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56:守り人の挑戦状③ 剣を選べ

「――剣を選べ」


 そう言ってエペに突き出されたのは、二つの長剣だった。

 彼女が右手に握るのが金色の剣、左手のが銅色の剣。どちらも美しく、陽光を反射して光り輝いている。


 このどちらか、剣を選ぶこと。これが三つ目の試練なのだろう。


「選択は所有者、つまり勇者カレジャスに任せる。仲間などに相談せず、己で考え己で手に取るがいい。さあ」


 彼女の言葉の通り、カレジャスが前に出た。

 彼は少し緊張した面持ちだ。ダームは見ていることしかできないけれど、「頑張って!」と声援を送る。


 金の剣、銅の剣。

 どちらも魅力的だ。その輝きは両者とも伝説の剣で間違いないと思わせる力がある。


 メンヒが小声で呟いた。「もしも間違ったものを選択するとどうなるのでしょう」


「恐らくは試練失格になるのだろう! それでは今までの努力が水の泡になる! 気をつけなければならないだろう!」


 大声でクリーガァが言うものだから、カレジャスがこちらを振り返って睨みつけてきた。


「戦士さん声でかい! 勇者様の邪魔になっちゃうでしょ」


「すまない!」


 ダームは「はぁ」と溜息を吐き、もう一度勇者に目を戻す。彼は何かぶつぶつ言っていた。


「金の剣はあからさますぎるな。だからと言って銅の剣は安っぽい。伝説って言うくらいなんだからもっと豪華じゃなきゃいけねえ。だがその思い込みが命取りになるかも知れねえしな……」


 ダームだったら躊躇いなく金の剣の方を選ぶだろう。対して、カレジャスは慎重だ。


 当然だろう。先ほどクリーガァが言ったように、もしも試練に失格したら? おめおめと帰る羽目になってしまうからだ。

 空気はすっかり張り詰め、全員が固唾を呑んでいる。


 が、その沈黙は破られた。


「……よし決めたぜ」


 カレジャスがそう言うなり、銅の剣を引っ掴む。


「こっちが伝説の剣で間違いねえよ。これが俺の出した結論だ。どうだ?」


 その瞬間、エペがまたもにやりと笑いを見せる。そして大きく頷いた。


「わかった。エペはそれを貴様の答えと認める。せいぜいこれから何が始まるのか、楽しみにすることだ」


 彼女の言葉からは、何か不穏な雰囲気が感じられた。

 ダームがそれを問いかける前に、異常事態が発生する。


「何だこりゃ!?」


 カレジャスの体が、まるで太陽のように光出したのだ。


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