王族との面談
今日は、王族と面談です。王族の方は、御付きの方に伴われて部屋に入ってきました。14~5才ぐらいのかわいらしい方です。奥様が、お茶を用意してくださり、部屋を出ていかれます。
「初めてお目にかかります、私、ラシルと申します」
「初めまして、私の事を今はシュマとだけ呼んで下さい。その代わり、私もあなたをラシル先生とお呼びすることを許して下さいね」
丁寧なお辞儀をして、くすりと笑います。
その後、しばらくお茶を飲み、他愛もない話をしてから、本題へと移ります。
「私は、ただ巫女舞の修行をして、様々な水場で舞を奉納していたら、いつの間にか龍神様と御縁をいただきました。だから、どうすれば龍を御せるか? ではなく、こうしたら龍と御縁を結べるかも? ということしかお伝えできないのです。それでもいいですか?」
シュマさん、こくりと頷きます。
「では、まずお聞きしますが、シュマさんは今から巫女の修行を修めることが出来ますか?」
シュマさん、少し困った顔をして御付きの方と相談します。そして、おもむろに口を開きます。
「それは、神殿に入って巫女となる、という意味でしょうか?」
「いいえ、そういう意味ではないです」
私が、自分が舞を修めた方法であることを前置きして説明します。
「まず巫女舞を修めます。それぞれ初級の舞、中級の舞、上級の舞があります。師のもとで披露し、合格すれば2年後に次の段階へ進むことが出来ます」
「一度に全て習うことはできないのでしょうか? 私、舞を少し嗜んでいます」
(シュマさん、舞を少し修めておられるのですね・・・)
「舞を嗜まれているなら、初級の舞はすぐできると思います。ただ、中級や上級の舞はそれだけの年月をかけて修めないと風格が伴わず、ただの踊りになってしまうのです・・・」
そうですか・・・、とシュマさん少し残念そうです。
「まだあるのですよ。上級に合格したあと、1つ願を掛け、それを叶えるため諸国修行の旅に出ます。私は上級を修め、後進の指導を数年行った後、各国の癒しの水場で舞を奉納する、という今も誓いの旅の途上なのです・・・」
「・・・」
シュマさん、俯かれてしまいました・・・。
(う~ん、ちょっと厳しかったかしら?)
それからは話題を変え、何故、龍を御したいか? というシュマさんの気持ちも聞いてみました。少し話をした後、シュマさんは、もう少し自由な時間があれば良かったのですが、と言い残して部屋を後にしました・・・。
次回、宮殿の一室、です。