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シン話創セイ  作者: Y/UMA
奴隷ショウ人
18/29

第八話ver.2「郵便屋の日常」

 東の空が白んでいくのを見ながら、アップルとワッフルと、それから天使の羽の様に白いワンピースを着た女性が、三人で郵便局前に集まっていた。

「この人はー?」

 新しい洋服に身を包んだワッフルが、彼女を指して尋ねる。

「え、と――っ」

「この人は四番隊組長のセシリア。セシリア、こっちはワッフル」

 おどおどしているセシリアの代わりに、アップルが紹介して、ついでにワッフルの紹介もすませた。

「何をする人なのー?」

「これから私達と一緒にバジールって村の住民に安らぎをお届けする人、だな」

 局長から頼まれたのは、『届ける』という、普段通りの仕事だった。

「よ、よろしくお願いしますっ」

「よろしくねー」

 緊張のあまり目をギュッと閉じて挨拶する四番隊の組長と、普段通り楽しそうに返礼するただの少女。

「じゃ、ワッフルはセシリアと一緒に来てくれ」

「えー!わたしはアップルと一緒がいいなー」

「今回は荷物を積むから、そんなスペースは無いんだって」

「あ、あの……」

「ほら、あまりセシリアを困らせてやるなよ」

「そうじゃなくてっ」

 セシリアは震える咽喉から細い声を絞り出すような話し方をする。

「わ、私が荷物を運んだらどうでしょう……?」

「あ、そうか。悪い、それじゃ任せるわ」

 そう言ってアップルは、山積みの荷物の下から、いましがた八番隊組長から取り返してきた、真っ赤な自動二輪車を救出した。

「えー!?無理だよー!こんなに痩せてるのに」

 ワッフルが困った顔で笑うセシリアの体を指して言うが、アップルは全く気にしていないようで、さっさと跨ってキックスターターを蹴った。

「大丈夫大丈夫。早く乗らなきゃおいていくぞ、ワッフル」

「まってまって!」

 あわてて飛び乗ったワッフルを確認してから、アップルはセシリアに手を上げて挨拶した。

「さて、お届けに参るとしよう」

 軽快な音を立てて、自動二輪車が滑り出した。


「では、『私達』も行きましょうか」

 やがてセシリアは、真っ黒な空を見上げてそう言って、やさしく微笑んだ。

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