運命の出会い
=運命の出会い=
「う…ん…わあぁぁ!!!……ん??」
ノヴァは目を覚ました。
「俺…生きてるのか?…確か羽を撃たれて…川に落ちて流されたんだよな…ここはどこだ?ザーラン国ではないようだが…」
辺りを見回すと、そこには緑にあふれ、荒地のザーラン国とは全く違う場所だった。
「あっ!気づいたんだね!!よかった!」
声の聞こえる方を振り向くと男の子と女の子がこちらへ走ってくる。
「誰だ?お前は…ここは…どこだ?」
「僕はアーチェ。7歳。で、こっちが妹のエレナ。5歳だよ。ここはユーラ河の下流…カーデル国の領土だよ。君は??」
「俺はノヴァ。7歳だ…。」
「わぁ!同い歳だ!!僕ら二人で暮らしてて裕福じゃないから同い年の友達なんていないんだよね。」
アーチェは思いっきり喜び、エレナはアーチェの後ろに隠れた。
「それより!なんで俺を助けたんだ!?」
「え…なんでって…傷ついてたから。」
「俺は魔族だぞ!」
「うん。分かってる。」
「魔族は人間を食べるんだぞ!!?本当にわかってるのか!?」
「うん。じゃあ…君は僕とエレナを食べる??」
「いや…恩人のお前達は食べないが…」
「なら、いいじゃないか!!僕らは今日から友達だね。」
「友達!!」
アーチェに続いてエレナも念押しした。
「あぁ…分かったよ。友達だ。ところで…俺はどれくらい眠ってた?お前達の親はどうした?」
「二日前だよ!!エレナがノヴァを見つけたの!!」
「そうだね。エレナ。 母さんは僕らが生まれてすぐに病気で死んだ。父さんは魔族を倒しに行くって1年前行ったっきり帰ってきてない。」
「じゃあ…おそらくお前達の父親は………」
その場を沈黙が包んだ。
「すまない!!本当にすまない!!俺は魔族の王子だ!お前たちの父親のこと…俺にも責任がある!!俺を殺してくれ!」
ノヴァはアーチェとエレナに向かって土下座をすると、泣いて謝った。
「ノヴァ…顔を上げて。君のせいじゃない。君は悪くないよ。」
アーチェがそういうとエレナがノヴァの頭をなでた。
「…しかし…」
「じゃあこうしよう!!ノヴァは傷が治るまで僕たちと一緒にここで暮らすっていうことで♪」
「へっ!?…あぁ…分かった…。どちらにしろ今のままじゃ帰れないしな。それとお前達に誓おう『俺は二度と人間を食べない』と。」
「うん!!!」
ノヴァとアーチェとエレナはお互いの顔を見て満面の笑みを見せ合った。