08
「え!?そんな人はいらっしゃらない?」
「・・・はい。フィルナリア国の侍女長様に訪ねてみたのですが、そういった方はいらっしゃらないと・・・」
「どういう事?じゃぁあの方は誰なの?」
改めてお礼と謝罪に向かおうと、レオンの居所を侍女長に聞いたらそんな方は知らないと答えられたというのだ。昨夜のパーティーにも出席をしていたし、今日も普通に城に出入りしているようだった。
その時ある仮定が閃いてしまった。
「・・・・まさか・・・・」
「アリア様!!大変です!陛下より謁見するようにとのことです!!」
あぁ・・・なんだかすごく嫌な予感がする・・・・・
「・・・すぐに、用意してお伺いするわ」
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「失礼致します。シュテルン王国第3王女アリアーデでございます」
「うむ。わざわざ御呼びたてして申し訳ない。どうか、この老いぼれの話に少し付き合ってもらえないかな?」
「老いぼれだなんて滅相もございません。この大国の繁栄は陛下あってこそのものです。私でよろしければ、いくらでもお付き合いさせていただきます」
その言葉に、陛下はにっこりと笑った。
「アリア姫、大きくなったな。久しく合ってない間に綺麗になった」
砕けた感じのしゃべり方になった陛下に、少し胸をなでおろす。
「ご無沙汰しております。陛下もお元気そうでなによりです」
にっこりと笑うと陛下も同じように笑い返してくれた。
「最後にあったのは、アリア姫がまだ8歳だったかな?外遊に出かけたおりによったシュテルン国は緑豊かでとても素晴らしい国だったな。お父上は元気か?」
「ありがとうございます。父も母も元気に暮らしております」
「うむ。いいことだ。確か姉が2人いたな」
「はい、一番上の姉はすでに嫁いで他国へ参っておりますが、2番目の姉は現在、次の王として日々施政に明け暮れております」
「そうか、次期国王が決まったか」
「はい。おかげさまで、姉が我が国の騎士団長とともに国を盛り上げていく事になりました」
「それは良いことだ。ではアリア姫、国は安心という訳だな」
「・・・・・はい」
「そうか。実はそなたを我が王子の妃候補としたい。そなたは受けてくれるかな?」
確かに、私の意思を確認しようとしてるのだろう・・・。しかし、有無はいわせないこの雰囲気はどうしたものだろう・・・。
「まだまだ、未熟なところが多い私でよろしいのでしょうか?殿下をささえていく立場には相応しくないのではないかと。それに、殿下のご意志もありますでしょうし・・・・」
「いやいや、そなたの手腕はこの国にまで響き渡っておるぞ。荒れていた土地を緑豊かに開発したことや、内乱が起こりそうなところを内部から落ち着かせたなど。そなたに力を貸してほしいものじゃ。それにな、アリア姫の事は王子自身が選んで決めた事じゃ」
「・・・殿下ご自身でですか?私はまだ一度も殿下にお会いしたことはございませんが・・・」
「なに?合っていないと?・・おかしいな。王子はそなたの事を知っておったぞ?まぁよい、そろそろその王子も来るはずじゃ。そうしたら、問題もなかろう。それに、まだ候補というだけじゃ。王子と暮らしお互いによく考えその後、正式に決めるようになっておる。どうじゃ、アリアこの国に来てくれないか?」
ず・ずるい・・・。この大国から申し込まれてしまったら断れないにきまっている。
「・・・わかりました。このお話謹んでお受けいたします。至らない点も多いと思いますが、どうぞよろしくお願い致します」
「うむ。王子が今まで自分から興味を持ったのはそなただけじゃ。私もこれで安心だ。どうか仲良くしてやってくれ」
どうも、この問題は陛下も頭を悩ませていたようだった。
悩みの種が少し解消してかなりご機嫌の様子だ。
「失礼します」
絶妙のタイミングで聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
「陛下。話は終わりましたか?」
「おぉ!レオナルド!ちょうどよいところに来た。今アリアから良い返事をもらったところだ」
にこにこと笑顔を振りまいている陛下に、レオナルド殿下も笑顔で答えた。
「そうですか。陛下、私は彼女と2人で話をしたいので、少し彼女をお借りしてもよろしいですか?」
「あぁ。アリア、私の話に付き合ってくれてありがとう。これから何かあればいつでも来なさい」
そういうと、ハハハと笑いながら陛下は部屋を出て行った。
で・出た~!!
殿下が出ました!
長かった・・・・。