表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シン話創セイ  作者: Y/UMA
奴隷ショウ人
7/29

第三話其の一 「小さな戦闘」

 黒い腕が匠人へと襲いかかる。

「うおっと!?」

「私は魔術結社の人間だ。お前みたいな一般人に勝てる相手ではない」

「なら相手には申し分ないな」

 黒い腕をかわしながら匠人は笑った。

「シルフィア、ちょっと頼みがある」

「何?」

 シルフィアの耳に口を近づけ囁く。

「人避けの魔術を解除できるか?」

「できるけど……まさか一般人を巻き込むつもりじゃないんでしょうね!?」

 シルフィアは目を大きく見開いた。

「なら、頼む。それとここで喧嘩が起こってるって言いふらしてきてくれ」

「でも……」

「信じてくれ」

「分かったわ」

 シルフィアが走り去ったのを見届けて、匠人は男と向き合い直した。

「それで逃がしたつもりか?逃げる時間を稼いでやっているつもりか?」

「逃がしたつもりなんてねぇよ。時間稼ぎなんてつもりもねぇ」

 匠人は笑う。

「なら、一人で勝てるとでも?確かに動きは普通の人間よりはいいようだが、それだけでは私には勝てないぞ?」

「そんなへっぽこな腕一本だけにやられる俺じゃねぇんだよ!!」

 黒い腕に掴まれそうになるのを避け続ける。

「お前にあの娘の価値が分かっているのか?あの娘さえ手に入れれば、世界を掌握することもできるかもしれないんだぞ?そんな危険なものがあの雌狐の所にあるなど、許されることではない」

「知らねえよ、でもな、こんくらいは知ってるんだぜ?人を物扱いするやつがクズだってことぐらいはな!!」

 匠人は黒い腕をかわし、男の顔を殴りつけた。

「驕るなよ、一般人!!もう許さんぞ。それにな、誰が一本だけと言った?」

 男の背後にさらに五本の黒い腕が現れる。

「あーりゃま、無理しちゃって」

 笑う匠人の頬に冷や汗が伝う。

「じゃあな一般人」

 六本の黒い腕がいっせいに匠人に襲いかかる。

「っつ!?うおっ!!」

 拳で腕を弾きながら、前に進もうと足掻くが、ついに匠人は捕まってしまった。地面へと叩きつけられる。

「残念だったな、一般人」

「残念だったな、クソ魔術師」

「ああ?」

 地面に叩きつけられ、身動きがとれないまま匠人は笑った。

「手を放しなさいよ」

 いつの間にか男の背後でシルフィアが男を睨みつけていた。

「いいぞ!!やれ!!」

「そっちの兄ちゃんも頑張りな!!」

 シルフィアの背後には大勢の野次馬が集まっている。

「人前では、私がお前を殺さないとでも思ったのか?」

 男は馬鹿にしたように笑った。

が、すぐにその表情は驚愕へと変わる。

「バカなっ!?一体何をした!!」

「何もしてねぇよ」

 腕を振り払い、匠人は立ち上がっていた。

「何故だ!?普通の人間にできる技じゃない!!」

「でも実際にやったろうが?」

 匠人が先程とは比べものにならないぐらい速い動きで、男の懐へと潜り込む。

「!?」

 男の腹に拳がめり込む。

「ちったぁ、効いたろ?」

 男が地面に跪く。

「何が……?そう言えば逃げる時も同じことが。お前には何かあるのか?」

 パクパクとかすれた声をだす口から血が滴り落ちていた。

「降参するか?」

「そうか、人の数……」

 男の目は匠人を見ていない。

「降参するかと聞いているんだ」

「馬鹿にするなよ?一般人」

 男がナイフを取り出した。

「お前、何をする気だ!?」

「じゃあな、一般人」

 男が勢いよくナイフを自分の首へと振り下ろす。

「死なせないわよ!!」

 だが、ナイフは首まで届かなかった。

 シルフィアが男の腕を掴んでいたからだ。

「何故だ?」

「あんたには聞かなきゃならないことがある」

「ふん、私が何か吐くとでも?」

 男はせせら笑う。

「さぁね?それはフレアの仕事だから」

「チッ」

「さあ、行くわよ」

 シルフィアが匠人を見る。

「ああ」

「あたし達のギルドへ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ