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20:なんとか無事に戻れました

「……ぁ、か、帰ってきた」


 そう言って馬車から顔を覗かせた少女フィーユに、ダームは大きく手を振った。


「ただいま! なんとかかんとか無事に戻れたよ」


「ど、洞窟崩れちゃった……けど、だ、大丈夫?」


「うん大丈夫大丈夫。あたしの魔法のおかげでね」


 ちょっと誇らしい気持ちで胸を張って見せる。事実、ダームが勇者パーティー全員を救ったようなものだ。


「見ろよこの兜、かっこいいだろ」と早速兜を自慢するカレジャス。フィーユはおどおどしながらも、頷いていた。


「馬車守りありがとうございます。非常に助かりました」


「う……、ううん、全然……。ちょ、ちょっと怖かった……けど」


「それでも頑張ったフィーユ嬢は偉い! 心から感謝しなくてはだな!」


 本当によく頑張ってくれたとダームも思う。早くフィーユを家に帰してあげなくては。


 軽く夕食を取り、馬車は再び都市ハンデルに引き返すべく走り出したのであった。



* * * * * * * * * * * * * * *


 ハンデルに戻ってきたのは翌朝早く。

 フィーユの案内で彼女の家まで同行し、両親に頭を下げた。


 最初はダームたちを軽蔑した目で見ていた彼女らの両親だが、フィーユから話を聞いて頷いてくれた。


「娘は昔、変な男に絡まれたことがあってね。それ以来知らない人とは関わらせないようにしてたの。でもあなたたちはいい人みたいで良かったわ。こちらこそ、娘を楽しませてくれてありがとう、魔法使いさん」


「いえいえ〜」


 ということで、フィーユとはお別れすることに。

 手を振りながら、笑顔で「さよなら」と言う。もう会うことはないだろうけれど、なんだか心が暖かくなった。


 平民の子供と話すのなんて初めて。大抵がこちらに恐れ慄いて話してくれず、また関わることも許されない生活。そんな公爵令嬢という身分から解き放たれて良かったと、この時ばかりは思った。


「さて。この街に長居してる暇はねえ。用が済んだんだから次の街に行こうぜ」


 カレジャスの声に、ダームは「うん」と頷いた。

 次の目的地はこの街よりはるか北なんだそう。旅路は五日ほどの予定だ。


「準備完了です。ダーム殿、馬車へ」


「はぁい」


 ダームが乗り込むとすぐに馬車は風の如く走り出した。

 

「北の国には一体何が待ち受けているのかな」


 車窓の外を眺めながらダームは色々な考えを巡らせる。

 また勇者一行の役に立てることがあればいいなと思うのだった。


 これにて第二章完結です。

 次から数話は幕間となります。

 ブクマなどぜひぜひよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 僧侶と戦士は普通に性格が良くてオアシスだった [気になる点] ざまぁまでは読みたかったのですが、元公爵令嬢とは信じがたい喋りのヒロイン、行動は親切だが絶えずヒロインをけなしてマウント取って…
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