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悠久の欠片  作者: 蓮城
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8月26日 Sumeragi's ANGELs


前回:ドク○はいいね。ドク○は心を潤してくれる。飲料業界の生み出した炭酸飲料の極みだよ。


再び突然だが皆さんはと秘密調査と聞いてどのようなイメージが浮かぶだろうか?政府直属の国家保安部で闇に紛れるスパイを取り締まる彼女らだろうか?はたまた医者の相方を放置して調べていたらいつのまにか相方の存在を忘れてしまう彼だろうか?だが私は思う。前者は調査というより警察であり、後者は秘密というより個人だと。一口に秘密調査といっても中々難しいものである。


だが、要するに秘密というからには気づかれなければいいだけではないか。そういうわけで今日も彼は気配を消して家を出た。


                  ☆★☆★☆★☆★☆★



8月26日の朝9時少し前、彼は調査対象(以下、Aとする)が商店街の肉屋に出勤するのを確認した。店とは反対側の建物の屋上から肉屋を覗き見るとAの姿が垣間見える。売り子をしているのだろう。奥様方と笑顔で何か話している。読唇術で読み取れないこともないのだがそんな無粋なマネはしない。…興味がないわけではないが。ずっと見ているのもつまらないのでそのまま屋上で鳥たちと戯れる。いつの間に持っていたのか、どこからともなくパンを取り出した彼は細かくしたそれを与える。そんなことをしているとかつてどこかの国の大聖堂の階段で2ペンスでハトの餌を売っていた女性を思い出す。彼女は迎えが来るその直前までああして鳥たちに餌をやっていたが、そういう生き方も素敵だと思う。彼には無理だろうが。


そうこうしているといつの間にか正午になっていた。Aは肉屋を出て移動を開始したので鳥たちに別れを告げ後を追う。そのまま近くの公園に向かったAはそこで昼食をとり始めた。彼はそれを見ながらド○ペを摂取する。どうやらAの昼食は肉屋のまかないを持ってきたものらしい。タダ飯は倹約家にはもってこいだからな。ド○ペもタダならいいのに。


昼食をとり終えたAはコンビニへと向かった。どうやら午後はここで働くらしい。1日中バイトということは学校には行ってないらしい。まぁ人それぞれなので構わないのだが。外から見ているのもなんなので中に入る。


「いらっしゃいませー」


いらっしゃいませ、という言葉は卑怯だと思う。いや、挨拶や礼儀として必要なのだが、言われると何かを買わなければならないような、そんな気持ちになるのだ。彼自身も使っているのだが…。


とりあえず週刊誌やマンガを立ち読む。ジャパニーズコミックは面白いとジョナサンが言っていたがその気持ちも分からなくはない。途中からいきなり読んだので内容はよくわからないが、面白そうな気はした。取り寄せて店に置いてみるのもいいかもしれない。置く場所があるかはわからないが…単行本は個人で購入して、週刊誌を店頭に置けばいいかもしれない。そこは夜にでもゆっくり考えるとしよう。


ずっと立ち読みも迷惑なので1時間程度で切り上げ、アイスを手に取りレジへ持っていく。レジにはAが入っていたが、気にせず一般人を装う。


「こちら一点で88円です。」

「100円からで。」

「スプーンはお付けしますか?」

「お願いします。」


ありきたりなやり取りを終え、店を出る。そのまま電柱の陰に隠れアイスを食べながら時間を潰す。ミントチョコレート味というのを買ってみたが案外美味しい。すぐに食べ終わってしまったので手持無沙汰になりつつ様子を見続ける。


夜18時頃、仕事を終えた彼が店を出てきたので気配を消す。後をつけると商店街の本屋へと入っていった。中の様子を窺うと、どうやらバイト求人誌を見ているようだ。


こういう真面目で素直そうな人なら仕事を任せても安心できそうだ。


「さて、さっきのマンガを入手しませんとね…。」


完全に趣味に走っている彼の呟きを聞いたものはいなかった。




※この作品は『うろな町』企画参加作品です。


稲葉孝太郎氏より葦原瑞穂をお借りしました。


ドク○大好きです。中々地元だと手に入らないんですよね…学校祭では毎年大量購入してました(笑)



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