表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
状態異常回復しか使えないヒーラー  作者: びび びび蔵
2.仲間
8/18

08. 世間の目

(御主人様は私の力がまだまだだから、他の人たちと経験を積む事を願っているのかも知れませんね)


(もっと御主人様のお役に立てる様にしなければ..)


どこでどう間違えたのか、ルティとカナデの二人は進む道がズレ出していた。


お互いに駆け出し冒険者だが、カナデには駆け出し以上の強さがありルティには無い回復の術があった。


冒険者ギルドに残されたルティは、受付嬢のアリアさんに声を掛けられた。


「ルティ君、大丈夫だったカナデさんと御食事に行こうと思っていたんじゃ無いの?」


「そうなんですが、なんかカナデが頼られている所を見ると余り束縛するのはどうかと思いまして」


カナデのランクが上がっている事が、その証拠の様に感じたルティだった。


「でもあのPTは余りいい噂を聞かないから、嫌と思ったら直ぐにカナデさんを取り返しなさいよ」


意味ありげな事をアリアさんに言われたルティは一人ギルドを出た。


ルティはカナデの事を忘れる様に、初級でもやらない様なお使い程度の依頼を進んで受けていた。


依頼

・下水道の水質調査

・毒沼調査

・ベトベトンでベットベト

・飲食店の掃除

・お風呂屋さん釜磨き

・宿泊所の清掃員

・各店舗のトイレ掃除


この依頼をどう遂行していたかと言いますと..


下水道の水質調査は前回同様で、ベトベトンも対処する方針で依頼を遂行する。


掃除や清掃依頼は雑巾にクリーニングの魔法を掛け、壁やテーブルなど片っ端から拭いて行く。


これだけでスッキリ!汚れがひどい所や臭いが酷い所などは、状態異常回復魔法を使って消毒洗浄..


「これがですね。綺麗になるんですよ」


飲食店などには口コミで噂が広がって、大衆浴場に宿泊施所とそれなりに需要はあって、言ってしまえばギルドを通さなくても仕事が尽きないでいた。


「綺麗になれば気持ちいいしね」


あれから数日が過ぎ、カナデを連れたPTがミゼッタに町に帰って来ていた。


「ルティ君、またウチの清掃よろしくな!」


行く先々でルティは声を掛けられる。


ちょっとした仕事、時間がない人にとっては重宝する。


ある意味、専属清掃職人と言った所だ。


「ルティ様!」


後ろから声を掛けられ振り向くと、カナデとサイモンのPTが通りを歩いていた。


「ルティ様、お久しぶりです。カナデ様をお貸し頂き有り難うございました。」


声を掛けて来たのはサイモンだった。


「僕たちが受けたクエストが達成されましたので、その報償金の3万ギルがカナデ様の取り分です」


一度行っただけで、この取り分はとルティは思う。


サイモンは満面の笑みでルティに話しかける。その横でカナデも何か言って欲しそうに目を丸くしていた。


「お帰り、カナデも元気そうで良かったよ」


カナデは嬉しそうにルティの横に立ち、長く黒いシッポの先をクネクネと動かす。


「どうぞ、ルティさま..」


サイモンのギルドカードを重ね合わせると、ルティのカードに金額が入金され掲示される。


ルティはカナデに声を掛ける。


「カナデ、いい経験になったな、また次の機会があれば何時だって手伝いに出てもいいぞ」


その言葉にカナデは少し躊躇(タメラ)いを持たせて小さく返事をした。


「はい、ルティ様」


その日の夕方はカナデと2人で夕食を取り、その夜は今まで以上に甘えて来たカナデだった。


次の日、ルティはカナデと一緒に依頼をする事にした。


「ルティ君、今日はカナデさんと一緒に依頼を受けるのですか?」


複雑な顔をするギルド員に簡単に挨拶をする。


ルティは街の中や簡単ではあるが他の冒険者がしない様な依頼。


ぞくに言う安い依頼、メンドクサイ依頼。他の者から見れば従者を他の冒険者につかせ稼ぎに行かせている、ヒモ的な奴と見られていたかも知れない。


カナデ本人は主人(ルティ)に認めて貰いたい、役に立ちたいと言う所からの行動だった。


「じゃあ今日はカナデの依頼を行って見ようじゃないか? どうだい、カナデ」


カナデは主人であるルティの言動に一礼を持って引き受ける。


「はい、ルティ様!では私が行けるもので討伐などの依頼を見て来ます」


カナデは依頼が貼り付けられている場所に移動した。


ルティはカナデを見ながら分析をする。

身長が高く背筋がシャンと伸び、それでいてしなやかでバランスの良いスタイルだ。


女性ボディビルダーの様な美しく、しなやかな筋肉であり黒豹族の柔軟さで攻撃力もある。


そんなルティの視線に気がつく様にカナデは照れながら、何枚か手に取った依頼票を持ちカウンターの方に移動した。


「ルティ様、D級依頼「下水道の水質調査」と「ポポリン50体討伐」を受けて来ました。


(気を使わせてしまった感があるけど、ポポリン50体討伐は明かに違う意図のような..)


カウンターから帰って来たカナデは平然を装うとするが、尻尾の先がピコピコと動いていた。


「じゃあカナデ、僕からはコレ」


それならばルティもカナデの為にパスを使う事にした。


パスは常設イベントの入場券であり、初心者が行かない様に有料と言う訳である。


何処の冒険者ギルドでも常設的なイベント・依頼などがあり、それらを行う事が出来る。


常設イベント

・専用マップ・場所「イベント型やダンジョン型」などでの依頼となる

・期間限定のイベントで「レアや特産品・ご当地アイテム」などを取得が出来る。


「お供させて頂きます」


カナデはニッコリとほほ笑んだ。


「じゃあ行こうか」


ルティはギルドを後にした。


その光景を他の場所で見ていた者が居た。


その者が監視している様な視線を向けていた事にルティは気づいていなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ