シュマさん
ルドラさんに、シュマさんとの面談内容を報告すると、その返事が来ました。
“シュマさんの3月だけの編入を認め、巫女舞の初級を教えてね” とのことです。
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事務のアイラさんから、編入許可の連絡が出されます・・・。
すると、早速通いたい、との返事がきます。シュマさん、翌日にはもうやってきて、教室で皆に紹介されました・・・。
「シュマといいます。3月だけですが、皆さんと一緒に学ばせて下さいね」
「私、タマキっていうの、よろしく!」
「ミサトです。よろしくお願いします!」
「シュマです。仲良くしてくださいね・・・」
タマキちゃん、早速お友達軍団にシュマさんを取り込みます・・・。
(うん、皆仲良くしてあげてね・・・)
巫女舞の個人レッスンも早速開始です・・・・・
「ラシル先生、無理を言ってすみません」
「いいのよ、何か事情があるのよね?」
シュマさん、こっくり頷きます・・・。
「早速始めましょう。まず、床の大理石の継ぎ目に沿って真っすぐ歩きます。舞を修めるつもりでね。向こうまで行ったら、また戻ります。これを繰り返してください」
「あの、これは何のためでしょうか・・・?」
シュマさん、戸惑っています。
「そうね・・・。まず私が歩くから見てくださいね」
そう言って、歩く見本を見せます・・・。
「ラシル先生・・・ すごいわ! スーッと動きだす瞬間がわかりません!それに頭がぶれてないの・・・」
まだ、他にもあるのですよ、と笑いながら説明します。
「例えば、生まれた赤ちゃんが、初めて歩くとします。手足を一生懸命動かしながら、ままならない葛藤も感じているはず。でも、何かに突き動かされるように、体の全てを総動員して歩く事に向きあいます」
「・・・」
「一方私たちは、何も考えず、もう歩くことに無頓着です。この練習は、そうね、赤ちゃんが初めて歩く時に培った ”体の全てを総動員する働き” を取り戻すため、とでも思ってね・・・」
シュマさん、こくりと頷き練習を始めます・・・。
カラ~ン・・・、遠くで授業終了の鐘が鳴りました・・・。
「今日は終わりにしましょう。また次回ね」
「ラシル先生、もう少し練習していきます!」
あまり、遅くならないようにね、と言い残し私はその場を後にします・・・。
シュマさんは、一歩一歩何かを探るように歩いていきます・・・。
次回、薬師アムル先生、です。