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部屋に戻りクレインに先程の会話の内容を話した。
「・・・・・失敗はするな?確かに何かを企てているようですね・・・。しかも、これが失敗したら宰相様が破滅とは・・・」
顎に手を当てて考えるクレイン。
「・・・・もしかしたら、今回の事と何か関係あるのかもしれませんね」
それは私も少なからず思っていたことだ。
時期が時期なだけに、今回の事も何かしら関わっているかもしれないと。
「そうね。しかし、今回の事で宰相様が得をすることって何かしら?」
「単純に考えれば、ミーナ様と殿下が結婚をされ、王族の親戚になることでしょうかね?現在の地位をより強固にできます」
「・・・・でも、それは失敗をしたからといって破滅になるような事ではないわ。宰相という立場はかわらないでしょう?」
今回はあくまで候補者からの選抜だ。殿下自身結婚に反対だったのだ。選ばれなかったからといって特に宰相の身に何かあるとは思えない。
「・・・リーナ様が言っていた事かしら・・・・」
ふと、リーナとの会話を思い出した。
「リーナ様ですか?」
「えぇ。正確にはリーナ様のお父様だそうよ。リーナ様のお父様が宰相様と何か企んでいるみたいって」
「・・・リフィル国国王様と?フィルナリア国とリフィル国は現在のこちらの国王様とその妹君の関係ですでに良好な関係を築いておられます。今さら一体何をたくらむというのでしょう?」
そう。すでに得するようなことは何もない。
ならば、なぜリフィル国国王とフィルナリア国宰相が密談をしていたと?
まったくもって、宰相の企みが見えてこない。
「・・・・リーナ様にもう少し詳しいお話が聞きたいのだけれど・・・・・」
やはり、あれ以来リーナ様と中々お会いすることが出来ないのだ。
「一体どうしたのかしら?体調でも崩されたのかしら?」
さすがに何日も会えないとなると心配だ。
そこで、アリアはリーナに近々お会いしたいのでご都合のよろしい日時を教えてくださいと手紙を書きマリアに持たせた。
「・・・・ご病気でなければよろしいのだけれど・・・」
マリアに手紙を託し、またクレインと考え込んでいると扉をたたく音が聞こえた。
返事をし部屋に入ってきたのはフィーナだった。
「失礼します。アリア様。殿下より明日、お昼ごろお会いしたいとの事です」
数日ぶりの殿下からの呼び出しだった。
「・・・・今さら何の御用かしら?・・・まぁいいわ。わかりました、と伝えて頂戴」
「かしこまりました」
そういうとフィーナは部屋を出て行った。
「・・・・タイミングがいいですね。昨日宰相の密談。そして今日は殿下からの呼び出しですか」
クレインがぼそりとつぶやいた。
「殿下と宰相様がつながってると?」
「・・・まぁなくはない話ですよね」
「・・・一体何の為に?」
「そうですね・・・。国王様からさっさと権威を継承したいとか?」
「・・・殿下は何もしなくても、そのうちそれが手に入るでしょう?」
「そうですね。まぁ、たとえばの話です。とにかく気を許してはいけませんよ?何があるかわかりませんからね」
「・・・ええ、そうね。気をつけるわ」
宰相の企みについては全くわからなかった。
しかし、図書室が密談の場になっているのならば、もしかしたらまた何かわかるかもしれない。
そう思うと図書室に行きたい気持ちが抑えられないアリアは、クレインには内緒で明日殿下とお会いしたその足で図書室に寄ってみようと決めたのだった。
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文章力がまだまだで読みにくい点もあると思いますが、たくさんの方に読んでもらっている喜びを糧にもう少し頑張って書いていきたいと思います。
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