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アリア奮闘記  作者: 羽月
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03

お気に入り登録してくださった方、ありがとうございます!!

招待を受けてから、1か月。

2週間前にシュテルン王国を出て、やっとフィルナリア国城下までやってきた。


「わぁ~!見て!マリア!あれは何かしら?あっ!こっちも美味しそうなものが!!」


馬車から見える景色はシュテルン王国とは全く違う。

賑やかな町に、大勢の人。

見たこともない大道芸や食べ物に胸がときめく。


「アリア様。大人しくしてください。それでは地味に大人しく目立たないなんて、どれも当てはまりませんよ」


そう。今回はあくまで『地味に大人しく目立たない王女』だ。

王子はもちろん、宰相様などの側近の方達にも目をつけられないようにしなくては、この素敵な町の探索も夢のままで終わってしまう。


「わかってるわ。絶対、妃候補に選ばれないようにしなければね。ふふっ。見てこのドレス。シルクの素材を使ってるとは思えない地味さでしょう?」


今回、ドレスの質はとてもいいものだ。さすがに、大陸一の国に招待されて町に出掛けるような格好は出来ない。色は薄いピンク。飾りは開いている胸元に花をモチーフにしたコサージュがあるだけ。アクセサリー類もシンプルを心掛けた。


「招待客は100名位だそうよ。その中でも私が一番地味なのは間違いないわ!」


「そうですよね~。普通、大陸一の妃候補になれるって思うと張り切って着飾ってこられるでしょうからね」


冷やかな視線をマリアに向けられてしまったが、これも今まで通り暮らしていく為だ。


「わざわざ地味にされるなんて・・・。私の出番が全然なかったわ・・・。唯一の楽しみなのにっ!」


いつもの事ながら、独り言とは思えないマリアの独り言。

今回、マリアに手伝ってもらうこともなく自分で全て用意してしまった。社交界へ行く時などは、マリアは張り切って私を綺麗に仕立ててくれる。どうやらそれが、マリアの楽しみだったらしい。


「マリア。今度姉様の婚約発表の時にはあなたに全てまかせるわ。だから、機嫌をなおして頂戴」


「本当ですか!?うふふ・・・。リアーシャ様に負けないくらい盛装致しましょうね!」


「・・・・・・・・」


きっと、マリアの頭の中はそれでいっぱいになっただろう・・・・。







**********************



「シュテルン王国のアリアーデ様御到着!」


今回招待された王女達は、離宮に通された。晩餐会とは言っても、今回は花嫁候補を探すため格式ばったものではなくどちらかと言うと舞踏会に近い感じらしい。そのため、控室として一人一人に部屋を与えられ皆準備に余念がない。

私は、乱れたところを直すだけにし、始まるまでお茶を頂く事にした。


「まだ、晩餐会まで時間があるというのに、誰もいらっしゃらないのね」


アリアも一国の王女である。他国に知り合いも多く誰かいないかとサロンへやってきたのだ。


「皆さま云わばライバルでございますからね。気合いの入れ方が違います」


「そう、残念だわ・・・。マリア、とりあえずお茶を入れてもらえる?」


誰かに会えるのではないかと期待したが、どうやら期待外れのようだ。


「かしこまりました。準備をしてまいりますので、こちらで少々お待ちください」


そういうと、入り口に立っていたフィルナリア国侍女とともに部屋を出て行った。


「ふぅ・・・。早く国に帰りたいな・・・」


今からの事を考えるとどうも気分が沈んでしまう。

しかし、そんな気分を吹き飛ばすような軽やかで弾む声が入り口から聞こえた。


「アリア様!お久しぶりです」


「まぁ!ターニャ様。お久しぶりですわね。大きくなられて!」


シュテルン王国の隣国第2王女ターニャだった。ターニャとは5つ年が離れていて、外交に行った際にはよく一緒に遊んでいた。


「アリア様ったら。私ももう12才ですのよ。そんな子供扱いはいやですわっ」


ぷくっとむくれる姿もまだまだ可愛い。

しかし、今回の妃候補というには少し若すぎるのではないだろうか・・・


「あら。ごめんなさいね。私の中ではターニャ様は可愛い妹のようなんですもの。それにしても、今回はターニャ様がご招待されたのかしら?」


「いいえ。本当はお姉様が招待されていたのですが・・・・・」


言葉を濁し、うつむいてしまった。

ということはきっと・・・・


「逃げたのね・・・」


「・・・ええ・・・」


彼女の姉も外交へ行った際にはよく一緒に遊んだ。彼女の性格上、主旨を理解した上で逃亡したのだろう。


「お姉さまったら、そんな所に行くだけ時間の無駄と言われて、他国へ外交に行かれたものですから欠席するわけにもいかず仕方なく私が変わりに訪問させていただいたの」


「そう。困った方ね、彼女も・・・・。でも、久しぶりにターニャ様にお会いできて嬉しいわ」


にっこりと笑うと、ターニャも暗かった顔が笑顔に戻った。


「一緒にお茶でもいかがかしら?」


「嬉しいわ。でも、お姉様の事をこちらの方に伝えなければいけないので、今回はご遠慮させていただきます。ごめんなさい。私も、アリア様にお会いできてよかったですわ。また、晩餐会でお会いしましょう」


そう言うと、ターニャはサロンを出て行った。

入れ違いにマリアも戻ってきた。お茶を飲み、時間まで与えられた部屋で過ごすことにした。






一体いつになったら晩餐会が始まるのでしょう?

王子もまだ出てきてないし・・・・


よし!次こそ出てくる!・・・・かな?

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