。ユリカの木の事もたいして載ってなかったし。」



図書館を後にして、次どこに行こうか考えている時うしろから声をかけられた。



「すみません。ちょっとよろしいでしょうか?」


振り返ると、背筋のすっと伸びた、切れ長一重の美人さんが立っていた。


「突然ごめんなさい。ユリカの木と聞こえたので、もしかしたらお役に立てるかと思って声を掛けました。」



「立ち話も何ですから、どこか入りませんか?」



シンが警戒してないし、大丈夫だろうと近くのお店に入ることにした。

注文を取り、少し落ち着いたところでお互い自己紹介をした。



「私は、ニニ=モルカと言います。突然不躾(ぶしつけ)に、本当にごめんなさい。今考えると恥ずかしいわ。」



無表情なので全然恥ずかしそうには見えないが、本人は恥ずかしがっているようだ。また個性的な人だな~と思いながら私も自己紹介する。



「初めまして。ウル=ライラと言います。こちらは、連れのシンです。」



どこからか見ていたのか、ちょうどいいタイミングで料理が運ばれてきた。軽く食事をしながら、初めに口を開いたのは、彼女の方だった。



「私の父はあまり有名ではありませんでしたが、地魔法の研究者でした。」



「どこかで聞いたことがあると思ったら、ユリカの木についての論文を発表して一時期、一世を風靡(ふうび)していたな。」


「そうです。覚えている人もいるのですね。うれしいです。」



真顔ですけど… 感情が表に出ないのも大変なんだな。



「この論文を発表後、さらなる研究にまい進する父でしたが、病に倒れ道半ばにしてこの世を去りました。私は父の研究を引き継ぎ、父の心残りを解消してあげたいのです。」



「その研究内容聞いてもいい?」


「もちろんです。ユリカの木は群生地が限られている。実は、他の国の活動している山の側にも群生地がありました。この事から、ユリカの木は地熱を吸い上げ放出している可能性がある。しかし、ここエンプレのモリーア山は数百年、数千年の周期で動いている。なぜなのか?そこで、他国とどう違うのかを検証した所、他国では火山側で温泉が湧いていることが分かりました。野生の動物たちが利用しているみたいです。この事から、モリーア山も地熱を利用して温泉を当てることができれば、山の移動が無くなり、人がより安心して暮らせるのではないか。と言った論文になります。」



ちょっと訂正箇所は何個かあるかもしれないけれど、凄い。よくここまで調べたね‼ 叶うのならご存命のうちに会いたかったな。



「このことを立証するために、私は現地であるハティアの町に行こうかと考えています。」



「それはちょっと待って。」



「なぜですか?」


まぁ、そうなるよね。私はこの席のまわりに簡易の結界を張った。



「これでこの席の話は外に漏れないから。これから話す内容は他言無用。それから、これを聞くともう後戻りできないけど、それでも聞く?」



私は自分でも自覚している悪魔の微笑みを向けてみた。何の変化もなく彼女は頷く。



それから、今のハティアの町の現状、これから起こるであろう予測を聞いて、自分の父親の仮説と当てはまる事に静かに彼女は涙した。



「父の人生は決して無駄ではなかったのですね。ありがとうございました。」



「これからどうするか決まっているの?」



「いえ、特には。しかし、仕事も辞めて家も買い手が決まってしまったので、どうしようか途方にくれています。」



思いのほか行動派だった。それならここでスカウトするのもありでしょう。



「ニニさん、これからあなたがする仕事は、あまり表に出ず、誰の役に立っているかも、わからないような仕事かもしれない。それでも、やる?」



「私の父も誰かに認められたくて、ではなく、自分が好きだからしていると言ってました。私も父のような人生を歩みたいです。よろしくお願いします。」



こうしてまた新たに、再生計画の仲間が一人加わった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ