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クレインが到着した為、殿下の所に挨拶に行かなければならなかった。
しかし、この足では動けない。
「クレイン。殿下の所に挨拶に行って頂戴。殿下からも申し遣っているの。マリアに案内させるわ!・・・そういえば、マリアは?」
「今さらですか?マリア殿もかわいそうに・・・。現在、こちらの侍女長様から御呼びがあったらしく席をはずしております」
どうして、クレインはいつも一言多いのだろう・・・。
「そう・・・。でも、早く行かないと殿下も夕食へ行かれてしまうわ・・」
「・・・先程から夕食を気にされてますが、本日なにかあるのですか?」
「えぇ。今日は妃候補に選ばれた私たちと殿下の会食なの。いわゆる顔合わせみたいなものね。でもこれを機に私たちも殿下に選んでもらう為に、殿下とのお話をする時間を頂けるようになるの」
まぁ、私にはあまり必要ないのだが・・・。
「ふむ・・・・・。それでは、アリア様も参加された方がよろしいでしょう?」
「そうね・・・。形式的なものだけれどでれるものなら出ておいた方がいいわよね。でも、この足では歩いて食堂までいけませんもの。今日はお断りするつもりよ」
「そうですか。では、私が殿下にご挨拶に行くついでに会食をお断りすることも伝えてきましょう」
「えぇ。そうね・・。お願いするわ」
「では、行ってまいりますので大人しく横になって休んでいてくださいよ」
そういうと、クレインは部屋を出て行った。
「・・・・あれ?クレインは殿下の執務室をご存じだったかしら・・・?」
特に何も聞かれなかったのでまぁいいか・・とそのまま横になっていたら、薬がきいているのか再び眠りに落ちてしまった。
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コンコン
「・・・・誰だ?」
「私、シュテルン国第3王女アリアーデ様の命によりこちらでの護衛を承った騎士団副団長のクレイン・アーベルでございます。殿下に到着のご挨拶に参りました」
「・・・入れ」
扉をあけ入ってきた男は、シュテルン国騎士団の制服を着ていて扉の前で片膝をついた。
「この度アリアーデ様付の騎士としてこちらに参りました。その事をお許しいただきたく参上いたしました」
「・・・お前がアリア姫の言っていた騎士か。姫を確実に守ることができるか?」
レオナルドはクレインの雰囲気や仕草からかなり腕の立つ男だと思った。
「お言葉ですが、私の中で確実という言葉はございません。ただ、何かがないようにお守りするのが役目だと思っております。自分の役目を果たすくらいの力なら持ち合わせているつもりでございます」
・・・つまり、守るくらい訳ないということか。
「そうか。しかし、姫は思ったよりもじゃじゃ馬のようだが?」
「もちろん。存じあげております」
男は片眉をあげ、にやりと笑った。
「なら、姫の身の安全を第一にしっかりと仕事をしてくれ」
話は終わったとばかりに政務に戻った。
しかし、男は一向に部屋を出ようとしなかった。
「・・・なんだ?まだ何かあるのか?」
「いえ。ただ殿下は何も見えていらっしゃらないのだなと思いまして」
なんだか不愉快な気分になった。
「・・・どういう意味だ」
低く冷たい声で男を睨んだ。
「いえいえ。意味などありません。ただ思っただけですから。お仕事の邪魔をして申し訳ありませんでした。私はこれで失礼いたします」
何か含んでいるようで気持ちが悪い言い方だ。
しかし、これ以上聞くのも癪にさわる。
部屋から出ていくというのだし、ほっておくことにした。
「あぁ!そうそう。アリア様よりご伝言をお預かりしておりました」
部屋を出るあと一歩というところで振り向き話し始めた。
「なんだ!」
「そうカリカリなさらないでください。アリア様は今晩の会食には参加できませんとのことです」
会食に参加しないとはどういうことだろう。
これが形式なものとは言え、全員が顔合せの場に出てこないなどありえないことだ。
「・・・なぜだ?」
「さぁ、なぜでしょう?私は申し遣っただけですので。確かにお伝えいたしました。では、失礼します」
バタンと扉をしめさっさと出て行ってしまった。
彼女がこなければこの会食もあまり意味がない。
他の候補者達に彼女との仲の良さを見せ付け早々に辞退してもらおうと思っていたのに。
こういうときにきちんとふりをしてもらわないと意味がない。
「まったく。私に断りもなく参加しないとはどういう了見だ?くだらないことに割いている時間はないというのに!」
男の態度も不愉快だったが、アリアが会食に参加しないということで、さらに虫の居所が悪くなった。
殿下はご機嫌ななめです。
っていうか、クレインはかなりの強者でした。
殿下にまでケンカうってましたよぉ~><