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96:花嫁ドレス

 ――一ヶ月後。

 ダームは、魔術の街マジーアの大魔術師マーゴの屋敷に滞在していた。


 帝城を出て数日をかけてここへ到着すると、まずマーゴにことの経緯を全て話した。そしてメンヒがここで結婚式を挙げたいと言ったのである。

 それを受けてマーゴは、


「いいでしょう。愛息子と愛弟子のお願いですもの、叶えてあげるわ」


 そう、許してくれたのだった。


 すぐに挙式する予定だったが、結局、結婚式の準備等々に一ヶ月の歳月を要した。

 そしてこの日、マーゴが注文してくれた花嫁ドレスが届いたのだ。


「ダーム。花嫁ドレスが来たわよ。見てみる?」


「うん!」


 嬉々としてダームは、マーゴの方へ駆け寄っていく。


 この一ヶ月間で、二人の関係は大きく変化した。

 まだまだよそよそしかったマーゴはダームを名前で呼んでくれるようになったし、メンヒと同等に可愛がってくれる。

 ダームの方も、彼女と気兼ねなく話せる仲になっていた。


「メンヒに見られてはいけないから、私の部屋へおいで」


「はーい! 楽しみ楽しみ〜」


 浮かれながら大魔術師の部屋へ。

 魔法の器具やら何やらが所狭しと並ぶ部屋の仲、そこにひときわ目を引くものがあった。


「ほら、これよ」


「うわあ、綺麗!」


 純白の裾が広がる、美しいドレスだ。

 袖に花形のフリルが施されており、胸元には漆黒の宝石が彩られている。腰は程よく絞られているし、胸元の薔薇のあしらいがとても可愛らしかった。


「せっかくだから着てみたいな」


「残念だけど、今はダメ。それは明日の結婚パーティーまで待っていて」


「あっ、そうだった、明日だっけ」


 気づくと、結婚パーティーは翌日に迫っていた。

 確かに初の花嫁ドレスを今着るのはもったいない。明日のお楽しみとしておこう。


 見ているだけでうっとりする。気分はもうすっかりお姫様だ。


「きっと僧侶くんびっくりするだろうなあ」


「でしょうね。明日はご両親が来てくださる予定なのでしょう? 張り切らなくてはね」


「そうだね。精一杯頑張るよ!」


 ――ああ、勇者様にも花嫁ドレス、見せたかったな。


 一瞬そんな考えが浮かんだが、首を振って吹き消した。


 花嫁姿の自分を想像し、ダームは胸をときめかせる。

 明日が待ち遠しかった。


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