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アリア奮闘記  作者: 羽月
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部屋に戻るとマリアが出迎えてくれた。


「おかえりなさい!!アリア様・・・・・・?」


後ろにいるルイガを見て、マリアは怪訝な顔をした。


「マリア、こちらは騎士団団長のルイガ様よ。私の見張りをされるそうよ」


「見張り?一体どういうことですか!?」


「さぁ?殿下のお考えになることは私にはわからないわ」


どこまで喋っていいのかもわからずとりあえず、曖昧に濁しておくことにした。


「私の事はおきになさらずに。いつもと同じように過ごしていただいたら構いませんから」


横から飄々とルイガが口を挟んできた。


「・・・だそうよ?それより、マリア。クレインは?」


「クレイン様ですか?・・・・そう言えばどちらに行かれたのでしょうね?アリア様をお送りして戻ってこられてませんわ」


「・・・・そう・・・・」


今ならクレインはいない。

直接いくつもりだった図書室にうっかり寄り忘れていた事を思い出した私は、今のうちに行ってみようと思った。


「マリア、私本を借りに図書室に行ってくるわ」


「はい。かしこまりました。お気をつけていってらっしゃいませ」


事情を知らないマリアはすんなりと図書室に行かせてくれた。

しかし、後ろから冷やかな視線が突き刺さっているのも気づいていた。

ドアを出ると、その視線を送っていた人が私の前に立ちふさがった。


「アリア様。・・・今の状況をおわかりですよね?」


にっこりとほほ笑んでいるが声には冷たいものが含まれている。


「・・・えぇ。もちろんですわ。ですから、貴方様と行くのですよ?」


ルイガが居れば問題はないだろう?という意味も含め言ってみた。


「・・・・はぁ。・・とんだじゃじゃ馬姫のお守をまかされたものだ・・・」


「まぁ!失礼ね。好奇心が旺盛と言って頂戴」


ルイガは乾いた笑いを寄こし、道を開けた。


「・・・くれぐれも私の傍から離れないでください」


・・・・そう言われるのも一体何人目だろう。

そんなにうろうろするように思われているのだろうか?


「・・・・努力します・・・・」


そうして、ルイガと共に図書室までやってきた。


「・・・・誰もいないようね・・・」


さすがに昨日の今日である。

相手もそこまで馬鹿ではないのだろう。


「アリア様。まさか犯人探しをされるおつもりではありませんよね?」


ルイガは私のこぼした言葉を聞き、驚いた顔をしてこちらを振り向いた。


「・・・・そんなつもりわないけれど・・・・」


気になってしまったことは調べないと気が済まない。


「・・・・危険を伴う事を承知でしょうか?」


険しい顔をするルイガ。さすが騎士団団長というだけあって迫力がある。


「・・・何の事?私はそんな事するつもりはないわ」


「いまさらそんな事を言われても信用できません。・・・・誰が図書室にいるとお思いになったのですか?」


口から思わずこぼれた言葉をここまで的確に汲み取られてしまっては隠しようがなく、ほぼ確信を得た様なルイガの瞳に思わずため息がこぼれた。


「・・・・・はぁ。わかったわ。でも、犯人探しをしてるつもりは本当になかったのよ?」


観念した私をみて、ルイガの表情がやわらかいものに戻った。


「・・・どういう事ですか?では、なぜこちらに?まさか本当に逢引とか言いませんよね?」


「そんなわけないじゃない。大体誰と逢引をしなければいけないの?お相手がいないわ」


ルイガは私の言葉に肩をすくませた。


「・・・・実は昨日、こちらで怪しい話を聞いてしまったの・・・・」


「・・・怪しい話ですか?」


「そうよ。失敗をすれば我々は終わりだとか・・・・。それで誰が話しているのか見てみようと思ったのだけれど、クレインが横からやってきてその人たちはどこかへ行ってしまったのよ」


誰がとはまだ話さない方がいい気がした。


「・・・・失敗すれば・・・・・」


ルイガは少し頭を傾け考えたかと思うと、こちらをまっすぐ見てきた。


「我々と言う事はその場に2人以上は居たという事ですね?」


「ええ。2人居たように思うわ」


「2人ですか?それは確認されたのですか?」


「・・・いいえ。声が聞こえたのが2人だったからよ」


確かに人数は確認していなかったが、ほぼ間違いないと思う。

あの狭さに何人もの人は入れない。


「そうですか。それで、声は男でしたか?女でしたか?」


ルイガは次から次に質問をしてくる。


「両方よ。男性の声も女性の声も聞こえたわ」


「・・・他にはなにかいってませんでしたか?」


「・・・・わからないわ。小声で話していたから聞き取れなかったもの」


「・・・・・アリア様。聞き耳を立てられるくらい傍に行かれたのですね?」


呆れたようにこちらを見るルイガに今度は私が肩をすくませる番だった。





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