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アリア奮闘記  作者: 羽月
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「お茶会へのご参加ありがとうございます。どうぞ楽しんで言って下さいね」


にっこりと笑い礼をすると、リーナは無表情で礼を返した。


「・・・アリア様。お茶会へのご招待ありがとうございます。・・・・しかし、あなたはこんな事をされるお立場ではないように感じますが・・・?」


少し棘のある言い方でリーナは用意された椅子に座った。

明らかに今までとは違う態度だった。


「・・・・ええ。そうだと思います。しかし、どうしても最後にリーナ様とお話がしたかったのです。最後のお別れがあんな形では私の心が晴れません。どうか、私のわがままにお付き合いください」


少し演技がかったかもしれないが、リーナは『最後』という言葉と『別れ』という言葉をきいて態度をあらためたようだ。先程までの尖った雰囲気が和らいだ。


「・・・そうですわね。私もあのままでは気持ちのいいお別れではなかったですものね・・・。では、お招きいただきましたし、楽しませていただきますわ」


にっこりと笑うリーナの顔は以前見た笑顔と同じだった。

少し胸が痛んだが、リーナには聞かなければならない事があるのだ。

そして、しばらく世間話に花を咲かせた。

雰囲気が落ち着いたところで、私は不意に目線を落とした。


「リーナ様・・・。私が至らないばかりに皆さまにご迷惑をおかけしてしまいました・・・。しかし、信じて頂けますか?わたしは本当にやっていないのです・・・」


いきなりの私の言葉に先程まで笑っていたリーナの顔から笑顔が消えた。


「・・・・私には何とも言えませんわ。実際にこの目で見てしまったのですから・・・・」


「・・・そうですわよね・・・。しかし、本当に私ではないのです!」


言葉を強くするとリーナは私を見て険しい顔をした。


「・・・では、一体他に誰がこんな事をしようと言うのですか!?」


一息おくと私はしっかりとリーナを見た。


「・・・・あなたにはお心辺りがあるのではないのでしょうか?」


「・・・どういう意味ですの?」


リーナも負けじとこちらを見つめ返していた。


「・・・どうしてこの国の秘密を私が知っているのでしょう?」


「・・・貴方があの騎士を使って調べたのではないのですか?」


「来て間もないクレインが調べるほどの時間があったと?」


「・・・優秀な騎士であればそのくらいの事、短時間でやってのけるのではないですか?」


「・・・では、なぜ私が読んだ本の中にそれを入れるのでしょう?」


「さぁ?ご自分の事でしょう?ご自分が一番よくわかっていらっしゃるのでは?」


「・・・では、それを間者がどうやってわかるというのですか?知らせる方法がありません。そもそも他に知らせる方法があるのでしたら、最初からそれで密書を渡せばすみますよね?」


「・・・・そんな事私にはわかりませんわ」


「・・・・まるで、見つけてほしいというような感じだとは思いませんか?」


「・・・・・・・」


「私に罪をかぶせてどうされるおつもりなんでしょう?」


するとリーナはいきなり席を立った。


「アリア様!!それでは私が犯人だとおっしゃっているのと同じではありませんか!!」


私はリーナを見上げた。


「・・・そうです。私はそう思っています」


顔を真っ赤にするとリーナは憤慨した様に怒鳴りつけてきた。


「な!失礼にも程があります!!気分を害したので、これで失礼しますわ!!」


くるりとドレスを翻し扉を開こうとしたら、リーナが開く前に扉が開いた。

リーナは、開いた扉の前で目を丸くした。

しかし、予想だにしない人物の登場に私自身も目を疑った。


「・・・・お、お兄様・・・・」


そう。扉から入ってきたのは殿下だった。


「リーナ?どこへ行くのだ?今日はアリアーデ姫とお茶会と聞いてな。私も参加させていただこうと伺ったのだが?」


そう言いながらリーナの横を通り過ぎこちらへ歩いてきた。

その後ろに、見覚えのある騎士がいた。


「さぁ、リーナ様お席にお戻りください。あなたにも聞いて頂きたいお話を私が持ってきましたので」


にっこりとほほ笑むクレイン・・・・。

後ろに見えるのは悪魔?


「アリアーデ姫」


呼ばれてハッと気づけば目の前には殿下が立っていた。


「で、殿下?どうして、こちらに?」


予想外の展開に思わず本音で聞いてしまっていた。


「先程も言っただろう?今日はお茶会があるとクレインから聞いてな」


クレイン!!!

クレインの名前が出た途端、彼を睨みつけた。

しかし、更に降ってくる言葉に思わず凍りついた。


「何やら今日のお茶会は楽しそうな催しもあるようだし・・・?」


殿下の顔を見上げるとそこには冷たい視線を私にむけ、笑っている殿下がいた。

背中が急にぞっとした。

顔は笑ってるのに・・・・・。

いたたまれなくなった私は、思わず殿下から視線をそらすと頭の上からため息が聞こえた。


「・・・さぁ。アリアーデ姫、お茶会の続きを始めようか?」





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