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ふたりの天下人ー西播怪談実記草稿から紐解く播州戦国史ー  作者: 浅川立樹
第廿六章・摂州三好乱入ニ【天文廿三年十月十二日(1554年11月7日)~】
256/279

30・摂州三好乱入二2-1【兵法口舌気】


 ー2ー


 翌、天文廿三年十月十三日(同11月8日)、この日の記録は少ない。


 八幡宮より三木城まではおおよそ往復半日の距離となる。三木城城に辿り着いた僧侶達がどのような会話を行ったのかは記録が無く、政範もこの日は出歩くことなく、寺の中で僧侶の帰りを大人しく待っていたのではないかと推察される。


 と、いうのも、この日は彼らのやる事なす事全ての事において凶だったという。


 曰く、早朝に政範が起床した際、朝日を浴びた瞬間眼球に痛みが生じ、目尻に筋が走ったという。痛み自体は直ぐに治まった。不思議なものだと訝しむ政範らに朝食が振舞われ、このとき国光が自分の姿が湯に映らないことに気付いた。怪しんだ二人が手と下顎の脈を測ってみると異なって打っていたなど、これらは総て赤松律師(赤松円心の息子・則祐)が書き残した兵法(ひょうほう)口舌気(くぜっき)凶事(まがつごと)として記されている。


 ここで寺側が湯、茶、酒を逆順に出し、手がむくみ、丑、卯、未、酉、戌、亥の方角から急に耳が鳴り、鼻の先端に青なり紫なりの筋が見つかればより完璧なものとなる。汚い話だが、早朝に小便するときには泡が立っていなかったのではないか。


 いずれの現象も全て凶。身を慎んで待ちに徹した方が良い。


 政範らが滞在先の八幡宮で厄除け祈願を行ったかどうかの記録は存在しない。が、ともかく、この日は何か『良くない事』が続いたために外出の予定全てが中止となっている。

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