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ふたりの天下人ー西播怪談実記草稿から紐解く播州戦国史ー  作者: 浅川立樹
第二章・雲州尼子大東征【天文六年~八年(1537年~1539年)】
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03・雲州尼子大東征3-2

「という次第で御座います」

「……そうか、ご苦労だった」


 途中から、晴政はうんざりとした気持ちで男達の話を聞いていた。適当過ぎた抵抗も、尼子側への義理だかららしい。結局の所、彼らに共通するのは尼子統制下の政治に耐えきれず、離反を申し出た者達だということだけだった。


 まるで風見鶏。昨日はあっちで今日はこっち。明日の行方は風任せ。

 

 適当に金子を渡すかたちで、晴政は男の話を終わらせた。


「時に、この辺りで陣の張れる場所はないか。可能ならば兵が休める開けた場所が良い」

「それならば、私どもの出城をお使い下さい」

「…………」


 結局、男の厚意を無下に断ることも出来ず、同盟軍は案内されるまま、近くの丘陵地を利用した砦を拠点として陣を張ることにした。

 近くには小河が流れ、冬場にも関わらず凍っておらず思いがけず飲用水を得た。

 

 だが、あまり悠長に過ごす時間はない。

 彼らは大急ぎで陣を張り終えたが、その時には既に夕刻となり、今日一日の進軍はこれまでとなる。

 直線距離では数里しか進んでいない。しかし、何とも言い難い疲労感だけが残る一日だった。

 

 ふと気がつくと、いつの間にか男達は陣中から姿をしていた。

 晴政達は急いで追手を向けたのだが、男達は行方を眩ましたまま、再び彼らの前に姿を現すことはなかった。


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