~第五章~ 夢
『…み!』
『…なみ!』
私を読んでいるのは…誰?
『南海ってば!!』
ああ…これは子供の頃の記憶…
『もう!何でこんなとこで寝てんの!探したじゃん。』
このほっぺを膨らませながら怒る顔。。
なんか見覚えがあるな…
この男の子は誰なんだろう?
私はフラワーガーデンの隅の方で寝転がって居たらしい。
『そんなに僕の家が居心地良いんなら…』
そっか。このフラワーガーデンはこの子のご両親が経営してるんだ。
『はい。』
そういいながら、チューリップをこちらへ渡してくる。
花言葉は“愛の告白”。
両親がフラワーガーデンを営むぐらいだから男の子も花言葉に詳しいのだろう。
この頃の私は花言葉なんて知らなかったから、
「チューリップ?何でいきなり?」
そうそう。こう言って
『はあ…。まあ、知らないならいいや。』
なんて言われてた。
少し後に知って驚いた記憶がある。
子供ながらに結婚の約束なんてしてたっけ。。
でも、この後私は、家の事情で一時引っ越したらしい。
「らしい」というのも、小さい頃で覚えていなく、
すぐ帰ってきたから。
そのあとこの男の子と再開する事は無かった。
私はなぜいきなりこんな夢を見ているんだろうか。
………
『…み!』
『南海!!』
あれ。また呼ばれてる。今度は誰…?
呼び声が頭に響く。
そして私の意識は現実へ引き戻されていった。




