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「アリア様。どうやらもう一人の候補者様、リフィル国第一王女リーナ様がご到着されたそうです」
殿下は妹の様な存在だと昨日言っていた方が到着された。
昨日は、何か怒らせるような事を言っただろうかと思っていたが、妹のように可愛がっている存在であれば、このようないざこざに巻き込んでしまうのが心苦しかったのだろう。
それを、私が候補者に入っている事を思い出させてしまったから、ご機嫌がわるくなったのかもしれない。
そんな風に思っていた。
「そう。明日ご挨拶に伺う旨は伝えてくれた?」
「はい。先程、リーナ様付きの侍女にお伝え致しました。お昼頃でしたら、お会いできるそうです」
「わかったわ。手土産に何かお持ちしましょう。そうね・・・、我が国の紅茶をお持ちしましょう。用意しておいて頂戴ね」
シュテルン国では紅茶の茶葉がとれる。これもアリアが荒れた土地を耕し育てたものだった。
「かしこまりました。アリア様本日はいかがされますか?申し訳ありませんが、私は先日侍女長様にお願いしていました物を取りに行ってまいりますので、本日はフィルナリア国の侍女にお願いしておりますが・・・」
「そう。マリアはいないのね。大丈夫よ。今日は図書室へ行ってみるつもりだから」
「申し訳ありません。こちらが本日担当させて頂きます者です」
マリアの後ろに控えていた侍女が前に出てきた。
「お初にお目にかかります。私、フィーナと申します。今日一日アリア様のお世話をさせて頂きます」
「そう。よろしくね、フィーナ。では、早速で申し訳ないけど、図書室まで案内してくれる?」
「はい。かしこまりました。では、どうぞこちらへ」
フィーナが少し前を歩きながら図書室を目指した。
「ねぇ、フィーナ。殿下とリーナ様はとても仲が良いのかしら?」
歩きながらフィーナに話しかけた。
「そうですね。まだ、殿下とリーナ様が幼い頃はよく一緒に遊んでいらっしゃる姿をお見掛けしました。でも、お二人とも社交界デビューをしてからはあまりお会いになる事はなかったと思いますが・・・」
「そう・・・・。やはり、仲はよろしいのね」
右手を顎に当て、やっぱり、リーナ様が正式な婚約者様に相応しいのではと考えながら歩いていた。
「・・・・しかし、殿下はアリア様を選ばれたのですから、あまりお気になさらない方がよろしいですよ」
フィーナは、アリアが落ち込んでしまったと思ったらしい。
「あぁ。いいのよ。気にしてないわ、ありがとう」
さすがに、マリア以外でアリアの考えを読める人はいない。
いや・・・殿下もなかなか鋭いところをついてくるのだが・・・・。
「こちらが、図書室になります。本の量は王宮の方が多いのですが、そちらは許可を頂かないと入れません」
「まぁ、そうなの。でも、此処で十分よ。ありがとう、フィーナ。私は少し本を探してくるから、それまで自由にしていて」
そういうと私は、この国の歴史書などを探し始めた。
「敵を知るには情報情報・・・っと・・・・」
ぶつぶつと言いながら本棚を見上げながら本を探す。
「「あった」」
ん?声が重なって聞こえたような・・・・
隣りを見てみると、そこには可憐な少女が一人立っていた。
「あら、この国のお勉強ですの?」
可憐な少女が私の持っている本を見て声をかけてきた。
「えぇ。私この国の事をあまり存知あげないので・・・」
と、ちらりと少女の持っている本に目をやると、見掛けからは想像できないような本を手にしていた。
「あ、あの・・・。その本は貴方がお読みになるのですか?」
「ええ!私、こういったものが大好きなの。もう、これなんてうっとりしちゃいますわ」
本当にうっとりとした顔をしながら本を眺めていた。
「・・・・・・そ、そうなんですか・・・・・・」
彼女の持っていた本は世間では『エロ本』と呼ばれるものだった・・・・・・。
あまりにも不釣り合いな本が出てきました・・・・。
すみません・・・・・。