~第四章~ 疑惑
それから私は零とよく話をするようになった。
今日もまた、話す約束をしている。
私は密かに零に惹かれているのかもしれない。
「楽しみだなー♪早く来ないかな。」
私がそんな事を言うと看護師さんが問いかけてきた。
「んー?何がそんなに楽しみなの?」
私は素直に話した。
「零くんとこの頃お話しするんです。」
「へー!それは良いわね。その零くんってどんな子なの?」
看護師さんは笑顔で聞いてきた。
しかし、私はその言葉に引っかかった。
“どんな子なの?”
私の担当の看護婦さんは青年・少年担当の看護婦さんだ。
14歳の零を知らない筈が無かった。
でも、度忘れという事もあるだろう。
私は聞いてみる事にした。
「やだな。零くんですよ?この病院の患者じゃないですか(笑)」
しかし、看護師さんからは私の望む答えは帰って来なかった。
「…ごめんなさい。私この担当になって1年になるんだけど、知らないわ。」
そんな…
じゃあ、零は何者なの?
不安になって考えていると、看護師さんが
「あ!でも、新しく入った子で私が把握できてないだけかもしれないから、すぐ確認するわね!」
と、励ましの言葉をかけてくれた。
私は曖昧に答えるしかなかった。
だって、確認して貰っても意味は無い。零と出会ってかれこれ1ヵ月は経っているから。
頭の中は零への色んな気持ちでいっぱいだった。




