表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/100

98:愛の誓い

「――今日は皆さん、お集まりいただきありがとうございました。では、今から誓いを行います」


 メンヒがそう、口を開いた。

 結婚式で言う司会者役だ。同時に新郎役でもあるのだけれど。


「木に、花に、風に、天に、地に、この世のあらゆるものに誓います。僕はダーム殿を愛しています。そしてその愛は、永遠に変わらないでしょう」


 手を握る力が一層強くなった気がする。

 ダームも負けじと握り返す。


 まっすぐに向けられる皆の視線は、期待の色が濃い。

 それを見ながら、ダームはゆっくりと息を吸った。


 今この瞬間が新たな物語の始まりになる。

 戦いも魔法も復讐もないけれど、静かで楽しい人生の物語。


 その幕開けを宣言すべく、この胸の愛を、言葉に乗せて伝えよう。


「あたしも、あたしも誓う。父様に、母様に、それから――」


 しかし、その先に続くはずだった言葉は、突然の衝撃に遮られることになる。

 会場の窓に突然亀裂が生じ、物凄い速さで外から何者かが飛び込んできたのだ。


「きゃっ」悲鳴が上がる。

 公爵夫妻は咄嗟に身を寄せ合い、マーゴは魔法を展開した。


 そしてダームはというと、身を固くすることしかできない。


 飛び入り参加者は、猛ダッシュでダームの元へ。

 ステージのすぐ下まで駆けつけると、言った。


「……ダーム、待たせたな」


 え、と喉から声が漏れ出す。

 幻聴かと思った。だって、だって。


「勇者、様?」


 低くて魅力的な声、腰に差した剣、金色の鎧兜。

 間違いなく、ダームがここ一ヶ月毎日会いたいと思い続けていた青年が、そこに立っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ