11:勇者パーティー仲間入り
「合格したよ〜」
笑顔で報告したダームに、一同はそれぞれの反応を示した。
メンヒは、「おめでとうございます」と手を叩き、クリーガァは大褒めする。「やったな! さすが私の認めた魔法使い候補だ!」
そして肝心要の勇者様は大きく頷いて、言った。
「そうか。認められたか。……で、どうするんだ? この街で留まり続けるってのも一つの手なんだが……」
「何言ってるの勇者様。あたし、勇者様に恩返ししなきゃなんだから。戦士さんと僧侶くんにもたくさん良くしてもらったし。だからお願い、パーティーに混ぜて!」
金髪ツインテールを跳ねさせ、ピンと姿勢を正した。
じっとカレジャスの方を見据える。他二人もしばらく不安げに眺めていたが――。
「わかったわかった。まあそう言うとは思ってたけどな」
仕方ないと笑みを漏らし、カレジャスは意外にあっさりと認めてくれたのだ。
「これで貸し借りはなし。いいな?」とまで付け足してくれた。
「もちろん! ありがとう勇者様。みんなよろしくね」
異論を唱える者はない。
こうして、元公爵令嬢――改め、新人魔法使いダームは、晴れて勇者メンバーに仲間入りを果たしたのである。
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それからまもなく、四人は魔術師の屋敷を旅立つことになった。
持たされたものは多くない。旅に必須な食材等々がちょこっとと、あと世界地図である。
「きっとこれも役に立つわ。……私は無事を祈っているからね」
マーゴはそう微笑み、ダームたちに手を振る。
「魔術師さん、ありがとう!」
ダームも思い切り叫びながら、手を振り返した。
魔術の街、マジーアともそろそろお別れの時間が近づいている。
街のあちらこちらで魔法が飛び交うこの光景に、ダームはいつしか慣れてしまっていた。少し離れるのが寂しいような気もする。
しかしそんな感慨を捨てて、ダームは覚悟を決めた。
「だってあたしは勇者ご一行の魔法使い。勇者様を助けて生きるのがあたしの宿命!」
「一人で何言ってんだか。おーい、こっちこいよ」
勇者に呼ばれてダームは「はーい」と言いながら、慌ててそちらへ走って行った。




