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「アリアーデ様?びっくりされましたでしょう?噂では見かけも中身も美しいなんて言われてるんですものね。私」
「いいえ。そんな事ありませんわ!」
「ふふ。ありがとうございます。でもね、あんな本が好きだったり裏表があるなんて誰も思わないでしょう?皆、外見で勝手なイメージをつけてしまうの。そうしたら、その通りにならなければいけないって思うようになってしまって・・・」
笑顔を張り付けてはいるものの、目がとても悲しそうだった。
「・・・お辛い思いをされたのですね、リーナ様」
「いいえ。つらい事はありませんでしたわ。私をわかって下さる方もいらっしゃったから。それに、今は影で楽しむ事も出来ますのよ。ふふふ」
最後のふふふはなんだか背筋がひやりとしたが、リーナ様もつらい過去があったのだろう。
「私は、今のリーナ様もとても素敵だと思いますわ!ちょっとご本の趣味は私にはわかりかねますが・・・・」
「まぁ!嬉しいわ。本はいろんなものを読んでる最中ですのよ。アリアーデ様が殿下と婚約なされましたら色々ご指導して差し上げますわ!」
それはご遠慮願いたい・・・。あらゆる意味で・・・。
そこに良いタイミングで、マーガレットとマリアが紅茶を淹れて戻ってきた。
「アリアーデ様、他の方には私の事は秘密でお願いしますね。マーガレットに怒られてしまうから」
マーガレットに聞こえないようこっそりと耳打ちをしてきた。
「あら、お二人ともとても仲良くなられたのですね」
その様子を見たマリアが驚いていた。
私たちはお互いに顔を見合わせて、すこしおかしくなって笑ってしまう。
「そうね。リーナ様これからも仲良くして頂けると嬉しいわ!」
「もちろんよ。私もお友達ができてうれしいわ。アリア様」
呼び方が変わると一層親しくなれる気がしてとても嬉しかった。色々あってここに来て初めて気を許せる人を見つけた様な気がする。
「それにしてもリーナ様。候補は辞退されますの?」
マーガレットの目が鋭くリーナを見た。
「リーナ様!?まだそんな事をおっしゃているのですか?これはもう決定されたことだとお父上もおっしゃっておられたではありませんか!」
何かまずい事を言ってしまったのかと、リーナの方を見ると片目を瞑って答えてくれた。
「マーガレット?何度も言っているけど私とレオンお兄様は兄妹のように育ってきたのよ?それに、レオンお兄様はこちらのアリア様をご自身でお選びになったのでしょう?それなら、候補者なんて必要がないじゃない」
「・・・しかし、陛下がお決めになられた事です」
「えぇ。お父様もどうかしてるのよ。こちらの宰相に誑かされて娘を施政の駒に使おうだなんて。お母様が知ったらただではすまないわよ」
話からして、リーナの父がこちらの宰相とグルで話を進めているらしい。
「大体その話は今する話かしら?身内の恥をアリア様の前でさらすようなものよ?」
ハッとこちらをみるマーガレットは気まずそうに目を伏せ、「申し訳ありません」と謝罪した。
「ごめんなさいね。アリア様。今のお話の通り、私の方は多少手違いが生じているの。でも、お父様が聞く耳をお持ちにならないから一旦こちらにきてレオンお兄様から言って頂こうと思って。・・・それに、こちらの宰相様についてちょっと気になる事がありますの・・・。その事もお兄様のお耳に入れておこうと思ってるの」
良く考えたらこちらの宰相様にまだお会いしたことがない。
あのミーナの伯父だと思うと会いたいとも思わないが、あまりよくない話の様だ。
「アリア様も宰相には十分気をつけて下さいね。あの人は何を考えてるかわかりませんから・・・」
リーナの顔はかなり真剣だった。
これはますますもって要注意人物だと思って間違いないだろう。
「ご忠告ありがとうございます。十分に気をつけますわ」
少しの間、沈黙が流れ場の空気が重たくなった。
しかし、それを打破したのはリーナだった。
「それはそうと・・・・」と昨日見た例の本の話を始めてしまったのだ。
確かに空気は変わったのだけれど、マリアはリーナの外見からは想像できない単語や話に目を丸くし、マーガレットはまたか・・・と言うようにその場を去った。
仕方なくその話に付き合った私だがあまりの話にいたたまれなくなった為、途中で謝罪をし部屋へ戻った。
部屋へ戻る前にまだまだ物足りなかったらしく「お兄様の所に行ってこようかしら」とつぶやいたのが聞こえた。その後、殿下の部屋に行ったのかどうかわからないが、部屋から殿下の無事を祈った事は言うまでもない。
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文章能力が低く読みにくいとは思いますが、これからもよろしくお願いします!!