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021:緊急会議

馬車の中で今後の打ち合わせをしていると、屋敷に到着した。ロベルトが出迎えてくれて父様と、バスター、メリア様が食堂で待っていると案内してくれた。



「それじゃ、俺はこの辺で…。」


そう言って下がろうとするシンを私は引き留めた。


「シンも、話し合いに参加だよ。これからだって私の護衛つくのは、たぶんシンになると思うから、このままつて状況把握しといて! 」


私がそう言うと、シンは何かを諦めたかのように、だがすぐにニヒルに笑ってあとを付いてきた。



「ただいま帰りました。」


ロベルトが扉を開け、ルシアスが声をかけながら食堂へ入った。そのあとに続くように私、シンが入る。



「父様、ただいま帰りました。本当ならゆっくり食事でもしながら話したいところなのですが、状況がそうも言っていられないので、皆さん聞いていただけますか?」


私がそう言うと、少し離れたところに軽い軽食とお茶が用意されていた。そして皆が集っているテーブルには、プリモール領の地図が広げてあった。ロベルトが用意したものだろう。本当に優秀だな~。



地図を指さしながら私は今までの状況と予測をルシアスに説明したように話していく。実際目にしたシンと、一度話を聞いたルシアスは平常心を保っているが、父様、バスター、メリア様は表情が強張っていく。



もちろんこのまま黙って見ている、なんてことはしない。住民に避難を呼びかけ避難する先を地図で示す。避難先の、生活状況を整えることはもちろん、その後の復興にも莫大な予算が必要だろう。



なのでこの先数年、プリモール領は【ハティア】に予算の大半をつぎ込まなくてはならない。そうなると他の町から不満が来る可能性が予測される。そこで、ルシアス一家に王都に行ってもらう事にする。



「こんな大変な時に何を言っている。」



この提案をすると、ルシアスがお怒りモードになった。



「こんな時だから行ってもらいたいの! まず第一に、子ども達とメリア様の安全確保。それから、災害が起こった後に、いろんな貴族に支援をお願いしてもらって。王都にいる間に、人脈を作っていてくれると助かる。それから、商人とも何人か繋がっておいて。ルシアスの人を見る目に期待しているよ。」



プリモール領は物流の要だ。そこが打撃を受けると他も無事では済まない。だから、商人、貴族から寄付を募ればそれなりに集まると踏んでいる。



「メリア様も身重でこんなことをお願いするのは申し訳ないのですが、お茶会で寄付をお願いします。」


「もちろんですわ。私だけいくら子供たちがいるとはいえ、安全な所で待機しているなんて申し訳ないですもの。お任せください。」



メリア様なら寄付だけで、ひと財産築けるであろう。出発は1か月後、それまでにロベルトにはもう少し業務を覚えてもらわないといけない。



「王都の住まいはどうする? 前の場所はもう手放してしまった。」


「あんな趣味の悪い家には住みたくありません。僕たちが住むぐらいの大きさなら、王都にいる学園時代の友人に融通してもらいます。早速連絡を取ってみますので、ご心配なく。」



頼れる友人がいるみたいで良かった。それから私たちは夜遅い時間まで話し合いを続けた。

次の日は一日休息時間とした。確かに焦る気持ちは分かるが、いい案はゆとりのある時にこそ湧いて来るもの。




中央領には図書館があるらしいので、私は早速行ってみることにした。なぜかシンを連れて……


「今日はお休みの日って言ったのに!」


「護衛に休みなんてあるか。それに休みなんてあってもすることがない。」


「街をぶらぶらしに行ったり、家族と過ごしたりすればいいじゃん。」


「街はもう見飽きるぐらいまわっているし、家族って言っても、もう大人だ。それぞれやることがあるから、顔を合わせることもめったにない。」



なんか、私の思い描く家族とはちょっと違うらしい。それでも、言葉の端々から大切に思っていることはにじみ出ている。



「それなら、図書館行った後お菓子でも買って帰ろう。お土産はいくつになってもうれしいものだよ。」



そう言ってシンの手を引いて図書館へと急いだ。






想像していたより広いのだが、本が見当たらない……? 学校みたいに椅子と机がずらずら並んでいる。場所間違えた?


いや、入り口にはやはり図書館の文字。とにかく入館手続きと登録をしないといけないらしいので、カウンターの女性に声をかける。



「初めてなんですけど、、、」


「初めてのご来館ですね。ありがとうございます。それでは、ご利用にあたって魔力登録をしていただきますので、こちらに手をかざしてもらっても、よろしいでしょうか。」



キラキラしている板の上に手を乗せる。すると、少しだけ暖かくなり登録完了だった。



「次回からは、あちらの入館ゲートをお通り頂ければ大丈夫です。」



「どういうシステムなんですか?」



「魔力とは、親子でも双子でも決して同じ人はいません。それを利用してまずはこちらで登録してもらいます。次回からは、この横にあるゲートを通過することによって、登録されている魔力で個人を特定、認識しています。もし、ここの書籍を無断で持ち出しますと、捕縛糸が認識している魔力を追いかける仕組みになっています。登録していない方はそもそもゲートを通れません。」



ニッコリ笑顔で解説してくれているお姉さん。



「シン、シンは登録してるの?」


「俺が、本なんか読むように見えるか?」


「シン、ちょっとゲート通ってきてみてくれない?登録する前なら私が行ったんだけど、もう登録しちゃったから、お願い。」



でっかいため息をついてゲートに向かってくれたシン。なぜか思い切り走ってゲートに突っ込んで、ぽぉよ~んと弾かれていた。



「もっと壁みたいに弾かれるのかと思ったんだけど、違うんだね。」


「小さなお子さんで使い方がわからず、突撃してケガをしたことがあったようです。それから柔らかくなったらしいですよ。」



お姉さんが親切に教えてくれた。とぼとぼ帰ってきたシンも登録を完了し、やっと中へ入ってみた。だがやはり書籍は並んでいない。どうなってるの?使い方がわからず立ち往生していると、何かがこちらに向かって飛んでくるのが見えた。



虫かな? と身構えていると、虫なんかよりもずっと大きかった。15㎝ぐらいティンカーベル? いや、羽の生えた、くるみ割り人形……。 もっとかわいくしてよ‼



『ゴヨウケンヲ、どうぞ。』



「ここの使い方を教えて。」



『カシコマリマシタ。コチラの席へどうぞ。』



案内された席に座ると、しばらく待つように言われた。待っていると、一枚5㎝ほどの木の板を抱えて戻ってきた。



それから私が座っているテーブルに降立ち、2回かかとでコンコンと音を鳴らした。すると、テーブルの中央にちょうど5㎝の板が入るほどのスペースが現れた。そこに先ほどの板をセットして、もう一度2回テーブルを叩く。



そして目の前に現れたのは、立体映像で本が出現したのだ。私が驚いていると、



『テーブルを2度叩クと書籍入れが出現しセットして、モウ一度叩クと本が再生サレマス。手を左から右二かざすと、ページが進ミ、左から右ニすると、戻リマス。途中で読むのをヤメテモ、次回カラノ再生ハ途中からにナリマス。リセットの場合ハ、受付にお申シ付け下サイ。書籍の破損ハ、犯罪デス。故意に行ッタ場合、捕縛させてイタダキマス。貸し出しはイタシマセン。ワカラナイ事、捜してイル本がゴザイマシタラ、自動人形にお申しツケクダサイ。説明は以上デス。』



そう言うとテーブルの隅に体育座りした。ちょっとかわいい…。 



「自動人形さん、お名前はないの?」


『個体識別番号デ呼ばれてイマス。ワタシは、001番デス。』


「話し声とか、周りの人に迷惑にならない?」


『テーブルに、反響阻害ノ陣が刻まれてイルノデある程度ナラ、大丈夫デス。』


「001って、味気ないから、くるみんって呼んでもいい?」


『……お好キニどうぞ。』



こんな感じで私は本を読むより、くるみんに質問するのに夢中だった。だってほら、アレ〇サとか話したくならない?



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