入学式
昨年より準備を手掛けていたトゥルクの職業訓練校が、今日無事入学式を迎えます・・・。
今日は、入学式にふさわしい清々しい天気です。生徒たちが、続々と門をくぐり式場へと入っていきます。先生達が並ぶ中、トゥルクの役所や組合からも来賓が来ています。
私が、入学式の宣誓をした後、主宰であるルドラさんの挨拶を代読して入学許可を皆に与えます。そして、偉い方々からの祝辞が披露され、来賓の挨拶へ、
「私、トゥルクで教育・文化担当代表を拝命した、タンタと申します。この度は訓練校の開校おめでとうございます。この歴史ある素晴らしい学び舎で、皆様が勉学に励み、トゥルクの、そしてこの国の商いに新しい活力となることを期待しております・・・」
そしていよいよ、新入生挨拶!
ミサトちゃんが代表で挨拶をします。
「春の素晴らしい天気に恵まれ、私たちはこの訓練校に入学することが出来ました。この学び舎で私たちは職業の基礎を学び、皆さまの期待に応えられるよう勉強や訓練に励みます。先生方、ご来賓の方々、これからご指導よろしくお願いいたします・・・」
ミサトちゃん、素晴らしい挨拶です。ああ、この瞬間をお母様に見せてあげたかった・・・。
「それでは最後に、龍巫女の肩書をもつラシル副主宰、皆様の明るい未来を巫女舞で寿いでいただきましょう。ラシル副主宰、お願いします!」
(これ、本当に必要ですか、奥様・・・?)
散々抵抗したのです、押し切られてしまった私・・・。文句を言いたいところ、我慢して生徒の前に出ます。ふぅ~。一息はいて舞を始めます。
暫く舞に集中していると、生徒達のざわめきが聞こえます。そちらを見ると、驚いて目を見開く生徒や、明らかに引いている生徒も。
ほら、やっぱり引かれたでしょ? と思ったら、え? 違う! 何これ? 目には見えませんが、明らかに背後に龍の気配がします。やばい! 龍の気が漏れている? 大慌てで舞を終えます・・・。
先生方や来賓の方の目には映ってなかったそうですが、ミサトちゃんとタマキちゃんから、龍巫女姉様の後ろにうっすらと大きな龍が見えたの~、と後で言われました・・・。
ち、違うのよ・・・。
こ、これは多分場所の問題よ、あの金龍のせいなのよ・・・。
その日は、生徒達の間で、 ”あの龍使いとか龍巫女先生” の話題で騒然となり、部屋に戻っても話が出来ない状態がしばらく続いたとか・・・。担当の先生方が苦笑交じりに報告してくださいました・・・。
本当にごめんさない・・・。
(入学式初日からやってしまいました・・・)
次回、噂、です。