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30:氷の怪獣

 そんなこんなありつつも、雪道を進んでいた一行。

 しかしその道中、真っ白な広野で、彼らは異常な生物と出会した。


「なんだありゃ」


 店まで届きそうなほど大きな怪獣だった。

 全身が輝き、その獰猛な犬を大きくしたような体は氷で覆われている。目が青く冷たく光っていた。


「グオオオオオ!!!」遠吠えのような声を上げ、怪獣がこちらをジロリと睨んだ。


「これってまた?」


 共和国の洞窟の怪物とはずいぶんと見た目が違ったが、同じ感じがした。


「はい。前回と同じで間違いありません。まさかこんな広い場所に現れるとは思っていませんでしたが……」


「ぐだぐだ言ってても仕方ねえ。とにかくとっとと倒すぞ」


 カレジャスがそう言いながら剣を構える。

 戦士はビッグハンマーを握りしめ、ダームは魔力を集めた。お休みのメンヒは遠目で見守ってくれている。


 最初に仕掛けたのは魔法使いだった。


「『ファイアーΓ』!」


 氷には火が効果的。

 放たれた炎は氷の怪獣を焼き、ジュウジュウと音を立てる。が、まだ足りぬようで――。


「ガァッ」と叫びながら、物凄い勢いでこちらを追ってきた。


「やばいやばいやばいやばい」


 慌てて逃げ出すダーム。

 そして間に割り込んだのは勇者である。


「行かせねえよ馬鹿。早く元の姿に戻って俺の装備になりやがれ!」


 雷光が迸り、怪獣を襲う。

 見事それは直撃、怪獣は苦鳴を上げて後ずさった。


「今ですダーム殿、炎の魔法を叩き込んでくださ……、うわっ」


 そしてメンヒが指示を飛ばそうとしたその瞬間だった。

 突然怪獣の口から雪崩の如き雪が吐き出され、こちらへ迫ってきたのだ。

 氷の怪獣なだけある。


「僧侶くん! こら怪物、これでも受けて後悔して。『ファイアーΩ』っ」


 炎の最大級魔法をぶっ放す。

 以前と同じで消耗はかなりひどいが、効果は目に見えてあった。


 灼熱の炎が雪崩をも溶かして怪獣へ迫る。

 そしてその全身を包み、火だるまに変えた。


「ありがとうダーム嬢! 最後は私がやろう!」


 今まで身構えているだけだったクリーガァが大男には見合わぬ速さで走り出し、怪獣の巨体の下へ。

 燃え上がる怪獣に踏み潰されそうだ。しかしその足裏を避け、戦士は強烈な一撃を発した。


「砕け散るがよい!」


 直後、ビッグハンマーが怪獣の股間に叩き込まれる。

 瞬く間に亀裂が生じ、それがどんどん腕や脚、胴体部分にまで広がって……。


 パリン。


 高く音を立てて怪獣の体が割れ砕けた。まるで氷細工のように、あっさりと。


「どうだ!」と誇らしげな戦士がその場を走り去ると同時に、怪物の残骸が地面に次々と崩れ落ちていった。


「すごい……、戦士さんすごいよ」


「だろう! 私はやればできる男なのだ!」


「だせえ男だぜ」と戦士を睨みつけ、ため息を漏らす勇者。

 対してメンヒはホッと安堵のため息を吐いていた。


「勇者様、これ」


 一方のダーム、彼女は氷の残骸から姿を変えたそれを拾い上げると、カレジャスにそっと手渡す。

 それは金色に光る盾だった。


「これが伝説の盾か。ちょっくら待っとけ」


 すぐさま今の盾を投げ捨てて装備チェンジ。

 伝説の盾は大きく硬い。例えどんな強力魔法を放っても跳ね返すようなすごい代物だ。


「かっこいいです」


 メンヒが感心したような顔。ダームにはその考えはわからないが、


「さすが勇者様。どんどん強くなるね」


「俺は剣しか能のない男だからな。どんどん強くなって高みに立ってやるぜ」


 ――こうして無事怪獣を撃破し伝説の盾を手に入れた一行は、まもなく無事に馬車に戻れたのであった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 怪獣か怪物か、どちらかに統一したほうがよいのでは? 燃え上がる氷の怪獣→打撃で亀裂が広がる→氷細工のように割れる→氷の残骸 結局、氷なんですよね?
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