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第三章︰貴族王の導き


――日曜日の朝。久坂家。


香ばしいパンの香りと、味噌汁の湯気が立ちのぼるキッチン。

ダイニングには焼き魚、サラダ、ヨーグルトにウインナーといった、和洋折衷の朝食が並べられていた。

セリウスは姿勢を正し、神妙な面持ちで椅子に座っていた。


セリウス:「……なんという神聖なる儀式だ。日が昇るこの刻に、一族で共にこの様な馳走の食を囲むとは……まさに聖餐の儀」


千尋:「そんな大げさな……普通の朝ごはんよ」


セリウス:「クサカ城の聖女よ、その謙虚なる言葉がより徳を高めている」


花音:「ねえ、それやっぱり鎧脱がないの?」


セリウス:「これは私にとって《第二の皮膚》。脱ぎ着には《儀式》を伴う。食事に支障はないと心得ているが…やはり気になるのであろうな、カノン殿」


悠生:「オレ、中学生になったら鎧着たい!」


花音︰「あのね…中学生になったら着るのは制服なの!鎧なんて着たらバカにされるわよ、イジメにあうよ!?」


悠生:「ええー、だって魔法とか使えるようになるんだろ?だよね!?」


セリウス:「うむ、《ショウガクセイ・ユウキ》よ。そなたにはショウガクの聖なる加護が宿っている。精進すればその素質が発現すると見た」


陽翔:「だから…小学生だってば。それ、セリウスの世界で言う《ジョブ》じゃないよ?」


――朝食を終えた後。


陽翔︰「ちょっと気疲れしているんじゃないのか、セリウス?」


セリウス︰「気疲れか…いいや、そんな事は断じてない。私のような異界新参者を温かく迎え入れてくれた、そなたらの一族には本当に感謝している」


セリウスはベランダに出た。

朝の空気を吸い込み、異世界の香りに浸る。

すると、そこに現れたのは――一匹の四足歩行の魔獣。


セリウス:「っ……魔獣…!」


その毛並み、鋭い眼差し、小さな体からあふれる威圧感。


陽翔(後ろから):「あ、それうちの犬。タロ。柴犬って種類」


セリウス:「シバ…イヌ? なるほど…魔力は微塵も感じられないな。…顔付きはどこか魔獣コボルトに似ている。…コボルトになりきれなかった哀れな存在…それが《シバイヌ》ということか」


タロは軽くしっぽを振って見上げている。


セリウス:「シバイヌよ……私は石板に記された記録で見た。古代兵器を駆る魔獣アルミラージの姿を……そなたも、この城を護る番犬であるならば、さらなる精進を成せ」


タロ:「わんっ」


セリウス:「……応えたか。よい返事だ」


――そこへ、ベランダの隣の扉からもう一人の男が現れる。


誠一(父)は眠そうな顔でタバコを咥え、火をつけた。


誠一︰「今日は日曜日かぁ、どっか行くかな〜、いややっぱりいいか…」


セリウスはその姿を見て、目を見開く。


セリウス:「……! そなたは……!」


セリウス:「その口にくわえる物……あの石板ジュイスが映し出した《遺物をくわえる男》※BOSS。

鼻下に生える髭…間違いない。あなたこそ、この異界を統べる貴族の王…ということなのか…!?」


誠一:「ん?いや、ただのサラリーマンだけど?」


セリウス:「《サラリーマン》…この世界の統治者階級の呼称か…王に階級とは…感慨深い…」


陽翔︰「だから違うって」


誠一は笑い、セリウスの肩を叩きながら答える。


誠一︰「貴族、しかもその王様だと!?久坂家の頂点に君臨するって王様ってわけだな、え!?おい!!悪くない、その響き!気に入ったぞ、セリウス!」


誠一︰「陽翔!今日はこの御人と商店街巡りだ、準備しとけ!くれぐれも粗相のないようにな!!」


陽翔︰「お、珍しいじゃん。外でかけるの?」


誠一︰「当たり前だろ!休日にこんな気持ち持ち上げられたら、テンションもそら上がるわ!!」


誠一︰「セリウス…サラリーマンの本気、見せてやるよ」


陽翔︰「セリウス」


セリウス︰「なんだ、ハルート」


陽翔︰「この世界の文明ってやつをもっと見せてやる」


セリウス︰「.......ほう」


――午前。久坂家の一行は街へと繰り出す。


誠一、陽翔、そしてセリウス。

商店街を歩くセリウスの瞳は、すべての文明に驚きと興奮を露わにしていた。


陽翔︰「あそこは回転寿司チェーン店だよ」


セリウス︰「ガラスの向こうに見えるは、回転式レールを纏った宿屋か!魔力はない、この世界においてそれは当然なのだろうな!だとしたら、一体どういうからくりなんだ!?」


陽翔︰「いや…まず宿屋じゃない…」


セリウス︰「宿屋ではないと、ではなんなのだ、あの店は!?」


陽翔︰「食堂だよ」


セリウス:「あの回転式レールを纏う店の正体が食堂だと…魔法による食糧供給か!?いや魔法はないはずだった…」


セリウスは頭を抱える。


陽翔︰「あんまり考え過ぎないようにして…頭パンクするよ」


更に商店街を一向は進む。


陽翔︰「あそこはコンビニ、えっと…《コンビニエンスストア》」


セリウス︰「待て、私にもわかるぞ!」


セリウス︰「あれは…道具屋だな」


陽翔︰「間違ってないね、それは」


セリウス︰「この《コンビニエンスストア》なる店…小規模だが万能の補給拠点と見た!」


陽翔:「すごいな、全部ファンタジーに見えるんだな」


――そして、ある看板の前でセリウスは足を止めた。

セリウスの目に最初に飛び込んできたのは、店舗の上に掲げられた巨大な看板だった。

そこには、弓を構えた騎兵のシルエットが描かれている。


セリウス:「待て……これは……騎士団の紋章ではないか!」


陽翔:「いや、そこ不動産のお店だよ。住む場所とか紹介してくれるところ」


セリウス(心の声):「あれは……《騎士団ギルド》の紋章… フドウ・サン……そうか、この地のギルドマスターの名か!」


セリウス︰「わかったぞ、ここは騎士団ギルドだ!ギルドマスターの名は《フドウ=サン》」


陽翔:「ちがう。フドウ=サンじゃなくて“不動産”な」


セリウス:「ふどう……さん……ギルドマスターの真名を、口にしてはならぬのか。心得た」


セリウス:「《フドウ=サン》…!騎士ギルドにして、しかもそこで住処の城まで与える者……フドウはギルドマスターなのか!」


セリウス︰「貴族の王よ、ここを訪れてみたい!!」


誠一︰「うむ、苦しゅうない」


陽翔︰「のってんなー、父さん…」


誠一︰「いやぁなー、セリウスにはこのまま家にいてもらってもいいけど、それも世間体で考えたら難しいだろ?」


陽翔︰「まあ、そうだよね」


誠一︰「ここでセリウスに住む家選んでもらって、一人暮らしにはなるけど、今後は俺らで生活を支えていくってのはどうだ?」


陽翔︰「うん!良い考えだと思う、ただ…」


誠一︰「ただ…なんだ…?」


陽翔︰「この世界に馴染んでいけるかな…」


誠一︰「......」


店内に入る久坂家一向。

店内では、スーツ姿の営業マンが快活な声で出迎えてきた。


店員:「いらっしゃいませー! 本日はご見学ですか?」


セリウス(小声で):「おお……ギルド員たちが揃い踏み……制服が統一されている……ここは精鋭ぞろいのギルドに違いない」


誠一:「あー、すみません。この子に住まわせる場所探してて。1Kか1LDKで、風呂・トイレ別、家賃は――」


セリウス(興奮):「そ、そなたらがこの異界の“城”を与えんとするとは…騎士団とは如何なる時も寛容であるべきだな…!」


営業マン:「あ……えっと……では、こちらのカタログをご覧ください」


セリウス:「その前に…我が名はセリウス・ヴェル=アルマ。我が所領を賜るため、貴殿ら騎士団ギルドの助力を乞う事にした!」


店員「…は?」


陽翔︰「えっとー、冗談です」


店員が苦笑いする。


店員「お住まいのご希望はございますか?」


セリウス︰「私は城を所望している」


店員︰「し…城…?!」


誠一︰「ああ、すまない。ちとファンタジー気質なやつでな。城じゃなくアパートを紹介してやってくれ」


店員は慌てながらカタログを出す。


店員︰「こちらからお探しください」


誠一:「あー、このカタログから好きなの選んでくれたらいいからな」


セリウスは不動産カタログを手に取り、写真をじっと見つめた。


セリウス:「これは……どうやら写し絵の魔導書のようで…視覚魔法により住居の姿が描かれている。このような立派な館群を…私なんかの為に…」


セリウス:「貴族王よ……あなたの寛大なる配慮、深く感謝いたす」


誠一:「……なんかやたら感謝されたぞ」


カタログの写真を、まるで巻物でも見るかのように真剣に読むセリウス。その眼差しは敬意と畏怖に満ちていた。


セリウス︰「よく分からないが、これにする」


誠一︰「いいのか、それで…」


陽翔︰「もうちょっとしっかり選んだほうが…」


――夜、久坂家にて。


誠一︰「まあとりあえず、住む部屋も決まったことだし、夜の商店街にでも繰り出してみるか!」


セリウス︰「夜の商店街…この世界では夜でも店が開いているのか?」


誠一︰「ああ。いいからついて来い!」


誠一はセリウスを連れ、夜の商店街の居酒屋『鳥貴族』へと向かった。

店内に漂うタレの香りとざわめき。活気に満ちた居酒屋に、セリウスは呆然としていた。


店員︰「いらっしゃいませー!お客様二名様ですか?」


誠一︰「ああ。空いてる所ならカウンター席でもいい」


店員︰「かしこまりました!二名様ご案内しまーす!!」


店内の道を進む誠一とセリウス。


誠一︰「この店の名前は《トリキゾク》っていってな、酒場なんだよ」


誠一︰「お前さんのこったから、勘違いしないように言っておくが、《鳥》と《貴族》で鳥貴族だ」


セリウス(心の声):「ここが……貴族たちの集う酒場トリキゾク…。なるほど、“鳥”を象徴に掲げしこの地では、神獣を崇拝しているということか」


席についた二人。


誠一︰「まずはお疲れさんだな」


セリウス︰「ご足労感謝する、貴族王よ…」


誠一︰「かてぇなー、まあいいか!」


誠一はテーブルに置かれたタブレット端末を手に持つ。


セリウス︰「なんなのだ、その小型の石版は…」


誠一︰「ん?ああ、こいつは《タブレット》っていって料理を注文するときに使うもんだよ」


メニューを注文するタブレットを手渡され、セリウスは固まる。


セリウス:「これが…《タブレイト》… 魔導士の呪紋版にも似た装置だが…指でなぞることで、料理の幻影が顕現される…!」


セリウス:「この小型の石版タブレイトだが、街道沿いに置かれていた大型の石版ジュイスはなんという名称だったのか…」


誠一︰「ああ…それ多分自販機じゃないか」


セリウス︰「《ジハンキ》…と!」


セリウス︰「小型石版が《タブレイト》で大型の石板が《ジハンキ》…覚えておこう」


誠一︰「覚えておいて損はないだろうな。今後、セリウスが沢山お世話になると思うしな!」


そういうと誠一は大笑いする。


誠一︰「まあこいつは自販機とは扱い方がちと違う」


そういうと誠一はタブレット画面を操作しだした。


セリウス︰「《ジハンキ》で見たあの妖しい光…《タブレイト》の正体は指で触れると反応する魔導式の石版なのか…!しかも触れた瞬間、魔法で食が現れるとでもいうのか!......いやまたしても魔力の痕跡が感じられない」


陽翔:「いや、ただのタブレット。タッチパネルなだけだって」


セリウス︰「ん?ハルートも一緒か」


陽翔︰「おいおい、忘れてくれるなよ」


セリウス︰「ここは酒場だぞ、貴殿のような少年がいていいものなのか」


誠一︰「大丈夫だぞ?別に酒が飲めなくたって、飯だけ食えればいいだけだしな!」


陽翔︰「そういう事だ、セリウス!」


セリウス︰「むむ…やはりこの異界とは私がいた世界との文化に隔たりがあるようだ」


誠一:「とりあえず適当に注文してみろよ」


そういうと誠一はタブレット端末を再びセリウスに渡す。


セリウス︰「こ…これは…!」


タブレット端末に写っていたのは《名物貴族焼》の焼き鳥だった。


セリウス︰「この木串に刺さった料理は何というのだ?」


誠一︰「ああ、そいつは《名物貴族焼》って言ってな、この店の代表する料理だぞ?」


セリウスは身を震わせながら言う。


セリウス︰「う…ウソだ…」


セリウスが立ち上がり大声を上げる。


セリウス︰「そんなバカなあああぁぁぁああ!!」


セリウスの大声に周囲が驚く。


客A︰「な、何の騒ぎだ!?」


客B︰「甲冑着てるぞ、あの客?!」


客C︰「おいおい、大丈夫かよ、酔っ払ってんのか?」


誠一は急いでセリウスを抑える。


誠一︰「おいおい、一体どうしちまったっていうんだ、セリウス」


セリウス︰「王よ、こんな事があっていいのか…」


誠一︰「ん?」


セリウス︰「あなたは貴族の王であり、この世界を統べる王だ…しかし…しかしだ!」


陽翔︰「ああ、言いたいことがなんとなく分かったてきたぞ」


セリウス︰「この異界の裁罪の掟は知らん!知らんが逆賊であろう貴族をこの様な高貴な酒場において、串焼きにして出してもよいというのか!??元は人間であったのだぞ!?それを…それを…この店の食い物の名物にするとは…!!」


誠一は鼻で笑いながら言う。


誠一︰「セリウス…やっぱりお前は勘違いが多い奴だな」


セリウス︰「...な、なに...??」


誠一︰「名物貴族焼ってのは焼き鳥の事だよ、焼いた鶏肉を串で指した料理だ」


セリウス︰「な......なんと…」


陽翔︰「しょうがないでしょ、まだセリウスはこの世界のことなんも知らないんだもん、気にするなって…な?」


セリウスは胸に手を当て安堵した。


セリウス︰「よ…良かった…この国は崇高な文明の国と理解しつつあったのに、まさかこんな残虐な料理を出す一面を持つ国だったと…でもそれは私の勘違いであったのだな…」


陽翔︰「うん、そうだよ(他にも色々勘違いあるけどね)」


誠一︰「まあ気にするな、異世界転生者対策が出来ていないこの店が悪い」


陽翔︰「いや、それは普通にどの店にもないと思うけど…」


セリウスがタブレットに触れると、暫くしてから店員が料理を持ってくる。


セリウス:「……《タブレイト》の石板の力で人の手が、料理が…!? 魔力ではなく!? なんと…なんと高度な文明だ…」


セリウス:「この異界…恐るべし…」


――料理が届く。

焼き鳥を一口食べたセリウス、衝撃を受ける。


セリウス:「なに!?この味わい……!だがこれは……神格化された《トリ》の肉……しかも串に刺されている……!」


セリウス:「まさか…この異界において《トリ》とは、自らの身を供物として差し出す神獣なのか……この文化…中々に味わい深い…」


陽翔:「違う違う!普通に焼き鳥なだけ!」


誠一︰「どうだ?美味いだろー。まあ俺は鳥メロの方も好きだけどな、俺から言わせればそっちが本場みたいなもんだ!」


誤解のままにセリウスの中では《トリメロ神話》が構築されていた。


セリウス:「《トリメロ》……そなたは偉大な神獣…その肉は人を救い、腹を満たし、笑顔を与える……その崇高な生き様、我が胸に刻もう」


誠一:「いや、お前ホント面白いな」


セリウス:「《トリメロ》と《トリ》の思想、私は敬意を表す。そして、我が身もまた、貴族の王に捧げる覚悟がある」


陽翔︰「面白いの域を超えてるような…」


セリウス(真剣に):「クサカ王よ、私はこの地で《トリメロ》の意志を継ぎ、人々の守護者となろう。そして、あなたの忠臣であり続けることを誓う」


誠一:「えっ、そこまで話が広がるのか!?」


――こうしてセリウスは、現代社会の洗礼を受けつつも、異界の貴族として、この世界に溶け込んでいく。


――帰り道・夜の住宅街


居酒屋トリキゾク《トリメロ》の体験を終え、久坂誠一と陽翔、セリウスは街灯に照らされた静かな道を歩いていた。

飲み屋の喧騒とは打って変わって、夜の住宅街は落ち着いた静寂に包まれている。

誠一はタバコを口にくわえ、ポケットからライターを取り出すと、火を点けた。

ふっと煙を吐いたその瞬間――

セリウスは足を止め、その横顔を真剣に見つめる。


セリウス:「……やはり、あなたはこの異界を統べる王にして、貴族たちを束ねる首領なのだな」


誠一:「ん?」


セリウス:「あの時、《ジハンキ》なる“石版”の《ジュイス》に刻まれし姿。口に黒き遺物をくわえ、鋭い眼光を放つ男の像……あれはあなたであった。あなたが、この国を背負う男であったと、あの時から気づくべきだった」


誠一:「……あー、BOSS缶な。缶コーヒーのやつ。たまたま似てただけだろ、俺じゃねぇって」


セリウス:「否。偶然などではない。“石版”は、未来を映す魔導の鏡だ。あなたはこの世界の“王”……クサカ王と呼ばせていただく」


誠一:「いやいやいや、勝手に王にすんな。俺はただの中年サラリーマンだよ」


セリウス:「その“サラリーマン”というのは、この世界における王家の血を引く者の呼称であろう?」


陽翔:「……なるほど、誤解の力ってすげえな」


セリウスは深く一礼する。


セリウス:「この度、所領を賜り、また神獣の加護に満ちた聖なる酒場に導かれたこと、心より感謝いたします。私は、あなたの忠臣として、この世界に尽くしましょう」


誠一:「……まぁ、悪い気はしねぇけどな。忠臣って言われるのも」


誠一は苦笑しつつ、セリウスの背中を軽く叩いた。


誠一:「とりあえず、住む場所が決まったのは良かったな。明日には手続き進めて、来週には引っ越しできるだろう」


セリウス:「うむ。私の新たなアパルトメント……栄光ある砦として築き上げてみせよう」


――後日・セリウスの新居


数日後、セリウスの“新たな城”ことワンルームアパートへの引っ越しが無事完了した。陽翔と千尋が手伝いに来てくれ、久坂家からは寝具や家電など最低限の生活用品が運び込まれた。


陽翔:「ここが……セリウスの“砦”か」


セリウス:「“砦”などと謙遜せずともよい。これはそなたの父君・クサカ王より賜った“第二の城”――“クサカ第二拠点”と呼ぶにふさわしい」


千尋:「とりあえず冷蔵庫の中、空っぽだよ? スーパー行って買い出ししなきゃ」


陽翔︰「えっとな、冷蔵庫ってのは食糧を保管しておく場所で、スーパーってのは…」


セリウス:「そなたらが日々食糧を得るための巨大な魔導市場…といったところだな!」


陽翔:「もう……お前のそういうの、ツッコむの疲れてきたわ」


この異界には、まだセリウスの知らぬ未知が溢れている。

それでこそ探索の炎はいま再び、燃え上がるのだ――!


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