第四話其の一 「シドファズル」
UMA
「うわおっ!?ピカピカだな」
小綺麗な部屋に匠人はいた。
「どう?いいとこでしょ?」
シルフィアが胸を張る。
「ギルドってもっとごちゃごちゃしてる所かと思ってたぜ」
「最近ギルド長のフレアがギルドの建物を吹き飛ばしたから直したばかりなの」
「……どんな奴なんだ?そのギルド長って」
ひきつった顔で尋ねる匠人だが、シルフィアに話しかけた者がいた。
「あら、シルフィア?帰っていたのですか?」
シルフィアに声をかけた長い金髪の女性が階段の途中に立っている。左目につけている黒い眼帯が印象的だ。
「あの人よ」
シルフィアが匠人の耳に囁く。
「ハ?」
一瞬耳を疑った。
「うちのギルド長」
シルフィアが頷く。
「あのおしとやかっぽいお姉さんが?建物をぶっ飛ばした?」
「そう、ぶっ飛ばしたの」
「マジで?」
「マジで」
「どうかしましたか?」
フレアに尋ねられ、青ざめた顔の匠人は全力で首を横に振る。
「ナ、ナンデモアリマセンヨ?」
「……?そうですか?ところで……」
「ハ、ハイ?」
「あなたは誰なんです?」
「フレア、こいつは新人よ。キリオカ ショートっていうの」
シルフィアが説明する。
「新人ですか、別に募集したつもりはないんですけどね」
フレアは顔をしかめた。そして階段を下りて、眼帯を外す。眼帯の下から金色の瞳が現れた。
「!?」
突然目を覗きこまれて匠人は怯む。
「……これはっ!?」
フレアが驚愕の表情を浮かべた。
「何ですか!?」
「また、面白いものがやってきましたね。まぁいいです、ギルドに迎え入れましょう。ようこそ我がギルド、シドファズルへ」
フレアが手を差し出した。
「どうも」
匠人がその手を握る。
「私はギルド長のフレア セルティスです。このギルドのルールの説明はシルフィアに受けて下さいね。それでは、私はやることがあるので」
そう言いフレアは歩き去っていった。
「俺は認められたのか?」
シルフィアの顔を見る。
「まぁね。よかったじゃない」
「しかし、変わった人だったなぁ……。眼帯の下に普通に目あったし」
「あれはファッションなのよ。本人は意味があることだといって認めないけど」
「へー、まぁいいや。案内してくれ」
「えぇ、分かったわ」
フレアは扉を開けてギルド長の部屋、つまり自分の部屋に入る。
「やっと手がかりを見つけた。今回の彼はあの異常野郎と関係はあるのかしら?それにしてもようやくだ、ようやく全てが始まる……」
それから、彼女は大きな声で笑い出した。