アーガイルとの訓練
=ザーラン国・ザーラン城=
コンコン…
「ノヴァ様…アーガイルです。」
部屋の中にいるノヴァと呼ばれた魔族の少年はベッドから起き上がり扉を開けた。
扉の前には魔族の青年が立っていた。
「訓練の時間です。」
「訓練か…アーガイル今日は負けないぞ!!」
「何をおっしゃいます。私はまだ全然本気を出していませんよ。さぁ、行きましょう。」
アーガイルは階段を下りていくとノヴァはアーガイルの後ろをついていった。
城のなかにある大きなコンクリートで囲まれた部屋についた。そこでは数人の魔族の戦士が手合わせをしていた。壁のあちこちに焦げたような後もあり、どうやらここが訓練所のようだ。
「ノヴァ様の訓練の時間です。申し訳ありませんがお部屋を空けてください。」
アーガイルがそういうと訓練をしていた戦士達はぞろぞろと一斉に部屋を出て行った。
部屋の中にはアーガイルとノヴァの二人だけになったが数人の戦士がドアのところで中を見ている。
「ノヴァ様、初めは軽くウォーミングアップのつもりで手合わせしましょう。」
とアーガイルは耳打ちをした。
「?…わかった。じゃあ、いくぜぇ!」
ノヴァは少し首を傾げたが一旦後ろに下がると地面を思いっきり蹴りアーガイルに突っ込んだ。しかし、アーガイルはいとも簡単によけノヴァの背中にチョップを入れた。地面に叩きつけられたと思ったノヴァは四肢でうまく着地するとまた飛び上がりアーガイルの右頬にパンチをうつがこれもまた上手くアーガイルに止められてしまった。
「すごい……流石は歴代最も強いと言われる魔族の王サタン様の息子だ。」
「サタン様とまではいかないが…将来が楽しみだ。」
とドアのところで見ていた戦士たちが話し、少し立つと部屋を出て行った。
「さて、そろそろ本気でかかってきていいですよ。ノヴァ様。」
「あぁ…なぁアーガイルなんでいつも誰かが見てるときは本気でやっちゃいけないんだ?」
「ノヴァ様に秘められた力は歴代最強と言われるサタン様をはるかにしのぎます。それをサタン様が知ればいい気はしないでしょう。そうなればあなたの命も危険にさらされるでしょう。」
「俺が…父上を超える?あの…父上を?」
「はい。今は、まだサタン様にはかないませんが、近い将来あなたは必ずサタン様を超えますよ。力を持つということは危険なことなのです。サタン様はあの絶大な力を持ってしまったために力に飲まれ、支配者になってしまった…ノヴァ様…あなたは力に飲まれてはいけませんよ。あなたの力は絶大…それ故に使い方を考えねばならないのです。分かりましたね?」
「あ…あぁ…」
「では、訓練の続きをしましょう。」