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状態異常回復しか使えないヒーラー  作者: びび びび蔵
2.仲間
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07. 下水道と別れ

ルティ達は「ドンの町」から西に行った先に在る「ミゼッタの町」にホームグラウンドを移していた。


この町は東西南北の通商路の中心にある町で活気に溢れ人通りが多く、国全体からしてみても中程度の町ほどの広さがあった。


「さて今日も町のドブ(サラ)いでも行きますか」


ルティは冒険者ギルドに行き、他人がやらない様な依頼に目を通して行く。


(下水道清掃、こいつをゲットだな)


ほぼ毎日の日課に成りつつある、この依頼。


2.3日置きに、絶対とは言わないが、何かしら下水道に関しての依頼が掲載される。


汚染された地下道と水路に浮遊する汚染物質。


ミゼッタの張り巡らされた下水道は、ルティにはなんの事はない場所だった。


「リカバリー」


下水周りが一気に浄化された様に綺麗になって行く。


神官(プリースト)に格上げされ、リザレクションを覚えたのは良いが、後はリカバリーが強化されただけだった。


そんなルティだが下水道には1人で来ていた。


その理由は臭いだ。


なんぼ契約した者でも毎日の様に下水道に入り浸るのはキツかったのか、鼻を両手で押さえ目をウルウルして訴え掛けられたら..


黒豹族と言っても所詮は猫、綺麗好きな女性なのは変わりない事実なのだ。それにそんな可愛らしい事をされれば、ルティも鬼ではない。


でもその代わりにカナデには、冒険者登録をして貰い依頼を受けて貰っていた。


そんなルティは下水道に入り、一番最初にリカバリーを唱える。


池や川などで魚がいる所が分かる感覚、下水道に流れる汚水の中に生きる魔物もいるのだ。


「リカバリー、リカバリー、リカバリー」


自分の歩いた場所をマーキングし場所を特定して行く。ほらあそこ、流れ込みに何かが蠢いている。


ルティは流れ込みに向かって魔法を唱えた。


「リカバリー」


緑がかった汚水が透明の水質に変わる。


その瞬間、居心地悪そうに魔物が飛び出して来た。


ベチョベチョベチョ!


姿を表して来たのはヘドロ魔神、汚い場所を好む魔物。


ヘドロ魔神

LV24

HP:3200

触れれば病気、近づけば息苦しさを覚える。


ベトベトン

LV18

HP:1500

アメーバが巨大化したもの

ベトベトの体で辺りに異臭を撒き散らす


「はい、君は此処で綺麗になって貰おうね」


ルティはヘドロ魔神に向かって魔法を唱える。


「リカバリー」


ヘドロ魔神は悶絶の表情をし融けて消えて行く、辺りにあったベトベトな汚れも消えて行く。


「ふー、これでこの辺りは綺麗になったかな?」


入って来た下水の入り口から、西ブロック一帯は除菌された様に見違えていた。


ルティがこの町に来てから、どこからか漂う異臭がなくなっていた。


「はい、今日の代金ね」


冒険者ギルドの受付アリアさんが話し掛けて来た。


「ルティさん町を綺麗にしてくれてありがとう御座います。町の皆んなから、下水からの臭いが無くなったと感謝の言葉を頂いてるわ。またお願いね」


ルティに取っては、下水道にはびこる状態異常を回復しているに過ぎなかった。


さてと.. キョロキョロと誰かを探すルティ!


そこに肝心な人を発見し、気付いた様に魔法を唱えた。


「クリーニング」


キラキラ光ったと思うと服の汚れが消えて行き、体から発する異臭の方も簡単に解決する。


服を脱がなくて洗濯が出来て、しかも自分自身も綺麗になるので一石二鳥の優れものだ。


ガチャアイテムで、コイツには驚かされた。

カードスロットルを眺めていると、クリーニングとあり入手したという訳だ。


ルティの視線の先にいる者も此方に気づき近づいて来た。


「ルティ様、待っていてくれたのですか?」


黒くしなやかで、黒豹族特有のバネのありそうな身体付きで黒く長いシッポであるが故なのか、カナデがギルドに入って来てから彼女に視線が集中していた。


「ルティ様、今日のクエストでC級に上がれました」


ニコニコするカナデは、ルティに抱きつきハグをするように喜びを表現する。


「もうC級なのかい? 僕は昨日D級に上がったばかりと言うのに..」


言葉では残念な表現をしてしまったが、ルティはカナデの行動力の頼もしさは分かっていた。


「じゃあ夕食にでも行こうか?」


ルティが声をかけた時だった。ある一人の冒険者が近づいて来てこう言った。


「あなたがルティ様ですか?私はサイモンと申すものです。今日はカナデ様とPTを組み依頼を完了出来たことをご報告に上がりました」


何か言いたげそうなカナデにルティは気がついた。


「どうした?」


ルティはカナデに声をかけようとした時、横に立っていたサイモンが話し出した。


「申し難いのですが、カナデ様を私達の次のクエストのメンバーとして同行の許可を願えませんか?」


そうサイモンが言ったのを聞き考えるルティ。


(僕は回復魔法が使えない神官であり、誰もやらない依頼をする毎日、だったらカナデには他のPTに参加させる方が彼女の為になるだろうか..)


「だったら行って来ればいいよ」


簡単に返答したルティはすぐに後悔する。


「えっ良いんですか? 実はそのクエストを既に受けていまして、他のメンバーも此方に来ているんですよ」


ギルドの入り口に何人かの冒険者が立っていた。


カナデもこのメンバー達と仲がいいのか、話の輪に溶け込んでる様に見えた。


「では御主人様、行って来ます」


簡単な挨拶の後、カナデとサイモンのPTを見送る形となった。


・クリーニング


自分自身や着ている服までも綺麗に出来る。

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