00:はじまり
「こほん、えー、初めまして。神です。今日、ここに集まってもらったのは何を隠そうキミたちに重大発表があるからです。」
そう言って今、私の目の前にいるのは、どこにでもいそうなスーツ姿のおじさんだった。
私の隣には、背中辺りまでのウェーブ毛のきれいな男の子。背筋がピンと伸びていてすごくキレイ。
オレンジ色の髪だけどね…。
しかし、ピクリとも表情は動かずお人形さんみたいだった。
容姿で言ったら私だって負けてないわよ‼
ストレートロングの腰まである黒髪。黒い瞳のバッチリ二重、紅を差さなくても赤い唇。
立てばシャクヤク 座ればボタン 歩く姿は百合の花。
ただし、口を開かなければとのお墨付き
ここはいったいどこかしら? 多少は裕福なお家だから誘拐とか? 困ったな~
「困っているように聞こえないよ。有宮司さくらさん」
「誘拐犯さんはわたしの名前知ってるんですね。」
「誘拐犯じゃなくて神様ね。」
「神様もお勤めなんですか? それリクルートですよね……フフフ 」
私と、自称神様の攻防を見ていても隣の男の子は反応がありませんでした。
「では、自称神様。本日はどのようなご用件で私達をここにお招きいただいたのでしょうか?」
自称神様は佇まいをなおし、
「キミ達は魂の器を間違えて配属されてしましました。本当に申し訳ございません。」
お手本になるくらいきれいな直角90度で頭を下げた。
自称神様の話によると、24年前いろいろな手違いが重なり、よその世界に産まれるはずだった私と
アスク君の魂が入れ替わってしまったらしい。
確かに、言われてみると見た目と中身のギャップがひどすぎる とはよく言われていたが、
個性で片付けていたのよね~
神様曰く、アスク君の魂は器が大きすぎて中で泳いでいる状態。精神が安定しなくていつも不安に襲われてるんだって。
私? どすっと乗ってるからびくともしてないみたい。その代わり窮屈なんですって。困ったわ。
このままではアスク君が精神崩壊しそうだったので、緊急処置として肉体を眠りにつかせているみたい。
そして、私はというと帰りに慌てて駅の階段から転落。大したケガはないけれど意識がなく病院へー
運よく? お互いの魂が肉体から軽く離れている今がチャンスだと神様がおっしゃっている。
「もちろん、特典つけます。アフターケアもバッチリいたします。」
神様も必至だ。
しかし、先ほどからアスタ君は何を考えているのか、困っているような困惑しているような…。
「あの、お互いの肉体は男女入れ替わると言う事でしょうか? 記憶などもそのままですか?」
おっ、初めて声を聴いたけど声変わり前の低すぎず、高すぎず、いい声。
「そうですね。肉体の性別は変更不可です。記憶は本人の希望があれば消去も可能ですがいいんですか?」
「こんな記憶持っていても苦しいだけです。出来たら消して欲しい……。」
私、そのツライ記憶のある体に入るのよね? 記憶は消すつもりないし、出来たら情報が欲しいな。
「ねぇ、アスタ君。よかったらここで話してみない。あなたの苦しみ。だってここにはあなたを知ってる人は一人もいないのよ? 困ることなんてないでしょう。」
相手の目を見ながらにっこり。
微笑みながら誘導してみる。24年で私自身の顔面の有効な使い方はマスターしている。
ひどい? 計画的戦術と言ってほしいな!
深い赤色の美しい瞳をキョロキョロとさせ、覚悟を決めたのか息を短く吸って吐いた後、
彼は語り始めた。




