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~第一章~ 遠のく意識の中で
「―――…ん!」
「―――さん!聞こえますか!?」
何だろう…このうるさい声は。
「バイタル低下!!」
「輸血準備して!」
ガチャガチャと金属やら何やらが音をたてる。
…ああ。ここは病院なのか。
私…死ぬのかな。
さっきだれかが言ってたし
輸血しなきゃいけない状況ってことはきっと軽傷とは言えないだろう。
そこまで悪い人生だったわけでもないのに、今思うと悔いばかりが浮かんでくる。
神様が居るならあともう少し…生き…た…
意識が遠のく。
今意識を手放したら、二度と目を覚ます事が出来ないような気がして怖い。
『大丈夫。助けるよ。』
―――え?
その言葉の主を捜す事も出来ぬまま意識は深く沈んで行った。




