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アリア奮闘記  作者: 羽月
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ルイガがいなくなると、深いため息をついた。


「・・・やはり、あまり進展はないみたいね・・・」


今まだリストを確認すると言う事は、そういうことだろうと思った。

先程見たリストを思い出していた。

すると、ルイガと入れ替わりにマリアが部屋に戻ってきた。


「アリア様、ルイガ様のご用事はなんだったのでしょう?先程、大事な話だからと部屋の外で待たされたのですが・・・・」


どおりでマリアの姿が見えないと思ったら・・・・。


「大したことではないのよ。ちょっと疲れたから、お茶を入れてくれる?」


マリアは、あまり納得できなかったのか首をかしげながらもお茶の準備を始めた。


「・・・・そういえば・・・・」


ふと、マリアを見ていて思い浮かんだ事があった。


「ねぇ、マリア。私が怪我をしていた時にあなたが何冊か借りてくれていた本があったわよね?」


お茶を淹れながらマリアはこちらを見て頷く。


「はい。アリア様に頼まれて借りに行きましたが」


マリアの答えに少し考えた。


「・・・・マリア、その本の題名を言える?覚えているだけでいいから」


そういうと、マリアはすらすらと本の題名を答え始めた。

それは、先程私が確認したリストとほぼ同じ物だった。


「アリア様?どうかされましたか?」


入れたてのお茶を運んできて、それをテーブルの上に置いた。


「・・・・・あのリスト・・・・・。マリア!紙とペンを用意して!!」


気になった事があった。

マリアが急いで紙とペンを持ってくると私は殿下宛に、今気になった事を書き連ねた。

それを書き終わると、ルイガに持っていくようマリアに預けた。


「急いでお願いね!今ならまだ近くにいるかもしれないから」


マリアは頷くと急いで部屋を出て行った。

それを見届けると、テーブルの上に置いてあったお茶に手を伸ばした。


「・・・・でも、一体どういうことかしら」


お茶に口をつけると溜息がこぼれた。

マリアに渡した手紙には、先程マリアに聞いた事を書いた。

私が怪我をしている間にマリアに借りてもらった本がほとんどだと言う事。

もちろん、マリアが犯人だとは思っていない。

ただ、マリアが本を借りに行っているときに誰かがそこにいたのではないかと言う事が言いたかった。

しかし、誰かに会ったのであればマリアは私に話してくれるはずだ。

では、誰かがこっそりとその場にいたという事は?


「だからって、それが誰かなんてわからないわよね・・・・・」


見ていないというのなら話は進まない。

それでも、気づいた事を知らせておくべきだと思い、殿下に手紙を書いた。


しばらくすると、マリアが戻ってきた。


「アリア様。ルイガ様にお渡ししました」


「ありがとう。助かったわ」


にっこりと笑う私にマリアはじっと私を見つめている。


「なに?どうかした?」


「・・・・アリア様。もしかして、私が疑われているのでしょうか?」


心配そうな聞いてくるマリアに私は慌ててそれを否定した。


「違うわ!マリア!あなたを疑った事なんてこれぽっちもないわ!!」


「しかし、私が借りてきた本をアリア様はお伺いになりました。と言う事は私が借りてきた本の中に密書が隠されていたのではありませんか!?」


「マリア。とにかく少し落ち着いて、ここに座って頂戴」


興奮気味のマリアを落ち着かせる為に私が座っていた場所にマリアを座らせた。


「マリア。貴方の事は私が一番よくわかっているつもりよ?幼いころに私についてくれて以来ずっとあなたと一緒に育ってきたのだから。貴方がそんな事をするような子じゃないってこともちゃんと知っているわ」


セイリーンがいなくなってから共に支えあって生きてきた。

いわば姉妹の様なものだ。


「貴方が借りてきてくれていた本に密書が入っていた事は本当よ。ただ、それは私が怪我をしていた期間に行われたと言う事を殿下にお伝えしたかっただけよ?」


「・・・しかし、殿下は私をお疑いになるのではありませんか?」


状況を見ればそうだろうが、最後に密書が見つかった時にすでにマリアの疑いは晴れていた。


「それはないわ」


否定をしてもマリアはまだ心配そうな顔をしていたが、私に否定されたことでそれ以上は何も言えないようだった。


「ねぇ、マリア。あなたが本を借りるときに誰かが居たってことはない?」


マリアの傍から立ちあがり、気になっていた事を聞いてみた。


「誰か・・・・・ですか?」


マリアは思い出そうと少し上を見上げて考えていた。


「・・・いいえ。誰もいなかったように思います」


少し期待をしたが、やはり誰かがいたという事はないようだった。


「そう・・・・。では一体誰が私が呼んでいた本を知っていたのでしょうね・・・」


ぽつりとつぶやく私に、椅子に座ったままで考え込むマリアがふと顔をあげた。





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