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アリア奮闘記  作者: 羽月
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あれから数日が過ぎて行った。

その後、殿下から特に何も言われる事無く後宮で過ごしていた。


「・・・アリア様。先日の件で殿下に何か失礼な事でもされたのですか?」


あの後、部屋に帰った私にマリアは何があったのかと聞いてきていた。

しかし、私は答えることもなくそのままベットに入り休んでしまったのだ。


「・・・別に失礼な事はしてないわ。私は当然の事を言ったまでだと思うけど?」


あんな馬鹿にされた事を言われて何も言わずにいられる程私は人間できていない。


「それならば、なぜあれ以来殿下からの音沙汰がないのでございましょう?しかも、先日はナーシャ様に続きミーナ様との逢瀬の時間を作られたそうですよ?一体、どういうことですか?」


そう。あれから数日後、殿下は突然ナーシャと面会したという。その後、ナーシャだけでなくミーナやリーナとも頻繁に会っているようだ。


「・・・さぁ?殿下もお考えが変わったのじゃないかしら?私がフリをする必要もなくなったみたいね」


それならばそれで、さっさと国に返してもらいたい。

ここにいる意味はないのだから。


「・・・・アリア様・・・・・」


そんなアリアを心配そうに見るマリア。

私は殿下が誰と逢瀬を楽しもうと全くどうでもよかったが、心配したマリアが提案してきたのだ。


「アリア様!せっかくお時間が有り余っているんです。足の具合もよくなってきていますし、少しリハビリとして散歩してきてはいかがでしょう?」


怪我した足はもう大分良くなっており車いすも必要なくなった。

しかし、当分の間車いす生活だったので、急激な運動は医者からストップがかかっており、少しずつ歩く練習をしなさいとの事だった。


「・・・・そうね。今日は天気もいいし、久しぶりに庭に出てみるわ」


殿下に会ってしまうことも考えたが、別に私が悪い事をしたわけでもないし、どうせなら国に返してもらうよう伝えようと思った。

しかし、庭に出てみると誰もおらず、相変わらず素晴らしい緑や花が咲き誇っていた。


「・・・・お父様やお母様はお元気かしら?お姉様の婚約も上手く言ってるのかしら・・・・」


此処にくるといつも国を思い出してしまう。


「役目が終わったのであれば早く返して下さればよろしいのに・・・・・・」


「では、早く帰ればよろしいじゃありませんか!!」


ふと、振り向くとそこにミーナが立っていた。


「あなたは殿下にとってはもうどうでもいい存在の様よ?その証拠に殿下は貴方を望まれないのだから。ふふ、いい気味だわ。今まで散々媚売っていたのにね。残念ね」


別に殿下の事はどうでもよかった。

この状況が嫌なだけのアリアは、楽しそうに笑うミーナを無視して噴水の水に目をやる。


「あなた!人が話ているのになんなのよ!!いつもいつも余裕ぶって!殿下には無視されてるくせに!!」


そういうとまたミーナは手を振り上げた。

まだ足が完全に治っていないアリアはよけるによけられず、ミーナの手が振り下りてくる事を想像し目を瞑った。

が、いつまでたっても痛みは走らなかった。

そぉっと目を開けるとそこには右手をつかまれたミーナの姿があった。


「・・・ミーナ嬢。いいかげんうちの姫を傷つけるのはやめていただけませんかね?」


「・・・クレイン・・・・・」


ミーナはクレインに捕まれた手を振り払おうと暴れた。


「はなしなさい!一介の騎士のくせに私に命令するつもり?」


クレインはミーナの手を離して両手をあげた。


「別に命令などしてませんよ?お願いをしているだけです。しかし、聞いていただけないのならそれ相応のお覚悟をなさっていただく事になりますがね・・・」


鋭くなった目をミーナに向けるとミーナは怯んだ。


「っ!不愉快だわ!!さっさと2人とも国に帰りなさい!!」


そういうとミーナは踵を返し後宮へ戻って行った。


「・・・・アリア様。まだ足も完治しておられませんのに、こんなところを出歩くとは感心しませんね」


「・・・・ごめんなさい・・・。でも、リハビリの為に歩いてたのよ」


クレインの鋭い視線から目をそらした。


「それならば誰か共をつけるべきですね。今あなたのお立場がどれだけ微妙なものかご自分が一番よくわかっているでしょう?」


それは十分わかっている。

しかし、他の候補者にとって殿下の興味を失った私に何かしてくる事はないだろうと思っていた。


「・・・殿下と何があったかは知りませんが、早く元に戻られる事がいいと思いますよ」


クレインは私の手をとり支えるように部屋に連れて戻った。

別に殿下は関係ないのに、どうして皆殿下の事だと思うのかアリアにはさっぱり分からなかった。

そして、今この現場を王宮の窓から見ていた人がいた事にも気づいていなかった。




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