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52:勇者様SUGEEE

 鼓膜が破れるほどの轟音が響き、青い空から二筋の光が落ちてきた。

 それは稲妻。普通、晴れ空からは落ちてこないものだ。


「きゃっ」


 思わず悲鳴をあげ、ダームが飛び退く。


 稲妻はまっすぐ石壁へ向かって走り、直撃した。


 バリバリバリバリバリ。


 爆音が響き、閃光が晴れたあと、目の前にあったものを見てダームは驚いた。

 あんなにも頑丈だった壁が、炎を揺らめかせ燃えているのだ。


 石壁の一部がボロボロと焼け落ちていた。


「す、す、す、すごい……!」


「だろ? 勇者を舐めんなよ」


 得意げに笑うカレジャスは、どう考えても常人じゃない。

 剣の一振りで青空から雷を呼び出したのだ、ダームが驚くのも当然だった。


 と、その時。


「カレジャスくん! 危ないぞ!」


「おおっと!?」


 今まで誇らしげにしていた勇者が慌てて跳躍する。

 そして直後、先ほど彼が立っていた地点に無数の瓦礫が降り注いだ。


「また来るぞ、左だ!」


「わかってら! くたばったやつは黙ってろ」


 負傷して横たわるクリーガァが、カレジャスに向かって指示を飛ばす。

 口では喚きながらも彼の言葉に従い、瓦礫をかわすカレジャス。息ぴったりだった。


 そんな二人の様子を、ダームとメンヒはただ見ていることしかできない。


「次は背後だ! 大きい!」


「仕方ねえな。おらよっと!」


 勇者がまたもや剣を大きく振った。

 今度は先ほどと比べ物にならないほど大きな音が響き、剣から閃光が走る。瞬く間にそれは壁を焼き尽くして、すっかり灰にしてしまった。


「どんなもんだ」


 ……これは圧巻、というか呆然とする他ない。


「やっぱり勇者様、すごすぎる」


 改めて彼の本気の強さを知ったダームは、口の中だけでそう呟いたのだった。

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