8杯目 俺の妹、玲
久々の投稿です。
バンッ!
勢いよく店の扉が開く。
由梨はびっくりして、
「ひっ」
と小さく呟く。
まったく、入ってきたのはどこの誰・・えっ
チラッとドアの方を向くと、見覚えのある顔が視界に入る。
そう、それは紛れもなく妹の姿だった。
「お兄ちゃん!なんでこんなところにいるの!?私ずっと寂しかったんだからね!?」
「なんでお前がここにいるんだよ!」
「まま、待って!この子勇雅君の妹!?」
店内では騒がしい叫び声がこだまする。
おそらく外にまで聞こえてるだろう。
「ほら、お兄ちゃん帰るよ。家でごはん食べよう?」
「あのなぁ・・玲、俺は忙しいんだ。ここで食べてから帰るよ」
なぜか玲はびっくりしたような表情になる。
「でも、お兄ちゃん仕事辞めてニートになったんでしょ!?なんで忙しいの!?」
人の傷口をえぐるのがうまいですね。100点です。
ま、どっちにしろ俺はここで食べて帰るけどな・・
ぐいぐいと引っ張る玲の腕を無理やり離す。
これだから可愛いのに彼氏できないんだよなぁ、玲は
玲のことをじっと見ると、玲は照れたように微笑む。
俺はその笑顔に騙されないぞ。
大丈夫、ちょっと可愛くなっただけ・・可愛い
「じゃ、玲は先に帰っておけ。俺はあとで帰る」
「・・あの人誰?」
玲が由梨の方を指さす。
「あの人は俺の仕事仲間だよ、ほら帰って・・」
言い終わる前に玲はズンズンとカフェの中に入っていく。
「あなたの名前は?私は玲よ」
「あ、湯浅由梨です・・玲さん、よろしくお願いします」
「へぇ・・一つ言うけど、お兄ちゃんを取ることは禁止よ?もし取った場合・・」
流石にこれ以上言うとすでに涙目の由梨が泣き出してしまう。
俺は玲の口元を抑えてニッコリと微笑む。
鏡の無い中ちゃんと笑えてるか不安になる。
玲は、ちょっと怒った表情で俺をにらんだ。
読んでくださってありがとうございます