酒と縁
いつもの場所に
いつもの顔触れ
当たり前ではないことが
当たり前に繰り返される
帰ってきたと錯覚するのは
あるべき場所に来たのだと
思い込んでしまうから
互いに交わした杯の数と
互いに交わした言葉の数は
数えきれぬほどに重なり
それでも酒が勝るだろうと
笑いながら背を叩く
変わらぬ顔を見る度に
ここにいてもいいのだと
自分自身を酔わせて騙す
互いに名前も知らないけれど
互いの好みは知っている
数え切れぬほど重なったとして
それでも酒には勝らぬだろうと
笑いながら肩を組む
酒のように安定しない
液体で繋がれた関係