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二人の天下人ー西播怪談実記草稿から紐解く播州戦国史ー  作者: 浅川立樹
第0章・摂州大物崩れ【享禄四年(1531年)】
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01・摂州大物崩れ1-4


 神呪寺本陣での軍議は、突然の高國らの来訪によって更に白熱した。

 

 赤松軍の面々は、当初の予定通り短期決戦による戦線突破を主張するのだが、高國ら現地を知る者は、敵勢にも四国からの増援が送られたという情報を有し、早期決着の難度と危険性を説く。現場組の危惧した通り、駆けつけたばかりの播磨勢には、ここ数日間の敵増援の知らせは行き渡っておらず、戦略として現実味が欠けていた。

 

 議論は白紙に戻され、議論は煮詰められる。

 

 本陣の地図上では何度も木製の駒がぶつかり合い、その都度、議論と罵倒を相半ばしたような発言が飛ぶ。中には、模擬戦での討死を宣告されて、憤慨のあまり相手に掴みかかる者まで出た。

 やがて議論が出尽くすと、一度小休止を挟み、最後に皆で決を取り始めた。

 

 結果、西軍はほとんど播磨備前両国の折衷案のようなかたちで落ち着いた。

 

 明後日の六月四日、天王寺方面を西側の街道から攻め上り、一点突破で楔を入れつつ、徐々に前線での足場を固め、散在する敵拠点を合流させぬように各個撃破に持ち込んでいく。先鋒は戦場に慣れた備前国人衆が勤め、その後を細川高國の本隊が追う。新鋭の播磨勢は後方の第三陣を担わせ、その先の上洛戦まで兵力を温存させる方針を取る。明日一日で戦場の主な土地勘を掴んでおくようにと、播磨国人衆に命じた後、細川高國は陣を離れていった。


 準備は万端、後は決行を待つばかり。

 

 こうして後世名高い、摂州大物崩れの幕は上げられた。


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